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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第2部 - 第7章

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165.7章 - 第6話 “生放送『デウスの秘密、世界の変革』 - 控室”

「風華さん、ナオさん、今日はよろしくお願いしますわ」

「この姿の時は”草の姉御”の方が通りがいいんだがなぁ(´・ω・`)。まあ、よろしく頼まぁ(`・ω・´)」

「ええ、よろしくお願いします」


 えー……なんでしょう。私の目の前には非常に、シュールな光景が広がっています。


 一人は、黒いシルエットだけの細身にロングヘアの女性。年齢も容姿も、それ以外はいまいちよくわからない。まあ、こちらはわかります。私達と会うときは”黒蝶姫”と名乗り、同じ001サーバーで大活躍のトップソロプレイヤー。しかしてその正体は、Deus ex Machina Corp.CEO、超技術の産みの親? あるいは、世に広めようとしている御方? 公表されている名前でお呼びすれば、夢咲CEO。

 まあ、こちらは正体を隠したいという事情も分かるので、良しとしましょう。


 問題はもうお一方。風華さんと呼ばれた、”草の姉御”さん?

 猫じゃらし? が喋っています。正式名称はエノコログサ(狗尾草)というのでしたっけ?

 黒い鉢植えに一本だけひょろんと植えられた草……。

 表情とか全く読み取れないのですが、代わりのつもりか彼女? が喋る時には吹き出しが草(猫じゃらし)の上に出て、顔文字が表示されます。


「はは、ナオ氏は戸惑うよな。配信とか、見ないだろ|x・)?」

「え……ええ、まあ、そうですね」

「あたしも運命値100を選んだプレイヤーでね。これは初期アバターってか、キャラクターの姿。今はまあいろいろ進化したけれど、やっぱりあたしと言えばこれだからさ c⌒っ*゜―゜)っ」


「風華さん、草の姉御さんがあなたに続く、住民の移住計画の第2陣ですわ。正確には、でした。ある事件があり、顔と名前が世間に知られてしまった事もありまして……警護の強化にもなるという事で、予定を前倒しさせていただいたのですわ」

「まぁ、そういうこった(`・ω・´)。でまぁ、別にお互い住民の子達も一緒でも問題ないんじゃないかい '(*°∇°*)'? ナオ氏どうだい?」


 今いるこの場所。いつものSEOへのログインと方法は同じですが、ログイン先として用意されたのは別のバーチャル空間。

 その中にある一室だそうです。内装はシンプルないわゆる会議室風。少し高価なオフィス家具でそろえられています。


「ええ、そうですね」

「ナオさんは風華さんの事をもっとお聞きにならなくて良いですの? 一応そのための措置でしたのに」

「風華さんが聞かれたくない事がある。という事でなければ、必要なお話は皆がいて問題ないかなと」

「ウン(*-ω-)(-ω-*)ウン」

 異論なさそうですね。


「では、お呼びしますわね。斎賀?」

 黒蝶姫さん……いえ、夢咲CEOの呼びかけに、会議室の中に現れた2枚の新しい扉。片方から出てきたのはもちろん、ルナリスと紗雪。今日は私たち全員、翼とヘイローはしまってあります。


 『もふもふ! もふもふです!!』


 登場するなり、ルナリスが念話で大興奮。今にも抱き着きに行きたくてうずうずしているのが、伝わってきます。

 何事かと反対側の、もう1枚の扉を見れば、そこから出てきたのは2匹の動物。

 クリーム色のそれはもう愛くるしい、小さな猫ちゃん。ラガマフィンという種類らしいです。

 そして、真っ白な毛並みがふわっふわの、大型犬。こちらはサモエドですね、分かります。

 2匹ともそれはもう綺麗にブラッシングされた、美しい毛並みに、愛くるしい表情。

 机の上の鉢植えから生えた猫じゃらし……風華さんの姿を目にするなり、大喜びで駆け寄っていきます。


「「あ……」」

 声を出したのは私と紗雪。

 それもそのはず……愛情たっぷりに尻尾を振って駆け寄り、はぁはぁしながら机の下から見上げる、サモエドちゃん……は、いいのですが、ラグマフィンちゃんが……。

 ぴょん、ぴょんと、椅子を経由して机の上に飛び乗ると。

 ぱくり。

 もしゃもしゃ。


 にゃんこは猫草を食べてしまう、という話は聞いたことがありますし、アニマル動画なんかで昔見たことがある気がしますが。風華さんをぺろりと、食べちゃいました。


 さしものルナリスも……あ、はい、気にしていませんね。愛くるしい2匹のわんにゃんペアにくぎ付けですよ。

 まあ、あの草が人間だなんて思わないでしょうしね?



「だぁぁ、ミーちゃん! だめでしょ(°Д°) いい加減慣れたと思ったのに、ってあれか、あたしが初期アバターだからか!! |li_| ̄|○ il|」


 ピカッ。

 小さな光が鉢植えを包み、再び生えてくる、猫じゃらし。

 今度は食べられる事はなく。たしたしと、ラガマフィン……ミーちゃんに、猫パンチで遊ばれています。



「あー……なんかすまねぇ。m(_ _)m 改めて自己紹介するな? あたしが、風華こと”草の姉御”。未だに誰とも合流できていない、別大陸でプレイが始まった運命値100のプレイヤー。草系ってか、草が本体。テイム系のスキルでいろんな子を仲間にしてる。今日連れてきている2匹が最初期からのメンバーだ。猫が、テイムモンスターのミーちゃん。犬が、ポンちゃん、ナビAIだ……」

「みゃぁ」

「よろしくわん」


 えと……さすがに思考が追い付かないのですが?


「あはは (ノ∀≦。) まあ、戸惑うわなぁ」

「あ、いえ、失礼しました。私がナオ、身体が2つありますが、あくまで一人の人間です。そしてこちらが、ルナリス。現実へと移住した元住民で、元お姫様。こちらがナビAIの紗雪です」

「よろしく……お願い、します……もふもふ、かわいい……です」

「よろしくお願いしますね。草の姉御さんの配信は、私チェックしていますよ。先日は大変な目に合われ……」


「あはは、まあその事は良いのさ。ポンちゃんのおかげで無事だったからな。んでまぁあれだ。お姫さん? うちの子達なら、もふってくれて大丈夫だぜ? なぁ」

「わん!」


 とてとてと、ルナリスの元へ来てくれるサモエドのポンちゃん。

「お……お言葉に甘え……させていただきます」

 それはもう幸せそうに、ふわっふわの毛並みに、きゅっと優しく抱き着きます。

 にゃんこは相変わらず、というかさらに激化して、両手で激しく風華さんをてしてし、していますね・

 さながらシャドウボクシング。ワンツー、ワンツー。グシャッ。


 あ……また鉢植えの中でリポップした。



「こほん。本日ですが、こちら陣営の質疑応答は基本的にわたくしと、斎賀が担当いたしますわ」

「陣営……?」

「ええ。実質、という意味ですが、向こうもそのつもりでしょう。この番組の趣旨は要するに、デウスが生む利権をいかに、都合よく引っぺがすか。そのための世論形成の一環ですわ。それに対して私達は、臆することなく突っぱねる! それだけですわね」


 黒蝶姫……夢咲CEOは自信満々に胸を張って言い切ります。またの言葉足らずにすかさず斎賀さんが。


「当初、政府機関他からの要請……大方他国や既存利権団体からの強烈な後押しで始まった事です。出演者は先方指定の人員と私共のみ。放送形態も地上波のみ。場所も地上波のスタジオでであったところに、私共からいくつか条件を付けたのです。お二方の参加。全世界同時配信のWeb配信等。場所も当方用意のこの仮想空間。協賛企業様からの参加希望もいただきましたが、これはお断りいたしました」


「私達が何かお役に立てるとは思えないのですが?」


「いえいえ、とんでもない。お二方がどれだけ、動画や配信を通じた影響力を持ちか。何より、美少女と可愛い動物は正義。ですよ? 幸い相対するお相手は、まあいわゆる、意地汚い大人とおじさん。矢面に立たせることに悩みはありましたが……今が正念場の局面を迎えておりまして。まっとうな技術実証は既に完了し。もはや、政治工作でもなく、世論形成が大切な時期に来ているのです」

 斎賀さん、悪い顔してる。

 黒蝶姫さんが素顔で登場すれば、その面はクリアできそうですが、まあ、お顔を隠されていますからね。


「それと、この場ではっきりと。お二方、あるいは今後住民移住プロジェクトに携わられるプレイヤーの皆様は、Deus ex Machina Corp.の庇護下にある事を、全世界に向けて宣言させていただきたいのですよ。世の中にはよからぬことを企む輩が多すぎまして……ご負担をおかけする事は重ね重ね申し訳なく思いますが、そのためのアピールともご理解いただければと。普段の生活を私共が全力でお守りする事が決まっている、お二方しか頼める方もいらっしゃらず」


 デウス側とどうせみなされているならば、何かすればデウスが黙っていないぞと、表舞台で実質宣言してくれるわけですか。

 今もすでに特別な敷地内で守っていただいているわけですし、異論はないですね。


 そもそもルナリスの美貌だけでも、犯罪に巻き込まれないか心配です。


「実際、あたしはわがまま言って、ふらふら元の住処にいたところを狙われたからなぁ ( ノД`)。 あぁ、そうだ、今度から同じ敷地内に引っ越させてもらうから、どこかで会う事になるかもな」

「おや、そうなのですね。その時はどうぞよろしくお願いします」

 ええ、ルナリスも喜ぶでしょう。

 今もまだ幸せそうに、お話しはきちんと聞きながらも、サモエドのポンちゃんの首筋に、お顔をうずめていますから。

 うちも現実世界でもペットを飼うべきか悩みます。



「では、スタジオに移動しますわよ。よろしくて?」

 あ、ついいつもの防具でもあるドレスのままですがいいのですかね?


「そうそう。前半は不愉快な思いをすると思うけれど、許してくださいましね。適当にイチャイチャして待っていてくださればいいですわ♪ 配信コメントにだけ気を配って、ないとは思いますが、もし相手側に触れるようなことがあれば、視聴者の期をそらしてくださいませ」

 くつくつと、喉の奥で嗤う彼女に問い返す間もなく、場所は切り替わっていました。

 感覚的に、セレスティアの転移と同じですね。


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