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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第1部 - 第5章

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128.5章-第22話 ”テイマーの戦い方? #1/3”

 ひりひりとした熱さを、まだ距離があるにもかかわらず感じる大きな火の球が、草原に群れた色とりどりの、ぽよぽよと弾むモンスターの一角から放たれる。


「カグラ」


 ルナリスの呼び声に、彼女の胸の中で抱っこされていた、金毛銀毛の”陰陽の守護狐”が飛び出す。その瞳が、彼女の呼び声に呼応するように、強い意志の輝きを宿す。


 火の球を尻尾ではたくと、飛来した軌跡を逆にたどり、先ほどの火の玉よりも巨大かつ濃密な魔力を宿した水の球が、攻撃元にいた”☆3 エレメンタルスライム”を直撃。反対属性の弱点攻撃に、靄となって消える。

 “報いの輪廻”で吸収。反対属性に変換するとともに、”対の摂理”で威力を増幅、射出した、おそらく私の”復讐”属性の影響を強く受けたカグラならではの攻撃。

 草むらに無数に隠れている、エレメンタルスライム達から、火水土風、基本四属性のあらゆる魔法攻撃が一斉に射出される。次々打ち返すカグラですが、さすがに量が多すぎ、その全てを捌くことは難しいでしょう。


 念話を通じ、私が“ティアマト・ホエール”の”アリア”に防衛の指示を出す。

 優雅に空を滑った、すべすべの灰色の毛に覆われたクジラの姿をした竜属性の使い魔が、飛来する様々な属性の魔法にその身を晒すと、“浮遊する霊鱗”の効果で、着弾したはずの魔法は体の表面を滑るように方向を変えられ、魔法は無辺の彼方で炸裂する。


 `今の一体何が起こったんだ?`

 `カグラちゃん、生まれたてだよね? 強すぎん?`

 `吸収して跳ね返すって。しかも、増幅強化してるよね`

 `アリアちゃん、無敵?w`

 `魔術無効か属性無効で物理弱点とか? エレメンタルスライムだから、今のところ、受けてる攻撃は魔法オンリーよね`

 `魔法の無効化? するとか、えぐい`

 `やっぱ。使い魔が、想像よりも強すぎ`

 `モフモフたち、優秀すぎる`

 `バフとか、配っている様子もないから、本当、テイムだけしている感じだろうね`

 `使い魔達の練習と育成だね。本人達が戦ったらこの程度の敵、瞬殺レベルだろうし`


 次々弾ける魔法の光を横目に、ルナリスと

『行けますか?』

『はい』

 念話を交わし、私は各自に分身が留まっている”クロノス・ジュエルバタフライ“の”セレスティア”に。ルナリスは、黒い大型犬の姿をした” カオス・エーテル・シフター”の”リィナ”に指示。

 セレスティアの“時空の鱗粉”が”リィナ”を、敵からの攻撃の発射元、エレメンタルスライムの眼前に短距離転移させる。

 いきなり目の前に現れたふさふさの大型犬に驚く暇もあればこそ。見た目と裏腹に凶悪な破壊の力が衝撃波のように解放され、複数の色違いのエレメンタルスライムが消滅する。 


 進化時に” 不朽の束縛”に念話スキルが共有されたことで、私たち同士はもちろん、使い魔とも念話で会話ができるようになったので、配信でも内緒の話しや、明かしたくないスキルや情報を隠しながら動きやすくなって便利ですね。

 思えば私たち同士の念話は、この顕現体ではなく、悠久の楽園のプライベートエリアに安置された”不朽の束縛”に仲良く収まっている魂核同士で行っているわけですが。そな辺りの意識の在り方はどこか曖昧で、むしろこの身体に、意識は宿っている感じなのですよね。まあ、肉体の操作に違和感を感じずに済むので、この方がありがたいですが。


 `リィナちゃん、かわいい顔して、えぐいw`

 `え……消滅? 属性効果出てないよね。何したの、このわんこ?`

 `消滅系スキルと転移スキル持ち?  ゲームシステム的には防御無視攻撃かな? え……ワンコが強すぎてコワイ`

 `テレポで敵の懐に飛び込んで、範囲滅殺。えぐすぎるでしょ`

 `リィナちゃんが近くに現れる。敵は消える。ただ、射程はそこまで長くないかな? 1mあるかないかくらい?`


 セレスティアは小さすぎるのと、仮に見えても、蝶々型の宝石アクセサリーのように見えるので、転移スキルもリィナのスキルと勘違いされていますね。

 いづれはわかるでしょうけれど、今はあえて触れずにおきましょうかね。


 `指示は念話かな?`

 `たぶんそうだね`


 次々と転移で消えては現われ、草原中に蠢くエレメンタルスライムを”混沌の侵食”の崩壊の力で消滅させていく、リィナとセレスティアのペア。圧倒的な破滅に、対処の優先度が上がった黒い大型犬姿に殺到する魔法の暴威はしかし、瞬間転移を繰り返す彼らを捉らえる事は出来ない。


 予定通り使い魔達に任せた私達も、一応武器は構えています。が、これは本気での出番はなさそうですね。

 魔法習得への練習として基礎から見直そうという事で、それぞれが基礎属性を習得してきています。

 ルナリスが”☆4 雷”と”☆1 風”。紗雪が”☆1土“と”☆1 水”、それに”☆4 結界”。私が天使で”☆2 光”と”☆1 火“、堕天使姿で”☆2 闇”と”☆4 氷”。 いづれもプレイヤー取引所で購入した、☆4以下の属性スキルです。

 意味がなければ最悪外せばいいですし、私達はやっていませんでしたが本来プレイヤーの主流である、同系統属性を重ねて強化する。という方法にも沿いますからね。


 天使モードは接触発動限定、堕天使モードもデバフ特化なので、うちの子達が鉄壁の防御と共に確殺していっている今の状況では、実質私は役に立っていませんが、他の皆は簡単な放出魔術を、念話でああでもないこうでもないと、相談しながら撃っています。


 `ナオ氏達が初級魔術?w`

 `数が滅茶苦茶多いから、中級難易度のはずなのに、まったり初級魔術ぺちぺちしてるの、草`

 `今更、初級属性の魔術?`


 案の定これはさすがに奇異に映ったみたいで、配信コメントでも質問が出ましたね。


「そうなのですよ。ご存じ……かもしれませんが、運命値と初期のキャラビルドはもちろん。ルナリス絡みのいろいろもあって、かなり特殊な魔術や戦闘手段に偏っていましたからね」

 若干手持無沙汰な私が、天使の身体で、用意しておいた答えを返します。


 実際には魔術ではなく、紗雪がナコト写本の知識を解読して、初期の練習手段として考案してくれた、魔力を直接保有する属性に転換、保持する。という練習をしているのですが。

 『うまく……いきません……放出の雷撃魔術が……自然と発動、してしまい……ます』

 『私もですね。普段の弾丸形成の手前、とりあえず魔力で直接、土のつぶてを形成しようとしていますが、ストーンブレットとして放出魔術が自動的に発動してしまいます』

 『魔力の変質、という段階を意識した時点で、ゲームシステムで組まれた魔術発動の工程に魔力が流れ込んでしまう感じですよね。デバフが一番わかりやすいかなと思いましたが、それでも魔力変質の時点で、変質しかけた魔力が、魔術発動のためのSEOシステムに組み込まれた術式へと直接吸われます』

 分割された思考の一部を使って、念話でルナリスと紗雪とは、苦戦している状況を共有し合います。

 表向きは初級魔術をぺちぺちと、無詠唱で撃っているようにしか見えないでしょうね。


「基礎的な魔術の扱いから、この機会にやり直そうかなと。とはいえこの天使の身体は接触魔術特化ですので」

 目の前に双短剣を掲げ、いつもとはけた違いに弱弱しい火を、刃に沿って展開します。

「武器への付与で試すくらいしか、できないのですけれどね」


 `ナオさんの炎は、まさに一撃必殺でしたからね`

 `PVP大会でも、強豪を瞬殺していくの、すごすぎました`

 `高速飛行戦闘が見られないのはさみしいけれど、あれは目が追い付かないから、まったり配信も助かる`

 `ルナリス姫と紗雪嬢も一緒に練習してるってことか`

 `3人でまったり練習、かわいい`

 `3人の日常、ずっと見てられる`

 `癒しをありがとう`

 `動画も良かったけれど、ノーカットの配信、助かるぅ`

 `ドローンカメラ、メインの1基以外にもたくさんあって、こっちで見たい視点に切り替えて視聴できるのサービス良すぎる`

 `おっぱい、おっぱい……!`


 む……まあ、私を見ている分には好きにさせておきましょう。と、言うか、カメラの位置は視聴者側で操作できないので、紗雪がお茶目で私のセクシーアングル用カメラ、配置してますね? あとで、エッチなお仕置きしましょう、そうしましょう。


 と、そこで攻防それぞれを担っていた4体の使い魔の子達が戻ってきました。

 無事、視界の範囲を殲滅し終わりましたね。

 能動的な攻撃手が、混沌と破壊の属性を紗雪から継承しているリィナだけなので、大軍相手は殲滅力が少し心配でしたが、杞憂でしたね。今回の敵は反対属性が弱点という事もあり。カグラの対属性が弱点属性を的確に突き、1撃1殺できたことも大きいので、どこでもこうはいかないでしょうけれど。


「さてさて。この野良ダンジョン自体は割と単純な草原型、浅い場所です」 「うちの子達のならしにちょうどいい感じですね」


 戻ってきたカグラとリィナの、狐と犬コンビをもふもふと、撫でているルナリスを横目に奥の林に視線を向け。


「冒険者ギルドでもらった情報によれば、少し先に見える林の奥がボスエリアらしいですね。見える範囲の殲滅も終わりましたし、早速行きましょうか」

 ふわりと浮かび、堕天使の身体にそっと抱き着いた紗雪が上目遣いに、求めるように見つめてくるのを、頭をなでなでして応えます。


 『せっかくですから……セレスティア』

 戦闘の合間に、こっそり分身の1体を林の手前に先行してもらっていた、宝石の身体を持つ美しい蝶々の私の使い魔に念話で語り掛けます。


 数瞬の間の後、視界がぱっと切り替わると、私達はもう林の目の前に立っていました。


 `え!?`

 `瞬間移動? 新スキル?`

 `わんこのリィナちゃんのスキル? え、でも全員跳んでるよね`

 `ルナリス姫の時空魔術? でも、そんな素振りなかったし



 魔術を行使したそぶりもなく、瞬間移動した事で、配信のコメントがざわついていますね。

「ふふ、私の使い魔の能力ですよ~」 「細かい仕様はまだ内緒ですが、移動が楽ちんになってありがたいんですよ~」


 ボス戦を前にして、堪能していたもふもふから離れたルナリスが、紗雪が私のわがまま堕天使ボディにじゃれついて甘えているのを見て、あいている天使体へすすっと寄ってくると、腕に抱き着いてきてくれました。

 ここ数日、彼女をもふもふにとられて、少しだけ寂しかったのですよね。さらさらと美しい銀の髪を、思う存分撫でて堪能します。

 うん、2人とも甘いいい匂いがして、癒されますね。


 `ルナリス姫、天使のナオさんに抱き着いた!`

 `姫様、もふもふに気を取られて、気が付いたら……で、対抗心も強めなの、最高`

 `紗雪嬢も、こっそり張り合ってる? 密着度がさっきよりもw`

 `ナオ氏、両手に華? 両体に華? で幸せそう`

 `このイチャイチャ、ずっと見てられる`

 `これを待ってた`

 `ルナリス姫がキスしたら紗雪嬢も `

 `キマシタワァ`

 `配信中で、見られているのまた忘れてそうw`

 `隙あらば、いちゃいちゃ以上の事始めようとするの、えろいww `

 `張り合ってエスカレートしてるw で、使い魔達はご主人たちのイチャラブに早速慣れてるのか、まったり休んでる`

 `いつでもどこでもだもんなw`

 `ボス忘れられてね? www`


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