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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第2部 - 第7章

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163.7章 - 第4話 ”湖畔の休息 #1/2”

「みなさん、こんにちは」 「今日はピクニック配信です」


 `急に長閑(のどか)`

 `さすがナオ氏達。”彷徨いの樹海”でピクニック?`

 `湖? プライベートエリアとも違うよね`

 `悠久の楽園なら、お城と浮島が見えるはず`

 `彷徨いの樹海にしては開けすぎてない?`


「実はですね。ミドガ帝国、帝都で開催される祝賀会? 表彰式典? に皇帝陛下直々のご招待状を戴いてしまいまして」 「日程の余裕もあるので、その道中、観光など楽しむのもいいかなと」


 実際は、大陸中に少しづつ展開範囲を広げている、宝石蝶のセレスティアに道中かなり長距離転移で端折ってもらっています。“彷徨いの樹海”攻略に勤しんで、帝都に分身が到達してから、一気に転移してもらう。という効率重視プレイもできたのですが。それはさすがに味気ないという事で。せっかくのゲームですから、楽しもうという事にしたのです。


 `そいえば、SEOって、拠点間テレポートとかないよね`

 `あ、それそれ! 個人のスキルでテレポートとか、魔術の転移ゲートを使えばできるけど`

 `その辺、リアルだよね~`

 `しいて言えば、デスル〇ラは出来る?`

 `死んで元の町に戻るやつな?`

 `そうそう。でも、テイムモンスとかパーティーメンバーも全部死なないと無理だし、痛みなく死ぬ方法が限られるから、やる奴なんていない。ソロの戦闘狂も、経験値デスペナがあるから、普通やらない`

 `まあ、そんな事のために気楽に死ぬようなら、精神壊れてるわな…… `


 うん、これを見ているとやっぱり、セレスティアの能力はあまりおおっぴらにしたくないですね。

 この子、分身同士の転移ができるので極論……長距離転移屋さんだってできてしまいます。

 よく考えなくても、とんでもない子ですよね。さすが、500億ポイントという、前代未聞の卵から長期間かけて生まれた子。

 一見地味に見えて、超絶スペックの子。さらにそれも、ルナリスの時空と宝石の属性のおかげですが。

 他の3体ももちろん同様のポテンシャルを秘めています。ただ、今時点では汎用性の高さでセレスティアがどうしても一歩抜きんでて見えますね。


「それで、ですね。まあ、ご覧の通り」 「大変、のんびりとしておりまして」


 ええ。ほら、視線を湖畔に移せば。

 金毛銀毛狐のカグラを胸の中に抱きかかえ。黒い大型犬姿のリィナによりかかり、もふもふぬくぬくに、包まれてうとうとしている麗しの銀の姫が。


 上空に視線を映せば。

 少し大きくなった竜属性のクジラ型ふわふさモンスター、アリアに横座りになった紗雪が、ゆらゆらと、遊覧飛行を満喫中。

 こちらに気が付いて、おててを振り振り。


 さらにそこかしこで、人形少女の子達が、わいわいきゃいきゃいと、遊んでいます。

 この子達もローテーションで遊びに出てきてもらっています。

 領域への侵攻(タワーデイフェンス要素)は、ここしばらく、どのプレイヤーの領域においても沈静化しているとはいえ、常に何かしらは攻め込んできていますからね。完全にお留守にまではできないのです。


「と、言うわけで。今日はあまりコメント等は拾えず、私達がまったりしている様子の垂れ流し」 「いわゆる作業用配信? とかそんな感じです!」


 `笑ったwww`

 `まさかの、作業用配信ときたかw`

 `たまにはいいというより、むしろ、日常を見たいので嬉しいです`

 `いやん、なシーンだけ気を付けてね?`


「はい。いつも通りマルチカメラですが、一応、カメラの画角とかも紗雪が気にはかけてくれています」 「でまあ、今日はだらだら配信になるので、先に告知です! その為にルナリスと一緒に“すやぁ”せずにこちらにいますからね、私」


 そうなんです。これはデウスから依頼としていただいたお話。斎賀さんとプライベートのお話しを終えた後、この件も正式に、説明されたのですよね。


「すでに、方々で情報は出ているかと思いますが、3日後。9月14日の日曜日」 「完全生配信となる、『デウスの秘密、世界の変革』という、Web、地上波同時生配信の番組に私達も出演する事になります」


 `スペシャルゲスト枠ってこと!?`

 `番組の告知は知ってるけど、それ知らないw`

 `かなりギスリそうで心配されてる番組だよ? 大丈夫?`


「あら、そうなのです? 簡単な説明は受けているのですが。確か、デウスの社長さんとの討論番組ですよね」 「私達は、SEOプレイヤー兼、住民移住第1号として賑やかし役と聞いていますが」


 `にぎやかしって`

 `配信スタジオは、デウスが用意するSEOの別サーバー。それ自体何か、発表に関わるとだけ告知されてる。ただ、まあこれは完全にデウスのホーム側。問題は参加者`

 `そうだよなー……`

 `見るか正直迷ってた`

 `不愉快な思いしそうでなー`

 `でも、コメント機能解放されるから、俺らで応援せな`

 `デウス応援`


「ごめんなさい、私達は気楽に自由にイチャイチャしててって、言われただけで」 「そんなに危なさそうな感じなんです?」


 `イチャイチャ指示www`

 `マジで癒し枠になるなこれwww`

 `んとなぁ。まず、司会者が権威主義ってか……うん。で、主な質問者? が、まあ。いろいろ市民団体とか利権団体と繋がり濃厚な野党の政治家。諸々オタク文化規制派の人権団体繋がりの芸能人。SEOのサービス追い出して、マテリアライズ絡みで、権利と技術全部よこして無料開放しろって迫ってきていた某国に言いなりのキャスター`

 `SEOと協業発表したロボトロニクス系の企業とかもゲストで声がかかってるらしいけれど……かなり辞退も多いって聞いてる`


「えーそんなアウェイな感じなんです?」 「え、私達完全に場違いじゃ」


 `全部ぶち壊すくらい、いちゃいちゃして欲しい`

 `ほんそれ`

 `初めは、地上波のみで放送予定だった。それを、デウス側が会場提供するついでに、時間加速を切って、従来のWeb配信プラットフォームも、全部放映解放。配信者のミラリング配信も全許可。ただ番組構成は地上波のままで、さっきのコメントみたいなコメンテーターっていう陣容`


 斎賀さんからは、細かい段取りとか気にせず、のびのび、自由にやってほしい。って言われたんですよね。

 もちろん公共の電波や公開放送の場で、いちゃいちゃする気なんてありませんよ? もちろん。

 何か意図はあると思うのですけれど。胃が痛くなりそうですね。


 まあ、今考えても何も始まらないので!

「まあ、そんなわけで! 皆さん、私達も出演します。そして私達のこの配信チャンネルでも、同時配信」 「コメントを音声では拾えませんが、紗雪がドール体でテキストベース(文章)コメント欄に適宜お返事します」

「「なので。見ってね~♪ と、いう事で。私も遊ぶ~!」」


 `飛んでったw`

 `切り替えはやw`

 `あぁ、今日は堕天使ボディでルナリス姫のお隣に。このちょうどよい身長差。素敵ですわぁ。`


 もふもふに包まれながら、幸せに先に眠ってしまったルナリスを後ろからぎゅー。彼女、進化して翼が生えてからは、何となく癖で、丸まって眠るようなしぐさが増えたのですよね。

 翼があると、仰向けで眠れないし、うつぶせで眠るのには慣れていない。そうなると横向きで眠るわけですが、翼を楽にするために軽く背中を丸めた体勢になりがち。で、まあ、実際は翼を消せるので、そんなことをする必要もないのですが、まだ消せなかった頃の私の眠る姿勢に合わせていたせいか、癖になってしまったみたいで。

 日向ぼっこしながら眠るにゃんこみたいに丸まって、銀の髪を身体に沿わせるルナリスの後ろに私は潜り込んで、胸の中に抱きしめるわけです。さらに彼女の腕の中では、同じく丸まって眠るカグラ。

 そんな私たち3人を包み込むようにリィンが、しょうがないなぁ。という表情をしながら、身体のサイズを大きくし、大人しくもふもふのベッド役を務めてくれていると。


 `あぁ……可愛いの四層構造`

 `ちょっと身じろぎしただけで、安心しきった様子のまま眠り続ける、ルナリス姫`

 `そろそろSEO内も現実と同じく肌寒くなってきているころだけれど、リィンちゃんにうずもれて、カグラちゃん抱っこして、あったかそう`

 `どこかわからないけれど、ぽかぽかの日差しも、気持ちよさそうだよね`

 `はやく、早くこの崇高なシーンの絵画を! 手配するのですわ! まずはプリントアウトして額装を。しかる後に、イラストを発注ですわぁ!`



 ん、ほんと、気温は少し肌寒いのに、こうしているとポカポカしてきて。


 すやぁ。



 いつも戦ったり、気を張っていたり、後は2人とイチャラブしていて、落ち着いて自分の内面を感じるタイミングが無かったけれど。

 こうしていると、なんだか、すごく不思議な感覚。


 2つの身体をはっきりと意識する。

 厳密には魂の入れ物としての、”不朽の束縛”が”悠久の楽園”にあるわけだけれど、こっちは強く意識しないと体としての感覚がない。宙に浮いた意識が、2つの身体を操っている。TPSやMMOとかそういう三人称視点のゲームで、自分のアバターを俯瞰で斜め上から見ている。そんな感覚。

 それなのに、はっきりと、普通の人間と同じ、自分の身体の中に自己が存在する感覚もある。

 2つの感覚が同時に存在する。しかも体側は2つ独立して……。

 これは、今の新しい現実世界の自分でも全く同じ。


 魂の容量? 大きさ? そういうものが常人の2倍以上って、斎賀さんが言っていたから。もしかして2つに分かれたりそういう感じかなって、変なことを考えたりもした。けれど、片方の身体が眠りに就こうとしても、思考が止まったり、堕天使ボディを感じる感覚がなくなるわけでもない。

 あぁ……やっぱりなんだか不思議な感覚。ナオという自己はやっぱり、魂にあって、両方の身体が同時に意識を失っている間だけが、本当の意味で眠っている時なのかも。


 うん、よくわからないけれど、何となく。本当に何となく、わかった気がする。

 魂としての私が、私で、それはあくまで一人の私なんだ。

 今の私にとって身体は、SEOでも現実でも、どちらもアバター。感覚器官であり、世界に働きかける出力器官だけれど、本体は魂。

 あやふやな記憶になってしまったけれど、かつての普通の人間だった私とは、かなり違う感覚かもしれない。


 不朽の束縛のピンクダイヤモンド、魂核に封じられた自分を強く意識しなおす。両隣に愛おしくてたまらない、二つの温もりを感じる。ルナリスと、紗雪の、魂核。

『ルナリス……』

 そっと囁きかけてみるけれど、うん。魂も体と一緒に眠っているね。

 魂と魄(身体)の一致。


 私は、やっぱり……人間とはもういえない……のかなぁ。

 銀の姫の在り様(ありよう)をしっかり守らなくちゃ。そんな事も、改めて意識する私。


 うん、でも今は一緒にぬくぬく、ただ何も考えず、幸せを感じようね。


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