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『犬神物語』 〜転生少女と不思議な絆〜  作者: 犬神 匠
第八話 渡島編 後編

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『白と黒の贈り物』55

足元の感触が、ふっと消えた。

次の瞬間、体が底のない闇へ吸い込まれる。


風もない。

音もない。


それなのに、世界そのものが軋みながら、私たちを呑み込んでいくようだった。


「……っ!」


光も、影も、上下さえ曖昧になる。


やがて――


どん、と前足が硬い地面を打った。

息を詰めたまま顔を上げる。


そこに広がっていたのは、灰色に沈んだ異界だった。

空は濁り、地は乾き裂け、遠くまで黒い靄が揺れている。

生き物の気配はないのに、何か巨大なものの呼吸だけが、この世界全体に満ちていた。


遠くで――

かすれた声が、風に混じった気がした。


「……たす……け……て……」


心臓がどくんと跳ねる。


今にも消えそうな、細い声。

けれど――聞き間違えるはずがない。


「――美咲ちゃんっ!?」


私の声が、闇の空気を裂いた。

思わず駆け出す。


その先、黒い靄の奥にいたのは――

宙に浮かぶ、異様な影だった。


痩せ細った白髪の老人の姿。

足を禅のように組み、黒い瘴気をまとったまま静止している。


その背後には、異形の“魂を喰らうもの”たちが、無数に蠢いていた。


(……なに、あれ……)


ぞくり、と背筋が冷える。

次の瞬間、意識の奥へ――シロの声が響いた。


《見るがよい。あれこそ、魂を喰らうものどもを束ねし核――厄災の王だ》


(あれが全ての元凶……厄災の、王……)


《幾千の怨嗟を喰らい、器を得た成れの果て。決して近づくな》


そして、その群れのなかに――

白く透けた少女の輪郭が、か細く震えている。


「……っ」


息が止まる。


透けるほど儚く、今にも砕けてしまいそうなのに、

見間違えるはずがなかった。


あの髪。

あの小さな肩。

あの泣きそうな顔。


――間違えるはずがない。


「……美咲ちゃん……!」


声が震える。


目を凝らした、その瞬間――


ぞぶり。


群れの影が、彼女の魂へまとわりついた。


黒い泥のようなものが足元から這い上がり、

脚を、腰を、胸を呑み込んでいく。


「やだっ……!!」


さらに別の影が、肩へ。腕へ。喉元へ。


「だめっ……美咲ちゃん!!」


魂を喰らうものたちが、その小さな光を渦の中心へ引きずり込んでいく。


飛び出そうと、足に力を込めたそのとき。


「落ち着いて」


横から伸びた前足が、そっと私を押しとどめた。


ヒカリだった。

その眼差しには、揺るがない強さがあった。


「今、突っ込んでも届かない」


「……っ、でも……!」


喉が焼ける。

目の前で起きている現実を、まだ受け入れられないまま、私は叫んでいた。


「返してよっ!!」


声が裂ける。


「美咲ちゃんを……っ! わたし、もう泣かせないって決めたのに……!」


そのとき。

ヒカリが、そっと身体を寄せた。


「犬神さん、大丈夫。まだ、完全には飲み込まれていない」


その声は、驚くほど落ち着いていた。


私は、はっと息を呑む。


ヒカリの瞳が、まっすぐ私を見ている。

白く透き通るその眼差しに、迷いはなかった。


「今なら、まだ間に合うわ」


「……私を信じて。

あなたと一緒なら――必ず、助けられる」


体の震えが、少しずつほどけていく。


――うん。

信じられる。


「……うんっ!」


深く頷いた、その瞬間。


王のまぶたが、ゆっくりと持ち上がった。


《来たか――犬の子よ》


耳ではない。

その言葉は、頭の奥へねじ込まれるように響いた。

何もかもを拒む、底冷えの響き。

それだけで全身が凍りついた。


《無力なる心で、何を救わんとする》


「違うっ!!」


「誰かを想う気持ちは――無力なんかじゃないっ!!」


怒鳴り返していた。

恐怖より先に、言葉が飛び出していた。


《ふぉっ、ふぉっ……小さき牙よ、よくぞ吠える》


《お前たちの光ごとき、我が闇には届くまい》


黒い笑みが、老人の口元に滲む。


《滅びこそが救いよ》


その言葉とともに、地面から影がぞろりと這い出した。


“魂を喰らうもの”たちだ。


一体、二体、三体――

数えきれない。


瞬く間に、私たちは包囲される。


「ヒカリ……!」


「奥へ行くわ」


ヒカリは一歩も退かず、ただ前を見据えていた。


「儀式の場へ。“光”を完成させないと、ここで倒しても意味がない」


ヒカリが、ちらりと私の首元へ視線を落とす。


「……首輪を。今こそ、その力を借りる」


「う、うんっ!」


チップの首輪。

陽花里さんの祈りが刻まれた――

犬神の証。


ヒカリが、小さく頷いた。


「さあ、行くわよ」


その声は静かで、けれど鋭かった。


「――私たちで、終わらせるの」


「うんっ!」


地を蹴る。

瘴気を裂き、影の群れの隙間を駆け抜ける。


私とヒカリは、“浄化の光”を灯す場所へ――

ふたりの絆と、託された祈りを胸に走り出した。


背後で、影たちのうねる気配が一斉に追いすがってくる。

振り返らない。

ただ前だけを見て、ヒカリの背を追った。


黒く乾いた大地を蹴るたび、足元の亀裂から瘴気が噴き出し、私たちの毛並みにまとわりつく。

耳の奥では、低いうなり声のようなものが絶えず響いていた。


それでも――止まれない。


「右!」


ヒカリの声と同時に、私は反射的に身をひねる。


次の瞬間、黒い触手のような影が真横を薙ぎ払い、さっきまでいた地面をえぐり取った。


「……っ!」


息を呑む間もなく、さらに前へ跳ぶ。


ヒカリは迷いなく駆ける。

まるで、この道を知っているみたいに。


やがて視界の先に、白い光が滲んだ。

闇に呑まれたこの世界で、そこだけが静かに輝いている。


「あれは……」


「祈りの間よ」


短く答えて、ヒカリは速度を上げた。

朽ちた石柱のあいだを抜け、崩れた鳥居を越える。


その先にあったのは、白く満ちた祈りの広間だった。

瘴気が届かないみたいに、空気が澄んでいる。

冷たかった世界のなかで、そこだけがやわらかな温度を持っていた。


思わず足が止まる。


「……きれい……」


声がこぼれる。


石造りの祭壇が、空間の中央に据えられていた。

その周囲には淡い光の紋様が浮かび、

まるで誰かの祈りが今も残り続けているようだった。


ヒカリが、その手前まで進む。

白い体の輪郭が、さらに強く輝きはじめる。


ふいに、ヒカリが振り返る。


「犬神さん。あなたの力が必要なの」


その瞳は、どこまでも澄んでいた。


私はうなずき、祭壇の手前で足を止める。

背後では、なおも黒い気配が近づいてくる。

時間は、もう多くない。


ヒカリが、まっすぐ私を見つめる。


「……だいじょうぶ」


その声には、静かな決意があった。


「ここからは――私が導く」


「ヒカリ……?」


次の瞬間だった。

ヒカリの身体から、白銀の光がふわりと立ちのぼる。


それは波のように祈りの間いっぱいへ広がり、

眩い渦となって彼女を包み込んだ。


(この光……)


懐かしいぬくもりだった。

温泉で、私を助けてくれた光。

昨日の夢の中でも幾度も触れてきた、

やさしい――導く光。


白い毛並みが粒子となってほどけていく。

四つ足の姿が、ゆっくりと人の輪郭へ変わっていった。


伸びやかな脚。

細くしなやかな指先。

風にほどける、長い銀の髪。


けれど――それだけでは終わらない。


髪のあいだから、白銀の耳が静かに現れた。

獣の名残でありながら、どこまでも気高く、月光を編んだような毛並みを揺らしている。


腰の後ろでは、一本の尾がゆるやかに弧を描いた。

雪のように白く、毛先へゆくほど淡く透き、呼吸に合わせるように静かに揺れていた。


そして光が弾けた。


そこに立っていたのは――

純白の巫女装束をまとった、ひとりの少女。


袖と裾には淡い金の紋様。

胸元には、月白の勾玉と、影のように寄り添う漆黒の勾玉。

離れることなく、ふたつでひとつのように揺れていた。


白銀の耳と尾を残したその姿は、

人でありながら、人ならざる神秘を纏っている。


その瞳に、白の光が宿る。


思わず息を呑んだ。

綺麗――そんな言葉では、とても足りなかった。


《……白き巫女の器、ついに目覚めたか》


白い光が揺れ、祭壇を囲む光の紋様の先に、

一匹の白い犬が静かに姿を現した。


「……シロ……!」


《そなたの選びし絆――その祈りこそが、光を完成させる》


ヒカリの髪が、ふわりと浮かぶ。

まるで風も光も、彼女を中心に息づいているみたいに。


「――私、思い出したの」


ヒカリの声が、やわらかく響く。


「ずっと前に見ていた記憶……この祠で――

妹と、祈ってた。手を取り合って……」


光が、さらに強まる。


その背に――

私は確かに、“白の巫女”を見た。


けれど同時に、

そこにいたのは、私の知っているヒカリでもあった。


「……ヒカリ……?」


胸の奥が、熱く震えた。


その瞬間――

祈りの間の外側で、黒い空気が大きくうねった。


どん、と鈍い衝撃が響いた。

祈りの間を包む白き結界が、湖面のようにわずかに揺らぐ。


「……来たわね」


ヒカリは闇をまっすぐ見つめたまま、静かに告げた。

その声には、確かな緊張が滲んでいた。


祭壇の外縁を這うように、黒い瘴気がじわじわと押し寄せてくる。

白い床へ触れるたび、ぱち、と火花のような音を立てて弾かれた。


それでも止まらない。


まるで巨大な闇そのものが、この場所を喰い破ろうとしているみたいだった。


《愚かなり》


うごめく闇の奥から、厄災の王の嗤いが響く。


《……ほう……また此処へ辿り着いたか。白き巫女の末よ》


低く、喉の奥から響くような声が、空間を揺らす。


《儂は視ておる……幾千、幾万の魂を喰らい、なお飢えておる》


《黒き巫女なき白など、所詮は欠けた月》


《いかに祈りを捧げようとも――禍は尽きぬぞ》


ぞわり、と背筋が粟立つ。

けれどヒカリは、一歩も退かなかった。


「……あなたは、昔から何も知らないのね」


静かな声だった。

怒鳴るでもなく、震えるでもなく、

ただ、真っ直ぐに言い切る。


「祈りは弱さじゃない。誰かを想う強さよ」


《戯れ言を》


次の瞬間――


影が大きくうねり、祈りの間を包む白き結界へと叩きつけられた。


「っ……!」


轟音とともに衝撃が走り、私たちは思わず身を低くする。


黒き霧が嵐のように吹き荒れ、

石柱が砕け、床がえぐれ、まるで世界の終わりのようだった。


ヒカリが叫ぶ。


「今のうちに――祭壇へ!」


白い光が、祭壇の中央で脈打っている。

私はヒカリの背を追い、石造りの祭壇へ駆け上がった。


足を踏み入れた瞬間――

祭壇を囲む白き結界が立ち上がる。


間髪入れず、黒い濁流がそこへ叩きつけられた。


轟音。


祈りの間全体が激しく揺れ、白き障壁に大きな亀裂が走る。


「きゃぅっ……!」


思わずよろけた私の肩口を、ヒカリがそっと支えた。


「犬神さん、聞いて」


その瞳が、まっすぐ私を射抜く。


「もう時間がない」


ヒカリの手は、驚くほどあたたかかった。

それだけで、張りつめていた恐怖が少しずつほどけていく。


「首輪の力を借りるわ」


喉元の首輪が、呼応するように熱を帯びた。


きぃん――


澄んだ共鳴音が、祈りの間へ広がっていく。


「あなたの光と、私の光を重ねるの」


その一言が、乱れていた呼吸を整えるように届いてくる。


《小賢しい》


砕けた結界の裂け目から、黒い腕のような瘴気が何本も這い込んできた。


床を削り、祭壇へ向かって伸びてくる。


《間に合うものか》


「……間に合わせる」


ヒカリは低く言い切った。

その横顔は、もう迷っていなかった。


祭壇の中央には、ふたつの円陣が向かい合うように刻まれていた。

ヒカリは片方へ立ち、もう一方を私へ示す。


「犬神さん。そこへ」


――黒い気配が背後まで迫る。


美咲ちゃんを奪った闇。

みんなを閉じ込めた悪夢。

ここで終わらせるんだ。


「……うんっ!」


私は強く頷き、もう一つの円陣へ足を踏み入れた。


その瞬間――

足元から、白い光が一気に噴き上がった。


「……っ!」


まぶしさに目を細める。


光は渦を巻くように私の体を包み込み、

四肢の先から熱を灯していく。


毛並みがほどけるように粒子へ変わり、

宙へ舞い上がった。


前足が、指を持つ手へ。

後ろ足が、しなやかな脚へ。

低かった視界はすっと持ち上がり、揺れる髪が肩へ落ちる。


けれど――

頭上には、やわらかな耳が確かに残っていた。


茶と黒、白の混じる柴犬めいた毛並み。

ぴくりと震えたその耳が、今の出来事すべてを本物だと告げている。


腰の後ろでは、ふさりとしっぽが揺れた。


喉元を包んでいた首輪が、光の粒となってほどけていく。

その輝きは右手へ流れ、薬指へ静かに収束した。


やがて――


そこには、白銀の犬神の指輪が宿っていた。

ずっと昔から、私と共にあった証のように。


「これ……私……?」


震える声が、自分のものとは思えなかった。


体を包んでいたのは、見慣れた制服でも普段着でもない。


白を基調とした衣装。

袖口と裾には淡い金の紋様が走り、

胸元には月白の輝きを宿した飾りが揺れている。


まるで、誰かの祈りを受け継ぐための装束だった。


耳としっぽだけを残して、私は人の姿へと変わっている。


「……すごい……夢幻封界なのに……私、人の姿に戻れてる……」


思わず見下ろした私に、ヒカリがふっと目を細める。


「よく似合ってる」


「えっ……い、いま言う!?」


こんな状況なのに、顔が熱くなるのがわかった。

けれどそのひと言だけで、肩の力が少し抜ける。

ヒカリも少しだけ笑っていた。


その瞬間――

どんっ、と祈りの間全体が大きく揺れた。

白い結界の一角が砕け散り、黒い濁流が雪崩れ込んでくる。


「きゃっ……!」


私はとっさによろめく。

ヒカリがすぐに手を伸ばし、私の腕を支えた。


「始めるわよ、犬神さん」


さっきまでの柔らかな声ではない。

凛として澄み切った――白き巫女の声だった。


「あなたの光と、私の光を、ここでひとつにする」


祭壇の紋様が、鼓動のように強く脈打つ。

背後では、闇が獣のような唸りを上げ、白き障壁を軋ませていた。


私は息を呑み、差し出されたヒカリの手を握り返す。


あたたかい。


そのぬくもりに触れた瞬間、

張りつめていた恐怖が、胸の内で音もなくほどけていった。


怖かったはずなのに、

不思議なくらい、震えは消えていく。


「……ヒカリ」


名前を呼ぶと、彼女は静かにうなずいた。


「大丈夫。ひとりじゃないわ」


その言葉だけで、心に小さな灯がともる。


祭壇の光が、私たちの足元から幾重にも立ち上がった。

白い線が絡み合い、円陣はより大きく、より複雑な紋様へと姿を変えていく。


きぃん――


右手の薬指にはめられた犬神の指輪が、

澄んだ共鳴音を響かせた。


次の瞬間。


忘れていたはずの景色が、

濁流を破るように意識の奥へなだれ込んできた。


陽だまりの庭。


みかんの葉が風に揺れ、

やわらかな土の匂いがする。


小さな足で駆け回る私。


――チップ。


笑いながら名前を呼ぶ声。


「こら、チップ。そんなに急いだら転ぶわよ」


振り向いた先にいたのは、

白い着物を揺らしながら笑う少女。


陽花里さん。


やさしい手が、

何度も何度も私の頭を撫でる。


嬉しくて。

誇らしくて。

この人のそばにいられるだけで、世界は全部あたたかかった。


けれど、思い出すのはそれだけじゃない。


嵐の夜。


引き裂かれるような雨風。

荒れ狂う波。

伸ばされた手。


泣きながら、それでも私を守ろうとした声。


「大丈夫……チップは、私が守るから……!」


そして――


光の中へと消えていった背中。


「……あ……」


涙が、頬を伝った。


全部、思い出した。


夢じゃなかった。


あれは、私の記憶だった。


遠い昔、

私はただ守られていただけじゃない。


あの人を。

あの笑顔を。

あのぬくもりを。


今度は、私が守りたかったんだ。


「陽花里さん……!」


声が震える。


ヒカリ――


その奥で静かに微笑む陽花里さんが、

やさしく頷いた。


「ようやく、ここまで来てくれたのね」


そのときだった。

ヒカリが片手を祭壇へとかざす。

光の外縁にいたシロが、静かにヒカリの傍らへ歩み寄った。


「シロ、お願い」


シロは一度だけやさしく目を細める。


《其方らの願い、我が刃となろう》


「眠りし守りの刃よ――願いに応えて」


白き紋様が一斉に走り、石床の中央が眩く輝いた。

そこから、すう……と一振りの剣が姿を現す。


白銀の刃。

柄には、犬神の紋。


ヒカリがその柄を握る。


次の瞬間――

シロの身体が、淡い光の粒となってほどけていく。


「……シロっ!」


光となったその姿は迷いなく剣身へ吸い込まれ、

白銀の刃の内側へ静かに宿った。


同時に、祭壇から立ちのぼった光も剣へ流れ込み、

刃はまばゆい神光を放ちはじめる。


ヒカリが強く柄を握りしめる。


「目覚めて――犬神のツルギ


「祈りは光に。

 想いは、未来を拓く刃に――」


その声とともに、

祈りの間の外壁が、ついに砕け散った。


轟音。


黒い濁流が雪崩れ込み、

厄災の王の嗤いが空間を震わせる。


《終わりだ》


けれど、私はもう目を逸らさなかった。

ヒカリが構えた犬神の剣へ、私はそっと手を重ねる。

白銀の柄が、ふたりのぬくもりを受けて強く輝いた。


「一緒に!」


ヒカリの声に、私は強く頷く。


《犬神千陽よ。共に征こう》


白銀の刃の奥から、シロの声が静かに響いた。


そして――

ふたりでその剣を振りかざし、真正面から闇を見据える。


「もう誰も泣かせないっ! ここで――終わらせるッ!!」

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