やらないで後悔するよりやって後悔するべき
「……ところであの蒲原とかいうオヤジをどうやって呼び出すのだ?」
「呼んだか?」
聡が呟いた瞬間、待っていましたばかりに男の声が戻ってきた。
そして、振り返ると、蒲原が立っていた。
「もしかして、ずっといたのか?」
「私は生意気なガキを二十四時間見張っているほど暇ではない。呼ばれたからきただけだ」
「それにしては早いな」
「そうか」
蒲原はそう言うと、その庭を眺める。
「いい風景だ」
「そうだな。だが、もうすぐ終わるのだろう」
「そうなるな」
「なんとかならないのか?」
「ならんと言っただろう」
「ひとつ尋ねる」
「俺があの女の人に注意喚起した場合、俺は何かペナルティが与えられるのか?」
「特にない。自分の身分を明かさなければ」
「試してもいいか」
「構わないが、深入りすると、後で辛くなるぞ。死ぬことが決まっているのだから」
「そうかもしれないが、やらないで後悔したくない」
「そうか。では、隙にすればいい」
蒲原の姿はその言葉とともに消える。
「さて……」
威勢のいいことを言ったものの、たしかにそれは難しい。
運命を変えられるかどうか以前に、どうやって注意喚起するか。
いや。
どうやって話を切り出すか。
「まあ、普通に声を掛けたら完全に不審者だからな」
そう呟いた瞬間、庭から飛んできたボールが聡の頭を直撃する。
むろん、幼子が遊ぶものだ。
痛くなどない。
だが……。
「すいません。本当に」
それは、どうやって話しかけようかと思い悩んでいた人物からのものだった。




