いじめ事件5 ~屋上の対決~
翌日、学校でいつものように一人で昼食のお弁当を食べようとしたとき、またしても例の3人組が現れた。どうやら3人は、この時間になると、怜奈のもとにやってくるらしい。食事の時ぐらいは放っておけないのか。それとも、彼女たちには空腹という感覚と概念がないのだろうか。
「ねえ怜奈、ちょっと付き合ってくれないかしら。」
彼女たちはにこやかに、しかし有無を言わせぬ態度で俺に迫ってきた。俺は抵抗せず、言われるままに屋上へ向かった。
屋上に出ると、冷たい風が吹きつけてきた。田岸はポケットから何かを取り出し、俺に投げつけた。それは、液晶が割れたスマートフォンだった。
「ほら、あんたのスマホよ。使い物にならなくなったから、返すわ」
そのスマホは、怜奈の所有物であることに違いない。彼女たちが怜奈の目を盗んでスマホを盗みだし、壊したのだろう。
「ふうん、人のものを壊してから返すなんて、あまり褒められたものではないね。」
俺は、怒りを押し殺しながらスマホを拾い上げた。
「こいつ、一丁前に生意気じゃん。」
「頭打って、おかしくなったんじゃないの。」
俺の言ったことに逆ギレしているようだ。いや、ブチギレしているのはこっちの方だけどさ。
「まあいいわ。そんなことよりも、怜奈。お願いがあるんだけど」
田岸は意地悪な笑みを浮かべて言った。
「あんたと付き合うの、もう飽きちゃったのよね。」
付き合うという名のいじめだろう。子供でも分かる。
「だから、怜奈、ここで裸になって土下座したら、あんたをいじめるのやめてあげる。」
彼女たちの言葉に、俺は怜奈の苦しみが蘇るのを感じた。怜奈は、この屈辱を受け入れようとしていたのか。いや、俺は違う。俺は、この体で生きる怜奈として、絶対に屈しない。俺は、鼻で笑いながら、冷たく答えた。
「断る。」
3人組は驚き、不機嫌そうな顔になった。
「ますます生意気ね。」
「お前、成績がいいからと言って、いい気になってんじゃねえよ!」
すると3人組の一人が、俺に掴みかかろうと迫ってきた。その瞬間、俺の脳裏に転生前のゲームの記憶がフラッシュバックした。《2タメ8K》ストリートファイターの定番技、サマーソルトキック!
俺は無意識に、相手の鳩尾に強烈なキックを叩き込んだ。
「ぐっ!」
不意の反撃に、彼女はうめき声をあげて倒れ込んだ。残りの2人も、まさか怜奈が反撃してくるとは思っていなかったらしく、呆然として立ちすくんでいる。
「大人しいからと言って、調子に乗るんじゃないわよ。」
3人は若干恐れながらも、反撃を伺おうとしていた。
「どんな恨みがあるか知らないけど、これまでやってきた仕打ち、しっかり償ってもらう!」
俺の闘気は最高潮に達していた。背後には龍が付いているようなイメージだ。少なくとも、目の前の3人にはそう映っていただろう。
「ぶっ殺してやる!」
田岸がそう叫ぶと、他の2人も追随して、俺に襲い掛かってきた。その時、俺の脳内に《623K》というコマンドが閃いた。このコマンド、まさにルガール社長の秘伝の技、
「ダークジェノサイド!!」
俺は素早く、2人に強烈なダークジェノサイドを繰り出した。
「きゃあああ!」
「ぐはぁっ!」
2人は悲鳴を上げながら、その場に倒れ込んだ。
田岸は、流石に腰を抜かしてしまい、その場にへたり込んでいる。俺は田岸にゆっくりと近づき、拳を鳴らした。怜奈をいじめた奴らに、今、裁きを下そうとしている。
「さて、お前で最後だ。」
「ああ浅間さん……やめて、ごめんなさい……!」
田岸のヤツは恐怖に顔を引きつらせ、震えながら俺を見上げていた。




