謁見 その6
わたしかイノウエ大臣かどちらが嘘をついているかは
州都にでも行って浄玻璃の鏡の前で
ユミルに調べて貰えれば判るハズである。
本音を言えば州都に行くのは面倒くさいし
ユミルにはなるべく会いたくはないのだがしょうがない。
州都まで行かなくてもスキルを測る機械は
彌埜主王国にも国内の冒険者ギルドにもあるらしい。
衛兵にスキル測定器を持ってくるように伝えると
イノウエ大臣は身を震わせて
「どこで間違えた...」「なぜ昨日のうちに...」と呟いている。
ドン引きである。
いくらわたしがスローなライフ信奉者だとしても
王が死ぬのを望むほどサイコパスではない。
今日からバカンスに行くはずだったのだろう。
昨日のうちに王が亡くなればのんびり休暇が取れるとでも
思っていたのだろうか。
本当にアホである。
王が亡くなった後の方が忙しいに決まっている。
「そんな浅薄な奸計が通るとでもお思いですか」
そんなに睨まれても困る。そんなにバカンスに行きたかったのなら
昨日のうちに薬を造るなり治療するなりすれば良かったのである。
明日から不眠不休で働かされるのは自業自得なのだ。
衛兵がイノウエ大臣を取り押さえようと近づくと
「もはやここまで...」と呟く。
懐から黄色い実を取り出た。【鑑定】龍変橙。
大臣がその黄色い実に齧りつくと目が赤黒く濁りだし
バチバチと稲妻が走る。
体が膨らみだし雲のような霧のような水蒸気が噴き出した。
口からは牙のようなものが見え爪も伸びる。
皮膚は鱗に変化している。
その蒸気によって衛兵たちは近づけない。
わたしが感動に打ち拉がれていると
村長が吶喊し剣で切りつけると剣が根元から折れる。




