【看破】VS【鑑定】
わたしが「浄玻璃の鏡」の鏡に前に立つと
ユミルが「名前は?」とぶっきらぼうに質問する。
「名前というのは親が付けてくれた名前ですか?
それともいま使っていて名乗っている名前ですか?」
「はぁ?親が付けてくれた名前に決まってるだろ」
ユミルになに当たり前のこと聞いてんだよ。
というような怒気を含んだ声で返された。
ふむふむ。想定内である。
「わたしの親はわたしが生まれてすぐに亡くなりました。
なのでわたしは親が付けてくれた名前は存じません」
うん。わたしの記憶が確かならば「リョウ」という名前は
孤児院の院長が付けてくれたハズである。
なので親の付けた名前は知らない。ウソではない。
ユミルはムッとした表情で睨んでいる。
「じゃぁいまの名前はなんだ?」
「今現在わたしが名乗っている名前はコウメでございます」
鏡は光らない。第一関門は突破である。
そのあとはバレても構わない質問もわざとのらりくらり躱し
どのようにもとれる言い方をしていく。
そして第二関門の質問が来た。
「お前はこの国、連邦の人間か?」
「わたしはこの州都とお隣の国である帝国の境界線に近い村の生まれです。
なので親が連邦と帝国の境界線を越えて出産した可能性もゼロではありません」
ユミルは心底面倒くさい顔をしている。だがやめる気もない。
「じゃぁ親はどこの生まれだ?」
「親はわたしが生まれる遥か前に生まれているので
わたしは親がどこの国で生まれたが存じません」
しまった。チョット屁理屈が過ぎたか。わたしはヤバいと思いそのまま続けた
「わたしはどこの村で生まれたかは存じませんが
この国、連邦で生きてきましたし、これからもこの連邦がわたしの国です」
たぶん、わたしは帝国を捨てているし戻るつもりも無いので
これでいけるハズだ。
ふぅ。なんとか鏡は光らなかった。
心臓はバクバクいっているが表情は平静を装う。
なんとか第二関門は突破したが相当怪しまれてるのは間違いない。
もう壁の中なんか行かなくてもいいかな…。




