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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第1部 - 第5章

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126.5章 - 第20話 ”新たな家族”

 領域”悠久の楽園”の最上に浮かぶ、宝石城の中枢部。巨大な魔石に護られ、こんこんと清水の湧き出るそこは今、温かな光に包まれていました。

 光源は2つの、身の丈を超える巨大な卵。 灯篭流しの日の翌日にあたる今日。創造神の眷属様の言葉通り、孵化の時が訪れたのです。


 ルナリスが、期待に満ちたまなざしでその光を見つめる。虹色の輝きを秘める銀の瞳に、光の揺らめきが映り込み、彼女自身の心の高鳴りを映し出すかのよう。徐々に鼓動を打つような光の胎動が早まり、やがて光のヴェールが、卵の殻が解けるように静かに消えていました。


「ひびが入って割れるのかと思いましたが」


 まだまばゆい光が残る卵があった場所、その中から2つの影が生まれ出ます。


 一つは、手のひらに収まるほど小さな、蝶々の姿。昆虫らしさは一切なく、全身が色とりどりの宝石で構成された、まさに生きた宝石といった風情。その小さな羽根は、宝石城の天蓋を通した光を受けてきらめき、空間に七色の軌跡を描く。

 もう一つは、子犬ほどの大きさの、美しい金色の毛並みを持つ狐。ふわふわと、まるで雲をまとっているかのように柔らかそうな全身に、尻尾や手足の先は銀色に輝く毛に覆われている。その二色の毛並みは、私の持つ相反する属性を思わせます。


「……!」

 気が付いた時には、ルナリスの姿がその場から消えていました。翼が生み出す速力をも上乗せし、目にもとまらぬ速さで駆け寄り、金銀の狐をその胸に抱きしめています。


「ルナリスちゃんが、いつになく素早い……!」

「もふもふを、あれだけ待ち望んでいましたからね。普段の戦闘では、舞刀術の、どちらかというとゆったりとした動きが主ですが……」


 紗雪と微笑ましく見守る中、ルナリスは感極まった表情で頬をその柔らかい毛並みに擦り寄せています。


「もふもふ……もふもふです、かわいい……です!」

 その声は、心の底からの喜びで満ちていました。普段の凛とした気品はどこへやら、無邪気な少女のように全身で感情をあらわにするルナリスの姿に、紗雪ともども顔を見合わせて笑います。


「すっかり虜ですね」

 所在なさげに飛ぶ美しい蝶々に指を差し出し、羽を休める場所を提供しながら、嬉しさに蕩けている彼女を和やかに見守ります。

 これはしばらく、戻ってきそうにありませんね。

 鑑定ほど詳しくは見えませんが、私達の魔力も注ぎ、孵した卵だからか、簡易的なステータスは見えるようです。


「どれ、この綺麗な蝶々が?」


 ============

 種族 :☆7 クロノス・ジュエルバタフライ

 姿形 :色とりどりの宝石で体が構成されている、美しい小さな蝶々。

 スキル/特性 :

 Slot1 Lock:☆7 ミラージュ・ファセット (種族スキル)

 無数の分身を生成する。生命力は分身全てで分割される。本体も分身の1つとして認識される。

 全ての分身の死亡によってのみ、完全な死亡状態となるため、生存能力は極めて高い。

 装備装着不可

 Slot2 ☆7 時空の鱗粉

 分身が取り付いた相手を対象とし、時空間を歪め、転移を行う。

 転移可能範囲は、短距離は視認範囲、長距離は分身が存在し視認可能な時空間上の座標内となる。

 ただし、対象に抵抗の意思がある場合、転移させる事は出来ない。

 発動待機時間は距離に比例して長くなる。視認範囲内であれば一瞬。

 Slot3 ☆3 魔力行使:魔術 SLv.1

 Slot4 ☆7 属性:時空 SLv.1

 Slot5~10 未習得

 ============


 紗雪にも情報を共有しながら、驚きを隠せません。

「自身の戦闘能力は現状皆無ですけれど、この子、割ととんでもないのでは?」

「うまく配置してあげれば、移動の時間が大幅に短縮できますね。大陸間移動を今後するにしても、この大陸の要所要所に分身を配置しておけば、いつでも行き来できるかもしれませんよ」

 紗雪の冷静な分析にうなづきを返し、


「瞬間加速のある”転身体/表”はともかく、移動に難がある”転身体/裏”が、この子の能力を借りられれば、戦闘の幅も、大きく広がりますね」

「短距離ならクールタイムも短いみたいですし、この子の存在はかなり大きいですね」

「ですね。そして種族特性諸々、ルナリスの影響をかなり強く受けていますね。姿形に宝石、能力に時空属性、と言ったところですか」

 一通り意見を交わしたところで、ルナリスにひたすらもふられている狐さんの情報も。


 ============

 種族 :☆7 陰陽の守護狐

 姿形 :ふわふわの毛に覆われた狐。柔らかく美しい金の毛に覆われ、口元、尻尾や手足の先等が銀毛になっている。尻尾は一尾。

 スキル/特性 :

 Slot1 Lock:☆7 対の摂理 (種族スキル)

 “対”となる要素を扱う際に、その効果、威力等を増幅する

 Slot2 ☆7報いの輪廻

 属性を帯びた魔力を吸収し、”対”となる属性の魔力として放出する

 Slot3~10 未習得

 ============


「この子は明らかにナオさんの特性の影響を強く受けていますね。”報いの輪廻”とか、復讐属性が含まれていそうです」

「ですね。吸収できる範囲とかにもよりますが、防御寄りの攻防可能な子になりそうです」

「そして何よりルナリスちゃんの癒し……」

「間違いありませんね。それにしても、私はどちらかというと2つの卵で対になる子が生まれるかなと、内心想像していたのですが。こう、光と闇とか、そんな感じで。それこそ、対の竜が生まれるとか、割と安易に想定していたのですが」

「正直、私もそう思って孵化させる場所をお勧めしていました。直近の進化での影響が大きすぎたのかもしれませんね。そこで急激に孵化に向かったわけですし」


 なるほど。そういうものでしょうか。確かに、私自身は対になる要素で基本的に構成されますが、私たちの中の属性要素も増えましたからね。

 と、白亜城の方も羽化が始まっているでしょうから、いつまでもこちらだけにいるわけにもいきませんね。


「ルナリス、抱っこしたままで大丈夫ですから、移動しましょう」

「……はい!」

 蕩けるような笑顔で頬づりしていたルナリスが、我に返り、今は1翼だけ展開している、虹の輝きを纏う白い羽根を羽ばたかせ、追いかけてきてくれます。


 進化で翼の増えた私達ですが、普段の生活では場所も取りますから、1翼だけ展開しています。ただ、検証した結果飛行速度はもちろん、魔術やスキルを試用する時の属性強化の効果が展開している翼から受けられることが分かり。全力を出す場合など、必要に応じてフル展開する事になります。


 領域内を流れる水に沿って、私達にとっての地表にあたる、一番大きな浮島中央、白亜城のさらに地下最深部。

 城を囲う巨大な湖につながる地底湖では、やはり2つの大きな卵が孵化の時を迎えていました。

 到着して間もなく、3人と、新たに加わって2体のテイムモンスターも見つめる先、やはり光に溶けるように消えた卵から出てきたのは。



 1つは……なんでしょう。ゲーミングデバイスとかそんな感じに、様々な色の輝きを放つ不定形の流体? その色はめまぐるしく変わり、まるで意思を持っているかのように、周囲の光を反射してきらめいています。

 もう1つは、両腕で抱えられる、大きなクッションくらいの大きさの、デフォルメされたクジラの姿。つぶらな瞳に、全身はふさふさの灰色の毛でおおわれています。


 ふよふよと浮かぶクジラを抱えてみると……ふわふわというよりも豹とかの毛並みに近いすべすべとして、少しひんやりとした手触りですね。これもまた気持ちが良いです。


 ============

 種族 :☆7 ティアマト・ホエール (幼体)

 姿形 :竜属性を宿す、クジラ。普段は空を泳ぐが、成長すれば海洋はもちろん、宇宙空間や時空間をも泳げるようになる。全身が灰色の柔らかな体毛でおおわれている。

 スキル/特性 :

 Slot1 Lock:☆7 虚空遊泳 (種族スキル)

 いかなる空間をも泳ぎ渡る能力。ただし、現在は幼体のため、通常空間の空中に限定されている。

 Slot2 ☆7 浮遊する霊鱗

 体表や体毛に魔力を纏い、事象を受け流す。被攻撃時の無害化と共に、自身の移動の補助にも活用される。

 Slot3~10 未習得

 ============


  「今はまだ小さいので無理ですが、将来、私達が飛行して移動できない、それこそ長距離移動とか、この子に頼るのもありかもしれませんね」

「どれくらいで育つか次第ですが、聖国マリシアをパスするのであれば、他大陸へのルート開拓の前提に組み込めるかもしれませんね。蝶々の子と合わせれば安全も確保できますし」


 さて、問題は最後の1体。

 情報を見ようと目を向けると……虹色に輝く流体が、その姿を変えているではありませんか。

 鳥、球体、蛇、多面体、次々と姿を変え……その存在はまるで混沌そのもの。


「……!」

 ここでもルナリスが飛び出していました。彼女にしては本当に珍しい、全身で感情をあらわにした、歓喜の仕草。

 その胸の中には先程の狐さんと共に、虹色の輝きを秘めた、大型犬の姿が。

 姿を変えるのは止まり、ゴールデンレトリバーのようなシルエットのまま、甘えるようにルナリスに鼻筋を摺り寄せています。

 色合いも落ち着き、微かな虹色を纏った漆黒に。

 仕草も姿に似せているのか、はっはっと短い息を漏らし、悠然と抱き着かれたまま佇んでいますね。そっとマズルの横を抱き着くルナリスに寄せ、なじんでいる様子。


 よほどもふもふ具合が良いのか、左腕に狐、右腕に犬? で、ご満悦になったルナリスが感極まったように。

「ナオ……様! 紗雪ちゃん……! 幸せ、です。素敵……です!」

「良かったですね、念願がかないましたね」

 ええ、ええ。彼女が幸せならば、それが良いのです。


 ところでこの犬? 不定形生命? のスペックは……


 ============

 種族 :☆7 カオス・エーテル・シフター

 姿形 :特定の形状を持たず、変幻自在の姿をとる。本質は流体。

 スキル/特性 :

 Slot1 Lock:☆7 カレイドスコープ・シフト (種族スキル)

 霊体と実体で任意の状態、形状に変化し、形状に応じた身体能力を得る。

 ルナリスが気に入ったため、大型犬の姿を普段の姿とする模様。実体化した状態の毛皮は光を閉じ込めたように輝き、驚くほど柔らかい。

 Slot2 ☆7 混沌の侵食

 周囲の空間や物質を崩壊させる。攻防いづれにも使用可能。

 Slot3~10 未習得

 ============


「割ととんでもない……? 紗雪の性質を取り込んでいますね?」

「え……ええ、そうみたいですね。私テイムスキルは取っていないのに。空間中の魔力が循環するこの領域だから、でしょうか」

「可能性はありそうですね。紗雪もテイムスキルをとりますか?」

「いえ。私は人形の子達の統括もありますから、さすがに。それに、ルナリスちゃんが気に入ったみたいなので、予定通りで良いかなと。ただ、この子を見ていれば、私自身のアザトゥース由来の混沌や破壊の属性の使い方、魔法へ至る近道にもなるかなと期待ができそうです」


 確かに、2匹のもふもふにべったりで、甘えている姿を見ると、この2体はルナリスがテイムするのが最善ですね。

 結局、狐と犬? もといエーテル生命体をルナリスが。蝶々とクジラ? 竜? を私が、テイムする事に決まるのでした。


 なお、その夜は珍しくいちゃいちゃは無しで、モフモフに埋もれて眠る可愛いルナリスを眺めながら、静かに就寝するのでした。


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