書類の山で
なんとか今日も投稿できました。
----天上国家フェザ----
「天使長、この書類とこの書類に目を通して下さい。また悪魔が出て報告書が大量に流れてくるんです。さっさと今ある書類を片付けないと部屋が書類で埋まっちまいますよ」
そう言って書類をドスンと来客用のイスに置くのは天使長補佐のバートだ。大量に積み上がる書類をいつもいつも持ってくる。オレに言わせればバートの方が悪魔らしい。眉間に皺が寄っているのが分かったのかバートは苦笑して「頑張ってください」と言い残し部屋を出て行った。
「目を通せだの。やれ悪魔だの。じいちゃん……オレ自身が天使だなんてなんで教えてくれなかったんだよ。それになんであんな話したんだよ。悪魔は俺達が裁く対象じゃないか」
1人書類の山に愚痴り体をイスに寄り掛からせる。じいちゃんが死んだ後オレは天使教習所に通うことになった。そこで初めて知った。オレ自身が天使だって。学校にいた奴等はどいつもこいつもキラキラとした目をして正義がなんだ悪魔はどうだと背中の小さい羽根をパタパタとさせてうだうだと喋るばかり。捕まえた悪魔を実際に見るなんて実習があったがこれが天使のやり方かと子供心に思った。
そこでオレの中で天使も悪魔も変わらないとそう思った。
容姿が淡麗なのは天使で悪魔は醜悪だ?誰が言ったんだ?檻の中で怯え黒い羽根と尻尾を掻き寄せ縮こまるオレ達と年の変わらなそうな悪魔。その悪魔を見て笑う天使達。あれが悪魔だ。気持ち悪い、尻尾が生えてる、醜い……お前らはもっと自分を見た方がいい。オレ以外の天使は皆笑っていたのに全員が醜悪で悪魔のように見えた。それからだ、必死に勉強したのは。こんな周りの天使達にならないようにそして国の中でも上位の職につけば悪魔ともそれなりに出会うことができるだろうしじいちゃんを殺した悪魔にもそのうち出会えるだろうと。結局天使長という悪魔に対して専門的に対応する職のトップになったは良いが悪魔との対面なぞ書類上だけで実際の悪魔になんてまみえることなどこの職に就いてから一度もない。
はあっと盛大なため息を吐いているとコンコンと扉をノックされる。またバートか。
「もう書類を置く場所なんてないぞ」
「いや書類なんて持ってきてませんよ。うわっ今回は一段と凄いですね」
「あ?なんだ、デリか。おかえり」
「なんだ、じゃありませんよ!あ、ただいま帰りました」
そう言って頭を下げるのは天使長補佐書記のデリだ。憤慨した後にも律儀に帰ってきた報告をするあたりやはり真面目だなと思う。最近はこの部屋に出入りをしていなかったせいもあるだろうが、まあ仕方がないだろう。出入りをしていた時は部屋に書類なんて殆どなかったのだから。今の部屋の状態はどうだ。部屋の半数が書類の山で足の踏み場もない。
「最近悪魔の動きが活発のようでな。やれ被害がどうだ、やれ悪魔を捕縛しただ、刑罰は何をするかとか、もう檻に悪魔が入らないだとか、悪魔が大量に脱走しただとかもう1人じゃ書類に目を通す気にもならん」
「なんだか最後辺りにとんでもないものが混じってた気がしますけど」
「まあデリが戻ってきてくれたことだしちゃっちゃと片付けるか。デリ戻ってきてそうそう悪いがいつも通り頼む」
「はいはい、重要な書類だけはそちらに渡しますんで他は僕で対処します。」
「そこにイスが……」
さっきバートがイスに置いたせいでイスの上にも書類の山ができている。デリはため息を吐いて
「バートですね。天使長はやってて下さい。イスの上の書類を片付けたら他のに手をつけますから」
「すまない。頼む」
2人がかりということもあって書類の山は日が赤くなる頃にはすっかり無くなっていた。
「よし、数日分の資料が終わったー。助かった、デリ」
「いえいえ、一応天使長補佐書記ですから。それに流石にあの書類の山を一人で片付けて下さい、なんてとてもじゃないですけど言えませんよ」
デリは真面目というかしっかりしているというか、この天使長補佐書記がいなかったら天使長室なんて書類の山、山、山だろうに。
「本当に助かった。明日からは楽になるといいんだが」
「そうですね。明日は僕も最初から手伝えますから今日みたいにはなりませんよきっと」
次の日オレとデリは地獄を見るのだった。
話に入り込めるようになるまで少々お待ちを。




