彌埜主王国へ その3
帆船のマストを眺めていると虎人族の男が声をかけてきた。
なんとこの船の船長らしい。
仕事サボってって良いのかと思いもするが
わたしも護衛の仕事をサボっているので他人のことは言えない。
この帆船は虎人族の天才言語学者FDCウィラード博士理論を基にした
ウィラードエンジンで走っているらしい。
どうやら小娘に自慢したいマウントオジサンなのだろう。
もしくは虎人族の自慢をしたいのかな。
帆船のクセに燃焼機関とは矛盾している気はするが。
基本的には全く興味はないが
なんかの役に立つだろうと思うので聞いている。
船長の機嫌を害しても得になることもないだろう。
クラブのホステスならチーママになれるくらいの好演である。
帆は巨大なリングに張っているらしい。
今は目には見えないけれど実際は張ってあるようだ。
出港のときに現われたあのシャボンの膜のように見えたモノが
船の帆なのだろうと推測する。
その膜のことは「ウィラードの悪魔」という名称で
前に進む為の空気、追い風だけを帆に受けることが出来る。
逆に後ろに進む、向かい風は素通りする。
空気は止まっているように見えても前に進む空気と後ろに進む空気と
混在しているらしい。
全く理解が出来ないがそういうもんなのだろう。
博士曰く全ての流体は
「前進するかか後進するかか50パーセントにゃー」らしい。




