表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告死人 高校生  作者: 田丸 彬禰


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/28

踏み出した一歩

その日の放課後。

狭い部屋で聡は弥生とふたりだけで作業を始める。

本来であれば、教室でおこなうものであるのだが、女子生徒たちの何とも言えない雰囲気を感じた聡は早々にそれを諦め、それを察した教師は自身が管理する化学準備室を提供したのだ。


「くれぐれも間違いがないように……」


冗談半分であったものの、弥生の一睨みにより言葉を最後までいうことなく、教師は消える。

そして、文字通り、間違いが起きても誰にもばれない状況になった。


いくぞ。


聡は決心し息を吐く。


「一応確認しておく。橘」

「……弥生様と呼びなさい。聡」


確認したかったことはその会話でケリがつく。


「……つまり、記憶にあるわけだな」

「当然でしょう」


「では、尋ねる。なぜ俺がやってくることを知っていた?」


そう。

これが聡にとっての大いなる疑問であった。


夜の自分は、あくまで告死人。

つまり、精神の中に侵入するもの。

もちろん事前に告知などしない。

それにもかかわらず、最初に顔を合わせたときから、弥生は聡が来るのをしっていたかのような振舞いをしていた。

これはあり得ない話なのだから。


「言っておけば……」


「あなたが来ること自体は知らなかったことはもちろん、あの日に来ることも知らなかった。だけど、死を告げる者がやってくることは知っていた」


「どこで知った?」

「それは内緒」


「とりあえず理解した」


「おまえの死因は知っているか?」

「自殺でしょう」

「なぜ死ぬ?」

「それも秘密。それよりも死を告げる者がなぜその仕事をしないの?私が魅力的過ぎて仕事を忘れていたということはないでしょう」


「なぜ?」

「そんな馬鹿々々しいことはやめろと伝えるためだ」

「自殺するなということ?」

「そうだ。どのような理由で死ぬかは知らないが、それだけの理由はあるのだろう。だが……」


「死にたくなくても死んでいく者はたくさんいるのだ」


「それを考えたら、自ら人生を終わりにするなど愚かなことだろう」

「そうかしら」

「もちろんだ。もちろん、それだけの問題を抱えているのだろう。だから……」


そこまで言った聡は弥生を眺め直す。


「その問題が解決できるように俺が協力する」


「もちろん俺の力など微々たるものだろう。だが、それでもふたりで考えれば解決策だって見つかるかもしれないだろう」


「どうだ?」


あの手紙を受け取ってから溜め込んでいた想い。

聡はそのすべてを吐きだした。


その一瞬後。

いや。

その数百瞬後。


弥生が口を開く。


「わかった」


「では、その第一歩として……」


「私とつきあって」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ