↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第1部 - 第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/203

103.4章-第19話 ”海のように深い碧色の髪と瞳の少女 #2/2”

「城壁の偵察結果は黒、なの。黒い兵士を生み出す宝珠で間違いない、なの。あれの製造場所の一つが分かった、なの。商業区の魔導工房、なの。原材料が手に入らなくなった、って言っていた、なの。ドリームランド産の白い石に、別の工房で加工をしていたらしい、なの」


「つまりあの偽物のドリームランドで採掘した特殊な石を加工していた、という事ですか。下り階段の外や、あの裏の世界にも大量に集積されていましたね。辺境伯の方の依頼には一応結論として、この件は報告できそうですね」


「ルナリス様の消息は、つかめない、なの。ごめんなさい、なの」

「いえ、無理がある事はわかっていますから。サフィーロ達は、応援も増やせない中、本当によくやってくれていますよ、ありがとういございます」

「紗雪様、今日も引き続きルナリス様の捜索でいいですか、なの」


「それと並行して一つだけ。ルゥという少女を調べていただけますか」

「昨日一緒にいた子、なの」

「はい」

「わかりました、なの」



 紗雪は過保護だなぁ……一緒に抱き合って眠った温もりが、今朝もなくなっていて。こっそり聞き耳を立ててしまっていました。

 ルゥちゃんは悪い子じゃないよぅ?

 それにまた、ルナリス……様? 知らないはず。でも、私が知らない人をこの子達が知っている……? あまりのリアリティーに忘れそうになるけれど、ここはゲームの中だもん。ちょっと違和感があるよね。

 頭が痛い……吐きそう……視界がぐるぐる……だめ、だめだこれ


「紗雪……たす……けて」


「ナオさん!?」


 慌てて文字通り部屋の中を”飛んで”来てくれる紗雪。翡翠の瞳がじっと私を見つめて。


「調子が悪いんですね? 熱は……ありませんね……バイタル……すごい心拍。魔術的な処置は……ナコト写本の知識領域へアクセス、意識下に展開……感知できる範囲は異常なし。魔眼でもないとこれ以上の深層域は……」


 慌てすぎた紗雪が言葉を漏らしながら私の検診をしてくれる中に


 魔眼


 ……魔眼


 虹色に輝く、蒼銀色


 見上げる瞳、情愛のこもった瞳……。


 ……冷たく私を見下ろし……ううん、目線すら私にはくれず。

 他の誰か、金髪の誰かに注がれる、熱いまなざし

 脳が爆発してしまいそうな、激烈な頭痛。吐き気。



 視界が暗転した。





「ナオお姉ちゃん大丈夫?」

「今はとにかく安静にしてもらっています。冷たい水と氷、ありがとうございました」

「いいんだよぅ~それより心配だねぇ。ナオお姉ちゃんは何かを抱え込みすぎじゃないかな? かなかな?」

「それは……」

「むぅ、私は仲間外れ? って、それはそうか~」


 ひそひそ声の会話が、聞こえてくる。


「ナオさん、目が覚めましたか?」


 額に冷たい布と……氷かな? が、あてられてる。

 翼があるから、真上を向いて眠れない私を気遣って、柔らかい感触の無数の糸で位置を固定された、即席の氷嚢。


「紗雪~ありがとう。この氷嚢、紗雪の鋼糸で編んでくれたんだね」

「はい。ですが綺麗な冷たい水と氷は」

「うふふ~私、私。私だよ~ナオお姉ちゃん」


 スケスケの碧いドレスを着たルゥちゃんが、ひょこっと顔を出します。

 って、え、そのドレス、見えちゃいけないところがギリギリ隠れ……るどことかほとんど露出されていて、見えても問題ないところばっかりが布で覆われて。

 あ、しかもその布も、滅茶苦茶スケスケで軽い生地を、重ねに重ねているだけじゃないですか。

 部屋のランプの光が透けて、細い腕や太ももが、丸見え……!


「ナオお姉ちゃん、目がえっちぃ。でも、いいよ? “貴女が私に溺れたいなら”。ねぇ、私はいつでも歓迎してあげるの。ほら。楽に、なりましょうよ?」


 急に妖艶な表情に、蠱惑的な声で囁きかけてくるルゥちゃん、甘い吐息が耳をくすぐって……。


「ルゥさん、感謝はしていますが、それとこれとは別です。離れてください。後やっぱりそのドレスはおかしいです」

「むぅ、いけず。あ、このドレスね?」


 ひらりと、その場で一回転した彼女の身体から舞い上がる、薄布を重ねた扇情的なのに、なぜか清楚さと神聖さを感じるドレス。


「これはね。供犠姫の装束。……の、レプリカ……うん、レプリカなんだ」

「供犠……姫……」


 落ち着いていた頭痛が、吐き気が、さっきよりもひどい。頭をガンガン打ち鳴らされる。

 手が、震える。ぷるぷる、ぷるぷる、意識しても、止められない。

 心臓が飛び出しそうなくらいズキンズキン脈打って……ダメ。また視界が回って


「ナオお姉ちゃん、大丈夫? やっぱり辛そうだよ、無理はダメだよ? ねえ、楽に……なろうよぅ」

「ルゥさん、どいてください。光系統の回復魔法はナオさん任せだったのが悔やまれますね。悠久の楽園と繋げられさえすればあの子たちに……」


 必死の形相でのぞき込む紗雪に、また、甘い吐息を感じさせるルゥちゃん。

 でも彼女たちの言葉を聞いている余裕もなくて。


「まあ、いっかぁ。痛いの痛いの、怖いの怖いの、嫌なの全部……。深き海が抱き、沈め、癒しましょう」


 水の気配が膨れ上がる。深い、深い、海の底に沈んでいくように。

 ちかちかしだしていた視界が、落ち着いた、碧い海の色に閉ざされていく。

 痛みが、沈んでいく。胸の痛みが、静まっていく。


「うん、顔色も戻ったね。どう? 私の海魔法は♪ 治療だってできちゃうのは、天才なんだから!」

「ルゥさん、ありがとうございます。水系統の上位魔術ですね」

「そうだよ! しかも特殊な上位属性。精神治療だってできちゃう、ね。でも、今日はお出かけするには、辛そうだね。ね、お部屋の中でできる遊び、しようよ! 昨日の美味しいお料理も食べたいな」

「そう……ですね。ナオさんの気晴らしにもなるでしょうし」


 紗雪も賛同してくれていますし、そういうのもいいですね。

 現実側のゲームとかも、確か住民と遊べるようにできましたよね。

 ボードゲームにカードゲーム。アナログだけじゃなくて、提携しているタイトルは、デジタルゲームも、課金でこちらに取り寄せられるのです。

 いいでしょう、紗雪とのおうちデート&お友達になってくれたルぅちゃんと遊ぶためなら、じゃんじゃん課金で買っちゃいますよ!MCも300万位あったから、それくらい余裕です。

 サフィーロ達も……と思ったけれど、今日もいませんね。


 って、今見たら、動画配信報酬? とかいうのがたった1日で、1,000万くらいたまってる。紗雪がやってくれてるのですよね? 確か。こんなにもらえるの? って、あれ。私いつ動画なんて……でも紗雪とその話をした覚えはあるし……。

 戦闘NG設定プレイで、生産職ですらない私の動画で、こんな金額がもらえるものなの……?

 それに、インベントリにすでにいくつも、現実側のゲーム類が……いつ遊んだっけ。



 楽しい時間は過ぎるのもあっという間で。すっかり夜になってしまいました。

 ゲームはどれも紗雪とルゥちゃんが接戦で、大体私は1位か3位の両極端。

 2人の掛け合いを見ているがむしろ、楽しかったです。


「ルゥちゃん、おうちの人が心配しない? 送って行こうか?」

「んーこの国は最近、いつもこんな暗さだし、別に心配とかないよ。それよりも、今日は泊まっていきたいな。ね、いいでしょう?」

「そう、だね、うん。今日はお泊り会にしよう」


 紗雪はやっぱり、迷うようなそぶりを見せていましたが、最終的には


「仕方が無いですね、じゃあ私はホテル側に1人追加を伝えてきますから」

「あ……そっか、宿泊料金、足さないとだよね。紗雪、ありがとう」


 その後のパジャマパーティー。3人でネグリジェに着替えてワイワイするのも楽しくて。

 私の予備のネグリジェを貸してあげたら、ルゥちゃんがすごく喜んでくれていました。

 ちょっと鼻息が荒かったのは怖かったけれど。

 楽しい時間も、終わりはいつでも来るもの、残念ながら眠る時間になってしまいました。



「明日は、また街に出ようか」

「んーそう、だね」

「あ、お部屋でゲームしている方が楽しかった?」

「うん、それも楽しかった。すごく楽しかったよ」


 ルゥちゃんの髪はすごくしっとりしていて、ふわふわさらさらな紗雪とも違って、むしろ、あの触り慣れたさらさら絹みたいに気持ちのいい……。


 ……。


 誰?誰の、髪を私は触り慣れて……。

 まただ。

 もう嫌だ、寝よう。




 水の香りがする。

 潮騒の音が聞こえる。

 光量の落とされたランプの光が、いつにも増して、ぼんやりとしか室内を照らしていない。

 ゆらゆら、ゆらゆら、視界に映る世界が、どこか揺らめいて見える。


 3人で眠るために、翼を天井に向けて、うつぶせで眠ていた私。左で眠っていた紗雪が、見当たらない。

 どこ……?

 それに、あれ? 私いつも通りうつ伏せで寝ていたよね。背中にクッションがいっぱい……半身を起こして。

 腰のあたりに、心地よい感触が、ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃ、水音がする。


「ん、おきた?」

「って、ルゥちゃん?」

 なんだかはっきりとしない意識が、私の腰に顔をうずめている、海のように深い碧色の髪の頭を見つける


 しきりに舌を動かして……る。ルゥちゃん。


「きもちい?」

「うん……すごく、きもちぃよぉ?」


 ネグリジェで寝たはずなのに、またあの、ドレスを。碧いドレスを、着てるルゥちゃん。

 供犠姫? のドレス……の、レプリカ? だったよね。

 頭がまた痛くなりかけて、でも、穏やかな水の音に溶けていく、沈んでいく。

 頭、いたくないや。それに、ルゥちゃんが、ご奉仕してくれている……。それが、たまらなく、気持ちよくて。

 腰が砕けちゃいそう。


「いいの。怖いのも、嫌なのも、全部海の中に沈めちゃって。海が全てのみ込んでくれるよ。だから、気持ちいいのだけ、ルゥとしよう? ずっとずっと、海の中で、溶けあおう?」

「いいの? 気持ちいい事だけで、いいの? もう、怖いのも、嫌なのも、無い?」

「うん。ないよ。ルゥが全部包んで、沈めてあげる。ルゥが、気持ちよくしてあげる。ほら、いいよ、我慢しないで。私が飲みこんであげる。深い、深い、海の底みたいに」


 幸せだなぁ……。


 幸せ、なのに。


 なんで、ダメなんだろう。

 下はすごく気持ちよくて、たまらなくなっているのに。

 気持ちよさに反比例するみたいに、胸の痛みだけが、溶けてなくなってくれなくって。


 机の上の、ピンクダイヤモンドのついたチョーカーが、視界から外れてくれなくて。


「んぅ、楽にしてよ、ナオお姉ちゃん。ルゥに全部ゆだねて? ほら、もうちょっとだよ、ルゥに吐き出して? ルゥに頂戴? 飲み込んであげるから。全部、ぜんぶ、受け止めてあげるから。ね?」

 なまめかしく蠢く舌を見せつけられ。

 責め立てるように、激しくすすり上げるように、ルゥちゃんの水音が、腰元で激しくなって……。


 ダメ


 ダメだよ


「ごめんね、ルゥちゃん」


 気持ち良いけれど、これはダメ。だから。


「ごめんね、ルゥちゃん、ダメなの。私には……」


「ダメかぁ……ルゥだって、ナオお姉ちゃんの事、愛しているのにな。大好きなのにな。出会った順番が違えば、先に出会ったのが私なら。あの時だって、私に気が付いてくれていれば……」


 部屋のゆらゆら、ゆらゆらとした、揺れが収まる。

 ランプの光が、光量を増して。


「もしも、私が……たら。そうしたら、ナオお姉ちゃん。ううん、ナオは。私を……てくれる?」


 潮騒の音が遠のいていく。

 水の香りが薄らいでいく。


 黒い結界に阻まれているはずの、月が。窓越しに見えた気がする。

 そしてまた、私は眠りの中へと戻っていった。




 翌朝、ルゥちゃんはいつの間にかいなくなっていました。

 私は、しっかりと横むきになって、紗雪をギュッと抱きしめて。

 ふわふわさらさらな、淡いライトグレーのウェーブロングヘアを、優しく撫でながら眠っていました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。