誘拐 その2
オレの名前はスクーナ。狐掘人族の王子である。
オレは怒ってる。猿人族の「コウメ」というメスガキに怒ってる。
オレは王子で偉い。しかしあのコウメとかいうメスガキは不敬で無礼で
生意気なのだ。
しかし王子だということがバレると暗殺や誘拐の可能性があるという。
コウメの話は面白い。勧進帳とかいう話で武蔵坊弁慶が義経を泣きながら
叩くシーンは母上も妹のビコーナも感動して泣いていた。
オレもチョットだけ感動した。
いや、本当にチョットだけだぞ。
「コウメの罠」だ。
周囲に王子であることがバレないように
コウメの不敬や無礼を父上も母上も許容した。
すると国中の子どもたちが懐いてきたし家来も出来た。
まぁチョットくらいはメリットはあったが。
しかし誘拐されたではないか。
罰としてコウメの水アメは全て接収だ。
目を覚ますとチンピラ達が手枷足枷猿轡をされ転がっている。
コウメはノコギリで誘拐犯の足を切断しようとしている。
「な、なにをしているのだ!」オレはコウメを止める。
「なにって、死体を分割しないと隠せないじゃないですか」
なに当たり前のことを聞くんだと首を傾げている。
チンピラは青い顔でブルブル震えている。
殺さなくても警吏に突き出せばいいじゃないか。
「この村は種族差別が酷いですからね。
キチンと捜査してくれるかわかりません」
「しかし誰に頼まれたか聞くくらいは…」
「彼らはプロです。決して依頼者の情報は漏らしません」
チンピラたちは首が捥げるんじゃないかと首を振っている。
「仮に依頼人を喋ったとしても知らぬ存ぜぬ否定されたら同じです」
「それに依頼人を話してもそれがウソかもしれません。
そのウソの依頼人と仲違いさせるのが目的かもしれません」
「わたしたちには確かめる術がないのです」
「早くしないと仲間がやってくるかもしれません。これを」
コウメはノコギリを渡してきた。「いやいやいやいや」




