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告死人 高校生  作者: 田丸 彬禰


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天祐

このままでは約束の日がすぐにやってくる。

夜はともかく、実際に死を決行する昼間の弥生をなんとかせねばならない。

というより、まず接点を持たねばならない。


だが、そんなことができるのか?

俺に。


毎晩、夜の弥生に一方的に押しまくられすっかり自信を失った聡。


その聡に天祐がやってくる。


春の体育祭。

いわゆる運動会である。

多くの場合、このイベントは体育会系のクラブに入部している者だけが楽しみ、張り切るのだが、この学校はなぜそうではなかった。

特に運動には無縁なはずの文科系のクラブも目の色を変えて勝利を目指す。

その理由。

それは部費。

ポイントに応じて臨時ボーナスが出るのだ。

しかも、体育系クラブ員に勝った場合、そのポイントは倍増する。

もちろん体育系クラブも負けるわけにはいかない。

なぜなら文科系の部員に負けた部員が所属するクラブは当然のように部費がカットされるのだから。

そして、そのポイントシステムは教室ごとの対抗戦でも存在するのだが、ここで重要なのは、主力である体育系クラブの部員をどの競技に参加させるか、ここが重要になってくる。


ちなみに基本的にクラス対抗戦は距離ごとの単純な徒競走なのだが、すべてが男女混合となっている。

もちろんクラス全員が最低一種目参加という縛りがあり、さらに当日欠席した生徒は穴埋め不可、つまり不戦敗となる。

どんなに遅かろうが、参加したほうが有利なのだ。

そのため全員が体育祭に向けて体調を整える。

異様な雰囲気で毎年その体育祭はおこなわれるのだ。


聡は当然のようにリーダーとなったわけなのだが、副リーダーの指名権限はリーダーにある。

クラスの大部分は、陸上部所属の井上栞か一年生ながらバスケット部のレギュラーになっている牧瀬瑠未が指名されると思っていた。

もちろんそれが順当な選択でもある。

だが……。


「橘弥生を副リーダーに指名する」


どよめきと嫉妬が混ざった空気の中で弥生が立ち上がる。

そして……。


「承知しました」


クラスのみんなには申しわけないが、これを利用しない手はないのだ。


聡は心の中で呟く。


だが、その聡を含めて全員が気づかなかった。


俯いた弥生の口もとには薄い笑みが零れていたことを。

そして、小さく「よし」と呟いていたことも。


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