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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第2部 - 第7章

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171.7章 - 第12話 ”屋内プールは魔法のお味? #2/2”

「ご無事で……本当に良かった、です」

 そよそよと、屋内にかかわらず、穏やかな風が優しく靡くプールサイド。


「原因の、慌てちゃった私が言うのはあれですが、ナオさんは本当、自分の安全第一。それから私達です。いいですね? って言っても頷かないのでしょうけれど」

 ええ、まあ、それは確かに、頷けないですが。私にとって最優先はお二人ですから。

 先程までグロッキーだった堕天使の身に、虚空に生み出したお水をグラスに注ぎ渡してくれる紗雪。


「ん。冷たくておいしい」


「なんだかもう、自然に魔法を行使していますね、二人とも」

「コツ……がつかめ、ました」

「なんか、なんでしょう、体内にあるこの魔力器官? が、繋がったというか、自然と一部になったというか」


 ええ、そうなんです。先ほどの私の半身、堕天使ボディが溺れた事故。

 必死に救おうとしてくれた二人が、風と水の魔法を発動。救助してくれたというのが実情でして。

 それからというもの、2人そろってルナリスが風の魔法を、紗雪が水の魔法を、苦も無く行使しているのですよね。


 SEO内ならまだしも、この現実で実際に無から冷たい水がちょろちょろと生まれたり、ガラス扉を締め切った中の空気がゆるゆると渦巻くように風を起こしているというのは……なんとも現実味を欠いた光景と言いますか。いえ、できるという事は、聞いて知っていて。練習もしていたのでひたすら喜ぶべきことなのですが。


「うぅ、できません」

 呻く天使ボディの私。ヒーチチェアの上で、プールの方向に指を向け。小さな火を生み出そうとしているのですが。


「ゲーム内と違ってマナがやっぱり動きません」

 そう。この現実に来てから毎日練習している体内マナの循環ですが、どうやってもうまくいかないのですよ。


「おそらく……マナの循環ができるように……なれば、すぐ、です」

 まあ、SEOの中で散々練習して、紗雪とのエンゲージメントスキル”依依恋恋たる抱擁 -昼想夜夢“で全てを共有し合った状態であれば、魔法の行使ができるようになっているわけですからね。

 無理やり魔術式の起動に魔力を持っていかれない現実であれば、より容易いと、言われていた通りなのでしょう。


「ナオさん、ナオさん、魔力を循環させる訓練と言えば! 古来より、決まっていますよね?」

 にまぁ、っと笑みを浮かべる紗雪。いつもと違う水着姿が身体のラインを浮かび上がらせていて、くねくねと緩くゆする身体の動きがはっきりと見えています。


「そ、それはまさか! て、いやいや、それはファンタジー小説の中のお話しで」

 ええ、不思議と残っているサブカルチャーの知識。それが囁きます。

 これはいけない、いけないあれだ! と。


「ルナリスちゃん、天使ボディの方をお願いしますね♪」

 警戒する暇もあればこそ。指をわきわきさせ、とんでもなく迅速に動き出した紗雪。

 ただでさえまだ本調子ではない堕天使ボディがビーチサイドチェアのほとんど横になった状態のままな所に、腰の上に馬乗りになると。


「向かい合わせになって、両手を合わせるんですよ~」

 両手をしっかりと恋人つなぎして胸の前でつなぎ合わせます。


 天使ボディも、驚くほど速やかに、ルナリスに制圧され。

 腰の上に感じる柔らかな感触。純白の水着にうっすらと透ける肌、絶景を見上げる眼前には恋人つなぎに合わされた両手。


「じゃあ、ゆっくり魔力を循環させますから。体内のマナ生成器官で……か・ん・じ・て。くださいね♪」

「やさしく……してさしあげ、ます」


 え、ちょっと、ルナリスもなんかわかったような、蠱惑的な表情で。


「「あ……ぁ、これ……だ、だめ、だめぇぇぇぇ……!」」

 両方の身体からこらえ切れずに切なげに漏れ出す、か細い悲鳴。

 だめ、だめだめだめ、これダメだってぇ。

 フロアすら違うご近所さんに聞こえなくても、私が自分で聞いてダメになっちゃうぅ。


 ちょっとエッチなファンタジーは、本当だったんだ……!


 体内の、ありとあらゆる触られちゃいけないところを、やわらかな、ひだひだの何かで撫でられるような。

 ぞわぞわして、背筋が跳ねちゃって、しっとりとした汗がにじんできちゃって。


「「ふみゅぅぅ……!」」

 そんな感覚がダブルで両方の身体を同時に。

 しかも、紗雪の方は強く激しく、それなのに気遣いの感じられるぎりぎりの。ルナリスの方は、静かで優しく、それなのに時々意地悪するみたいに激しく。

 だんだん2人との境界もあいまいになって、蕩けあっていくような。緩やかなのに、甘く激しい、幸福の絶頂。


 ぴくぴくと痙攣しながら、幸せに緩んだ身体で放心した私と。そんな私に、覆いかぶさって体を擦り付ける2人。という情景は1時間もの間、続いたのでした。





 ――廻る廻る、魔力が廻る。

 心臓裏、丹田、咽喉、脳髄。一段階高みに上ったような、高揚感と熱に満たされる。

 身体を駆け巡る万能感。


 炎の華と氷の華が、私の眼前に1輪づつ咲く。


「大分安定してきましたね」

「おかげさまで……」

 ちょっとだけふくれっ面の私。


「やりすぎ……ました?」

「いえ、いいんですよ? いいんですよ~? 気持ちよかったですし~?」

 しっかり魔法発動という目的も達し、気持ちも良かったですけれどぉ。


 ……まだお腹の奥がうずうずとして、切なくて泣きそうに心が不安定になっているのですよぉ。

 だって、彼女達、最後になんて言ったと思います!?


 自分達だって、息も絶え絶え、甘い吐息を漏らしているのに。

「あ、今はこれ以上はダメでしたね」

「夜まで……お預け、です」


 うぅぅ。

 ドロドロに溶けて気が狂いそうなのを、魔力の循環と放出で必死に紛らわせていますけれどぉ。


 そんな私の見え見えの状態を、昏い悦びを讃えた微笑で見つめてくる2人。

 元々小悪魔なところのあった紗雪はともかく、ルナリスまでちょっとサディスティックなのを覚えた悪い子になっちゃったぁ。

 あ、だめ、意識を魔法に逸らさないと、本当におかしくなっちゃいそう。



 結局、プールどころじゃなくなって。降参した私が2人に泣きついたところで、お風呂でごにょごにょ。

 からの、大きなベッドの待ち構える寝室……ではなく、一面鏡張りのサブリビングルームで……。


 2人が感覚の増幅に未だ慣れない現実世界側で初めて、私が敗北しました……悔しいでも気持ちいぃ……。


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