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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第1章 俺、いじめを成敗します

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いじめ事件4 ~マンションの管理人さん~

家に帰り、俺は田岸のグループとどう戦うべきか、考えあぐねていた。相手は、警察ですら手が出せないほどの権力者の娘。まともにやり合っても勝ち目はないだろう。

頭を切り替えるため、買ってきたばかりのKOFのゲームを起動した。久しぶりのゲームは夢中になれる。操作方法も、大体覚えているような感じがしていた。敵を倒したときの爽快感は、やっぱり最高だ! 特に、ルガール社長の繰り出すダークジェノサイドは爽快感バツグン! 田岸の連中共にも同じ目を遭わせてやれたらとも思ったりもした。

気が付けば、窓の外はすっかり夕暮れになっていた。

久々にゲームをやり込み、少し疲れたので、気分転換に散歩に出ることにした。


マンションの1階に降りると、怜奈が飛び降りた場所――階段の近くにある花壇の前で、一人の年配の女性が花に水をやっていた。古びた作業着を着ていたが、不思議と上品なオーラをまとった人だ。彼女は、このマンションの管理人だった。

「こんにちは。」

俺が挨拶をすると、管理人は驚いたような、そして心から安心したような表情を見せた。

「怜奈ちゃん、元気になったのね。よかったわ。」

管理人はそう言って、俺の体調を気遣ってくれた。そして、無口な怜奈が積極的に話しかけていることに驚いた様子だった。

「怜奈ちゃん、昔はこんなに話す子じゃなかったのに。でも、嬉しいわ」

管理人は、怜奈の過去をよく知っているようだった。

「怜奈ちゃんは、勉強がよくできる子だったわね。特に数学が得意だったのよ。学校でも、数学は常に1番を取るほどだったのよ。」

前世の俺も数学は得意だったが、そこまで優秀な方ではなかった。もしかしたら、数学の授業が分かりやすく感じたのは、怜奈の頭の良さにも関係しているのかもしれない。

「でも運動は苦手だったでしょう? 体育の成績は、いつもイマイチだったわ。足は速かったみたいだけど、他の運動は全くダメだったわよね。特に、水泳の授業なんか、おぼれて大変な目に遭ったほどだし。」

前世は、人並みに泳げたけど。大丈夫だろうか。折角の転生人生を、おぼれて死んでしまうという結末だけは避けておきたい。

そして、小学生の頃の怜奈の記憶を話してくれた。

「ほら、覚えてるかしら。大きなジョロウグモをつまんで、通りすがりの人を驚かせようとしたこと。あんなのよく触ることができるわよね。」

これはびっくりした。俺だって蜘蛛には触りたくない。なのに、小さい頃の怜奈はそれを平気でつまんでしまうなんて。まさかそれがいじめの原因になるワケない、よな。

俺は、怜奈の知らない一面に触れ、彼女がどんな人間だったのか少しずつ理解できた。同時に、過去の怜奈を知る管理人との会話は、俺自身の違和感を和らげてくれた。


別れ際、管理人は少し寂しそうな表情で俺に言った。

「怜奈ちゃん、学校で何か嫌なことがあったんでしょう?」

彼女は、怜奈がいじめられていたことを知っているようだった。

「もし、何かあったら、遠慮なく言いなさいな。私はいつでも、怜奈ちゃんの味方だからね。」

管理人の言葉は、俺の心に温かく響いた。復讐心に燃えていた俺だったが、彼女の優しさに触れ、少し冷静になれた。

俺は、浅間怜奈として、この世界で生きていく。一人ではない。そう感じさせてくれた。

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