謁見 その4
もう早く帰らせて欲しい。
仮病の人の近くにいた大臣に呼び止められたので
しかたなく話を聞くことになった。
どうやら仮病の人は「影武者」らしい。
本当に二度手間なので止めて欲しい。
彌埜主王の安全のためと仮病を見抜ける程度の人物を
篩に掛けるためだそうだが
本物の医者が弾かれたらどうするつもりなのだろう。
ヘンテコな試験にパスしてしまったために
本物の彌埜主王の診断をさせられることになってしまった。
豪華なベッドの部屋の奥のドアに通される。
薄暗い部屋に彌埜主国の王が寝ている。
名前からして彌埜主王に間違いないだろう。
「毒ですね」とわたしが呟いてしまったために
周りの人達が騒ぎ出した。
毒殺には細心の注意を払っているとか
口にするモノは毒味役が必ずいるとか
この部屋に入る人間は信頼できる者に限られているとか。
毒が在りえないことの説明を怒鳴られながらされる。
もう帰りたい。
しかしわたしの【鑑定】では毒なのである。
わたしに文句言われては困る。
わたしの【鑑定】で彌埜主王のステータスを診ると
状態呪い:蟲毒
とちゃんと書いてある。毒に違いない。
たぶん虫かなんかの毒なのだろう。
毒なのには間違いないがどうやって毒を盛ったかまでは
【鑑定】ではわからない。
執事やメイドのような人たちが問い詰められているが
どうやって毒を盛ったかの解明は丸投げしよう。
【鑑定】スキルの暴露なしに説明出来る自信はない。
「あの人が王に盛られた毒と同じ臭いがします」
と猿人族の男を指さした。
その男は巫蟲術というスキルを持っているようだ。
巫蟲術とは何か知らないけれど
たぶん虫の専門家だろう。
きっと自分の冤罪を晴らすために一生懸命頑張ってくれるだろう。
虫の専門家がその気になればきっと王の毒の判明と
治療法に到達するに違いない。
丸投げである。




