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冒険者登録をする

 「ちょ、フィニアどうしてそれを言っちゃうのよ!」

フィニアの横やりに慌てて答える様子のフレア。


 「あれ~、言ってはまずかったのかしら~」

相変わらずおっとりした様子で答える。


 「あれ、フレアはCランクの冒険者って前に言ってなかったっけ?」

俺の記憶違いかもしれないから確認をとる。


 「わ、わたしはもももちろんCら、らんくの冒険者にきま、決まっているじゃない! 疑うなんて失礼ね!!」

めっちゃ挙動不審になってるじゃん。


 「フィニアも私に根も葉もない噓をつかないでちょうだい!」

随分とご乱心のようだ。


 「Cなのか、Sなのかわからないけど、一緒に行動するのがまずいなら、一人でも大丈夫だよ。色々と教えてくれればなんとかできると思うし」


 「Cランクの冒険者なんて周りの連中は気になんかしないから大丈夫よ! 絶対に一人で行動なんてしようとしちゃだめだからね!」

う~ん、優しさが染み渡る。


 「そういえば、フィニアがこっちに来て大丈夫なのか? 気づいたら馬車も止まってるみたいだし」

 

 いつのまにか揺れが止まっていることに気づいた。

ていうかそもそも、御者役のフィニアが馬車の中にきている時点でおかしい。


 「もう街についたからこっちに伝えに来たのよ~」


 「…もう着いてたのね、じゃあこんな窮屈な場所からとっとと降りて、冒険者登録をしに行きましょう」


 馬車の移動中に今日のやるべき事を既に話し合ってるためわかってはいるけど、確認をとる。


 「登録が終わったら家を買うんだったっけ?」


 「ええ、そうよ、それじゃフィニアまたね」


 「ええ、クリューちゃんも言葉遣いをしっかり直しなさいね~♪」

ああ、また忘れてた。


 「わかったわ、少しづつだけど練習しておくわ、それじゃごめんあそばせ」

フィニアにそう言って別れる。


 「・・・なんか違うのよね~」

そんなことをつぶやいていたような気がするけど。





 「今更だけど、フィニアと一緒に行動しないのか? それに馬車の事とか任せっぱなしだしその辺は大丈夫なのか?」


 「別に一緒にいる必要はないでしょ、戦力が必要ならあいつは必要になるけど、冒険者ギルドに行くだけだからね。それと馬車のことはあいつが勝手にやったことだから、そこまで私たちが手間をかける必要はないわ」

…これは手厳しいな。


 それで今俺たちが向かっているの場所は冒険者ギルドで、目的は当然冒険者登録をするためだ。

特に必要なものとかはなくて、少し時間をとられるだけで誰でも冒険者にはなれるみたい。

住民票とか、保険証とかいらないのはありがたい。もし必要だったら積んでたからね。






 「ここが冒険者ギルドね」


 そう言って、見せてきたのは木造の大きい建物だ。

付近にいる人たちも屈強そうな人ばかりだ。

俺の方を見て若干、なんでこんな奴がここに? みたいな顔をしてくる。


 「俺、コホン、私みたいなひよっこが来ても大丈夫なんだよな?」

周りの視線的に私が場違いな存在なのを察した。


 「大丈夫よ、って言いたいけど、冒険者は馬鹿が多いから私から離れないようにしてね」


 誰でもなれる職業だから、学のない人も多いのだろう。

腕っぷしだけで生きるってのはカッコイイけど、怖くもあるな。


 冒険者ギルドの中に入るとまず目につくのが、大きな看板だ。なにやら紙が貼られているみたいだから、おそらく依頼とかお知らせとかが貼られているのだろう。

その周りに小さな人だかりができているから間違いないな。

 それと受付と思われるカウンターもあるね。

おそらくあそこでクエストの受理又は報告をするんだろうな。

ゲームでよくある知識から推察したから、本当に正解なのかはわからないけどね。


 っと、考え事をしていたら人にぶつかりそうになる。

ぶつかりそうになった男は、邪魔だなっと言わんばかりの表情で通り抜ける。


 「クリューちゃん、きちんと前を向いて歩かないとダメでしょう」

たしなめるように言ってくるフレア。


 冒険者ギルドに来て少しだけ浮かれてたみたい。

周りには黒マント衣装の魔法使いみたいな人や、猫耳がついている短剣を持った女性などのいろんな人たちがいるから、いかにもファンタジーをしているなって思ってどうしても浮かれてしまう。

…仕事のために来たんだから、しっかりしないとな。


 今回俺たちはカウンターのある受付に用事があるため、そこに向かう。

いくつか列があるけど、どこも混雑してるため適当に空いているところに並ぶ。

少しだけ待って、ようやく自分の番が来る。


 「はい、お次の方どうぞ、ご用件はなんでしょうか?」


 「えっと、冒険者登録をしたいんですけど、お願いできますか?」


 「はい承りました、ではこちらに腕を出してください、少しだけ血を頂くためチクっとしますがよろしいですか?」

どうやら血を使って登録するみたいだね。

特に問題ないのでお願いする。


 「大丈夫ですよ」


 「それでは、少々失礼しますね………はい、お待たせしました、こちらが発行されたギルドカードになります、失くすと手数料がかかりますので大切に保管してください」

そう言ってギルドカードが渡される。

ギルドカードには大きくGの文字が刻まれていて、いかにも冒険者って感じの無骨なデザインに男心にこう、グッとくる物があるな。


 「わかりました、それと冒険者についてあまりよくわかっていないので、軽く説明をしてもらえると助かるんですけど…」


 「冒険者の基本の説明ですね、承りました。それでは説明致します、まず冒険者の皆様にはそこに見えますクエストボードから依頼を選んでもらいます、次にクエストボードに張られた依頼に受けたいものがありましたら、そちらの依頼書をお持ちの上でここの受付に並んでもらいます、受付で依頼を受理されましたら、依頼達成条件を満たしてからまたここに戻り報告してもらいます、その後報酬を受け渡す形ですね、この流れが基本になります」

…なるほど、まぁ大体は予想道理の流れだから、特には問題ないかな。


 「次に、冒険者ランクについて説明しますね、冒険者の皆様には全員ランクが与えられていて、G、F、E、D、C、B、A、S。このような並び順で実力の目安としてあります。駆け出しの方は最初はGからはじまりますが、依頼を一定数こなしたら上へと上がっていきます、この時にテストみたいなことはありません、ギルドマスターの判断と職員の推薦でこれは行われますので、職員には不用意に手を出さないように気をつけてくださいね、最後に冒険者ランクが上がると受けられる以来の幅が増えますので、ぜひ頑張って下さいね」

これもなんとなく予想道理だな。

………最後のセリフの時に頭を撫でられことを除いて。

そりゃ子供が保護者(フレア)を連れて遊びに来たみたいな感じになっちゃってるからな、そんな感じに思われても仕方ないけどさ。

さすがに悲しくなるな、明らかに同世代の女性に頭を撫でられるのは。


 まず冒険者として大事な事が、とにかく依頼をいっぱい受けて成功させること。そしたらランクが上がって、割の良い依頼を受けれるようになって、必然的にお金もたまる。この流れが当分の目標かな。


 「わかりやすい説明とても助かりました、ありがとうございます。それじゃ行こうか」

ペコリとお辞儀をしてから、席を離れる。


 「そうね。でも、せっかくだし少しだけ依頼を見てからにしましょう?」


 「ん?かまわないけど、いいのか?確かこのあと家を買うとか言ってたし」


 「そんなに時間はかけないわよ、軽く見てなんかよさそうなものがあれば、クリューちゃん用にとっておいてもらおうと思ったからね」

ん~優しさが再度染み渡る。

…………ん? 依頼の取り置きとかって大丈夫なのかな? こういうのって早い者勝ちな印象があるんだけど。


 「なぁ、依頼の取り置きなんて出来るのか?」


 「ん?ああ、できるわよ、私なら、ね♪」

自慢げに、そう答えるフレア。

もうなんとなくわかるけど、絶対にCランクの冒険者じゃないでしょ。


 


 「どれどれ、なんかいいものありませんかね~っと」

ちょうど説明されている間に昼になったからか人が減ったため、じっくりクエストボードを眺められる。


 「Gランクで受けられるクエストは、街の清掃になくしもの探し、それに薬草採取に果物&野菜の採取、魚の確保などなど、う~ん、ほとんど雑用だね」


 「ん~、そうね~。あっ、でもこれなんかいいんじゃないかしら?」

そう言って見せてきたのが……


 「短期間のメイド募集、給料は日給制で、ある程度の礼儀作法を習っている女性の方でお願いします。主に屋敷の清掃を行ってもらいます。*メイド服は支給しますので持っていなくても大丈夫です。……ってこれはないだろ!!」

まだ街の掃除とかのほうが断然マシだわ!


 「え~、クリューちゃんのメイド服みたかったのな~、それにGランクの依頼では破格の報酬だし、割と冗談抜きでオススメなのに」

そう言われて、報酬を見てみると……  

 

 「日給制で大体銀貨3枚と、ふむふむ金銭感覚死んでるからわかんないね」


 「他の依頼と比べてみるとわかると思うけど、キールの葉の採取、これ一応薬草ね、んでこれが30枚集めて銀貨1枚なんだけど、大体30枚を集めるのに半日から1日かかるのよね、そう考えるとお得でしょう、一日の掃除だけでこの報酬なら」

下手すると一日中街の外を駆け回らないと見つからない薬草と屋敷の清掃の報酬が、清掃のほうが高いなら確かにお得だね。


 「それにね、街の外の依頼は危険が多いからできるなら最初は街の中の依頼をこなして、街の中で戦闘の練習をして実力をつけてから外の依頼を受けるってのがいいと思うのよ」

なるほど、一理あるな。


 「もちろん、メイド服が見たいからそれが一番大事なんだけどね♪」

………もうむしろ、ここまで露骨に着て欲しいっていわれたらもうそれでいいんじゃないかなって思い始めた自分がいる。

アカンな、男の部分が死に始めている。

どっかで名誉挽回したいなぁ。


 「まぁでも、その言葉遣いを直してからだとは思うけど」

あ、ま~た男の口調に戻ってる。

意識しないとすぐに戻るな、コレ。

男口調が自然に出るのが俺は一応男だから正しいことのはずなんだけどさ…ホントにこの体不便だな。頭を撫でられるわ、言葉遣いは直さないとだしさ。

 まぁ、でも仕事ってことなら言葉遣いぐらいしっかりやってのける自信はあるんだけどな。


 「まぁ今すぐに取り置きする必要もなさそうだし、行きましょうか」


 「そうだね、んじゃ次は家を買ってと、ホントにわざわざ家を買うのか?」

もし俺気を遣っているなら、さすがに申し訳ない気持ちが…


 「1人で過ごすなら、家なんて邪魔でしかないけど2人で生活するなら家はあった方がいいでしょ」

一人暮らしだと家が邪魔って、フレアさんや、あんたもしかして家事がダメダメな感じですかい?

なんとなくそんな予感がするな。


 「それに~、一緒にお風呂とか入りたいし~、宿だと気を遣ってあまりイチャイチャできないじゃない♪」

………………だ か ら! そっちが冗談半分でもこっちは本気にしちゃうって言ってんだろうが!!!

ホントに一緒に暮らして大丈夫なのだろうか?


 そんなこんなで家を買うため冒険者ギルドを後にする…………はずだった。


 「お、フレアじゃん、相変わらず可愛いね~、そろそろ本気で俺と付き合ってくれよなぁ」


 この男とエンカウントしたせいで、予定が少し狂うことに。

 

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