44.2章-第17話 ” 第1回大規模イベント その1 - PVP大会予選 #1/2”
【予選第1試合 VS PT ”プロゲーマー宵闇卍劉牙様の弟子“】
倍率:4.5倍
保有ポイント:0
賭けポイント:10万+最終報酬の100%
勝利報酬ポイント累計:0 (最終集計時、賭け累計獲得 0倍)
私の手元に表示されたポイント情報を確認します。お相手はプロゲーマーさんのお弟子さん? らしく、人気が集まっているのでしょうか、倍率が高いですね。
MMOでプロって何でしょう……。格ゲーやFPS、MOBAはよくわかりますし、憧れるものがありますが、基本的にキャラの育成格差が前提のゲームで何を……?
===相手チームのパーティー会話===
いいか、相手は舐めてるのかエンジョイ勢か知らんが、2人だ。
天使は飛ぶだろうから、1タゲは、銀髪白ドレスの方。
後衛二人で、初手マッディスワンプで足止めに重ねで、雷撃麻痺。
前衛3人がライジングを浮かび上がりキャンセル、飛空脚から、ダブスラを念のため偏差撃ち。
麻痺が入らず、防御系アーツを使われても、1人目の飛空脚で、ノックバックでアドが取れる。
2人目以降で確実に削る。回避アーツ撃たれたら、連撃の方向調整で対応。
着地に合わせでフロストブレスでスワンプを固て前衛の足場確保。
ラスト弓が溜めのスナイプショットで確殺。
あとは天使に対空コンボでエンドだ。
了解。
刀だから、ブロックの代わりに居合警戒で、一人目はスラストで速度稼いで、ストップモーション狙いのがいいんじゃ
よし、採用
===以上相手チーム会話でした===
いよいよ初戦開始。カウントダウンが10から始まっています。
相手は片手剣の剣士3人に、魔術使い2人、エルフの弓使いが一人。
武器がうっすらと魔力の輝きを帯びていますので、強化を安全域超えて実施済みなのでしょう。
気になるのは、剣士3人が、異様に脱力というか、操り人形みたいにふにゃふにゃ立ちをしている事。
酔剣とか、そういう武術でしょうか?
試合前情報で、レベルは対戦相手が42前後。トップ層の平均あたり。
こちらは私が33、ルナリス34。レベルダウンや経験値獲得半減等々あるのでこれは仕方がない差ですね。
ただ、試練の間の引き延ばされた時間の恩恵でスキルレベルの平均はこちらがかなり上でしょう。
カウント0
膨れ上がる魔力とともに、闘技場のこちら側半分が、相手の魔術により、泥沼に変化。同時に、雷撃が泥沼を駆け巡ります。足を囚われていれば麻痺になっていたのでしょうかね。その時にはすでに、私もルナリスも空に飛んでいます。
空に舞い上がりながら、歌い、舞い踊り始めたルナリス、横に付き従うは2振りの銀剣。
剣士3人が不思議な動作で、空に引っ張られるように浮かび上がったかと思ったら、片足を前に突き出し。魔力の衝撃波をまき散らしながら、空中を弾丸のように飛んできます。
アーツ、というのでしたか。思考操作で体を自由に、特に現実でも不可能な超常的な戦闘の動きを行う。というのは、日頃ゲームやアニメで見たような動きの再現を目指しても、まだまだむつかしいらしく。
思考操作で、ボタンを押すように、アーツという決められた動きをシステム側で自動的に、体を操ってもらう。そんなプレイスタイルも一部で、はやっているらしいのでしたね。
多くの方はこのアーツは、あくまでお手本というか、練習の師匠? みたいに使って、自分の動きや思考操作の習熟を目指しているようなのですが。私もあの体感2年の期間で慣れさせていただいていなければもっと苦労したのでしょう。
プログラム通りの動きで空を飛んでくる3人の剣士、もとい、的。
先頭の一人は剣を引き絞り、刺突の構えになると、さらに加速。
ルナリスに突っ込んだところを。あ、すでに幻覚に囚われていますね……大きく舞う動きで彼女は横にずれているのに、先ほどまで彼女がいた真正面の位置に突っ込み、すれ違いざま刀で首を刈り落とされました。
残り二人は、わずかにずれた場所を目指し、無防備に剣を縦に2連撃……しようとしたところを、空を舞う剣にそれぞれ、連撃の合間に首を跳ね飛ばされ、デッド。
そんな攻防を横目に、AGI全開で敵後衛に突っ込んでいた私は、魔力を弓に収束しているエルフが反応する前に、弓ごと双短剣で薙ぎ払うと同時に、融炎を起爆。消し飛ばします。
先ほど泥沼を発生させた魔術使いは、すでに用意していたのでしょう。吹雪を私に向けて放射……しますがごめんなさい、もうそこにはいません。
最高速度で錐揉みしながら、広げた双短剣に炎をまとわせ、残る二人をまとめて、蒸発させ。
“WINNER: Party - ナオ&ルナリス”
勝者コールのアナウンスを無事いただきました
【予選第2試合 VS PT ”ドヴェルン工房“】
倍率:3.4倍
保有ポイント:0
賭けポイント:45万+最終報酬の100%
勝利報酬ポイント累計:6万 (最終集計時、賭け累計獲得 4.5倍)
「ふふ、消耗品が復旧する闘技大会こそ最高の性能試験場!」
「しかり!」
「悪く思わないでくださいねぇ!」
「ついでに工房の宣伝なんだな」
次々語り掛けてくる6人のむくつけき大男たち。
皆さん一様に禍々しい武器やら珠やらを手に持っています。
揃いの作業着にはお揃いのエンブレムと、でかでかとドヴェルン工房の名前。
「ナオ……様と……わたくしの愛の巣のため……おして、通りま……す」
お相手も装備を展開済みなので今回はルナリスも空飛ぶ剣を、すでに両肩後ろに侍らせています。
「おぉぉ、ファン〇ル、ビッ〇、しかもお姫様!」
「あつい、あつすぎる!」
あ、なんだか趣味にぶっ刺さってますね? 気持ちはすごくわかります。
カウント0
広域攻撃アイテムがあるであろうことを警戒しながら、突貫。
高威力アイテムと分かっているなら使われる前に……
4人が持った珠から一斉に、ひときわ強い閃光
「ちょ、それじばk」
言っている場合じゃない。ルナリスの前に壁になるように飛び込み
転身 顕現体/裏 堕天使モード
高耐久のこの身でもたった1発の超広範囲攻撃で、6割も削られたとんでもない威力。
身体衰弱で最大耐久力は低いルナリスも、辛うじて私が壁となったことでHPミリ残り。
が、そこからは超速再生であっという間に完全回復。
「すっご・・・」
思わず零しつつ相手を見れば。
あ、4人消えてる……超高威力自爆技……いや、もしや暴発?
惚けている場合ではありません、防具に特殊な効果があったのか、残った2人、鱗をつなぎ合わせた鎧はいつの間にか消え、構える斧と大剣はすでに振りかぶられ、私達それぞれに向けられています。
力の限り振り下ろされた武器の先端から迸る、強烈な閃光。
力任せに空中でサイドステップしながら
転身 顕現体/表 天使モード
光の斬撃の横を高速ですり抜け、融炎一閃。
ルナリスの方はと言えば
「月魔術 – 鏡月」
統合した”月影刀舞”で可能となった、刀を用いた舞いと月の魔術が生み出す、反射の特性。
ぴたりと合わされた刀の振りが、閃光を跳ね返し、見事最後の一人を打ち取り
“WINNER: Party - ナオ&ルナリス”
一歩間違えば負けていましたね……恐ろしい。
そんな感じで日に1-2試合づつ進み。
賭けの、試合別勝利時倍率も相手次第でかなり変動。
第3試合以降 2.0倍, 1.6倍, 3.2倍と進み、
【予選第6試合 VS PT ”クルセイダーズ“】
倍率:9.2倍
保有ポイント:0
賭けポイント:1,566.72万+最終報酬の100%
勝利報酬ポイント累計:60万 (最終集計時、賭け累計獲得 14.7倍)
元金となった10万ポイントも膨れに膨れてついに1億の大台を突破。
ただ、この分は負ければ、掛け金として消滅するポイント。
そろそろ、念のために賭ける割合を落として、ポイントを一部貯金すべきでは……?
とも思いますが、ルナリスが欲しいお城と他諸々関連、サユキさんと過ごすための関連、それぞれの必要景品を考えると……。
あ、頭がくらくらしてきた……だめです、やるしかありません……ポイントがいくらあっても足りない……。
でも、どこかで、お城と古代魔導人形の最低限分はキープしましょうね……。
で、そんな皮算用をするよりもお相手をしっかり確認しましょう。
なんというか、王道正統派ファンタジーの、勇者様系? パーティーですよ。
コロシアムの観客席からも、黄色い声援が飛ぶ、イケメン騎士様。
「やぁ、麗しの僕のお姫様。貴女に刃は向けたくない、どうでしょう、ここはリザインいただき、カフェに参りませんか?」
え、こいつうちの、ルナリス口説きました? あん……? 挙句、僕の??
ブッコロスゾ?
刀2振り、抜き身で構えた、ちょっと目の逝っちゃってる、赤髪赤マントのお兄さん
「天使ちゃん、天使ちゃん、お兄さんと回転木馬に乗りに行こうよぅ」
あ、これ私に言ってます? え、身長的にちょっとロリィに片足突っ込んでますが、え……
「討滅いたします……わたくしの……ナオ……様に……不浄なる輩が……」
ルナリスからとんでもない暗黒の波動が……。
決めました、これはもう何もさせずにぶっ潰します。
本戦まで、手の内隠すとかちょっと考えていましたが、倍率をみても、彼ら、優勝候補の一角とかですよね、きっと。
むしろ、油断したらこっちがやられそうな気がしてきました。ええ、そうですとも。
あとの4人……もまた、狙ってますねーという感じというか、あれですね。
イケメン騎士様にお目々ハートで視線送りつつ、なんかルナリスに嫉妬の視線を送っていやがりますね?
金髪巨乳僧侶に、ロリロリ魔女っ娘、正統派姫騎士様風ポニテ娘、いかにも毒っぽい短剣のシーフ娘。
カウント10
「半分本気で、参りますね」
一応一言、宣言。
転身 顕現体/裏 堕天使モード
開幕の距離は十分。
もう70日以上、試練の間の体感時間を考えれば1年は2人で戦い詰めだったのです。
意思伝達から伝え合う感情の流れも含めれば、互いにもはや言葉もいりません。
カウント5
武器は未だ、初期からのハルバードのまま。
が、それがむしろブラフになる。
武器は一番目立つ装備個所の一つ。気のゆるみをわずかに感じますね。
「だ、だだだ、堕天使ちゃんだ、うへへ」
何が、うへへ、なんですか……これでトップ勢ですか……。
イケメン君も、すっかりルナリスに汚らわしい目線を。
カウント0
定石通り、シーフ娘と、二刀のお兄さんが速攻突っ込んでくる。
身に届く刃の痛みも、異常抵抗を抜け、積み上げれてゆく猛毒状態も無視し、魔力全開。
空を舞う銀の剣が、イケメン騎士様をくぎ付けにし、歌い舞うルナリス本人もひたすら上へ、上へと、昇って行く。
「旧支配者よ。冷気の炎をまとう神よ。新たなるオールドワンよ」
正しき祝詞の明かされぬ、されど、確かにこの身に力宿る、アフーム=ザーに願い奉る。
2人がかりとはいえ、あっという間にHP3割に削られているのは、さすがとしか言いようがありません。
致命傷で一発デッドとなる首や心臓だけはハルバードを用いたパリーで凌ぎつつ、
「氷炎……」
呼びかけに、悍ましさを宿した魔力の変質を、さすがはトップ勢。
怖気を感じ取ったか、魔女っ娘が、ルナリスに向けていた暴風の刃をこちらへ解き放ち、後衛の守りについていた姫騎士風が盾に光を宿らせ、疾風のごとき速さで迫りくる。
HP1割
迫るシールドバッシュに、なぎ倒されるその寸前。
はるか上空へ至ったルナリスが、幻影の姿をいくつも映し出し、片手間に打ち出されてくる魔術の嵐をぎりぎりのところでいなしつつ。
紡ぐは愛の証のスキル、その権能の一端
「狂愛の楔 – 渇望」
私を望む彼女の声。
“貴女を傍に、ただただ、傍に、いてほしい”
そんな銀の姫の願いが、地上で刃に身をさらす私を、彼女の前へ、瞬間転移。
堕天使に迫る全ての脅威が標的を見失う。
「封ぜよ」
神への願いは結ばれた。ただ告げる、私の声に。
“神話級-冷炎“, ”魔術掌握 : 特化 - 干渉“, ”消費増幅“, ”特化効果強化“, ”反属性強化“
灰白色の凍れる炎が、全てを覆う。
瞬間的な冷却に、空気すら凍てつき、ダイヤモンドダストが空を舞う。
きらきら、きらきら
相当高位のモンスター由来と思しき猛毒に、ついに私の生命力を削りきられ、背水の効果発動。
いまだ続く毒に、再度の死亡による退場は避けるべく
転身 顕現体/表 天使モード
光輝魔術で猛毒の状態異常を治癒。
抱き合う私とルナリスの。
ああ、眼下には。
灰白色の炎がゆらゆらと揺らめき、命あるものは全て氷に封ぜられた。
美しき彫像が6体。振り散る氷の華に、彩られ。
“Party - クルセイダーズ 戦闘不能、復帰不能を確認”
“WINNER: Party - ナオ&ルナリス”
静寂が、闘技場を包み込んだ。




