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待ち受けるもの
「とんだ無駄足だった」
聡は吐き出すようにそう言って立ち上がる。
「だが、約束は約束。コーヒー一杯分余計に金を置いておく。味わって飲め。このクズやろう」
そう捨てゼリフを吐き、カウンターに千円札を二枚置くと足早に店を出る。
「またどうぞ」
愛想のない声でそう言うマスターの言葉を背中で受けながら、聡は大きくため息を吐く。
「とりあえず、橘弥生の言葉を聞こう。対処はそれからだ」
そして、その場に残された眼鏡をかけた若い男のもとにマスターがやってくる。
「どうすると思う?彼は」
「まあ、今晩行くでしょう。彼女のところに」
「彼は聞いてこなかったので言いませんでしたが、知り合いの告死は大変です。なにしろ相手はこちらを知っている。だが、仕事上、自分の立場を口にしなければならない。だが、大部分がそこでは終わらない」
「現実世界にもそれが持ち越される」
「そして、求められる。自身の命運がかかっている返答を」
「そのとおり」
「ここで消えるなら彼もそれまでの男。だが、超えることができれば、多くのものを手に入れることができる」
「彼がどちら側の者なのか。本当に楽しみです」




