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神様は見ている  作者: ももらら
幸せになる資格

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24/57

また会いたい

ノア、料理を頑張りました。

 食後。2人は居間でコーヒーを飲んでいた。窓の外では夕日が庭を照らしていた。

 エリンはソファに座りながら、本棚を眺めていた。

「ノア」

「うん?」

「大学では何を勉強してたの?」

 ノアは思い出すように少し考えながら答える。

「最初は基礎的な医学や生物学を中心に」

「理学療法士になるため?」

「うん」

 ノアは微笑んだ。

「その後、専門の課程に進んだんだ」

「そうなんだ」

 エリンは少し考えた。

「どうして、理学療法士になろうと思ったの?」

 ノアは静かにカップを置いた。

「前にも少し話したね」

「うん」

 エリンは頷いた。

「人が元気になっていくところを見たかったって」

ノアは微笑んだ。

「そう」

 エリンは彼を見た。

「でも、どうして?」

 ノアは少しだけ視線を落とした。

そしてゆっくりと答えた。

「誰かの役に立ちたかったんだ。自分に何ができるのか考えたときに……」

 少し間を置いた。

「人を助ける仕事がしたいと思った」

 エリンは静かに頷いた。

「ノアらしいね」

「そう?」

 エリンは頷いた。

「うん」

 そして微笑んだ。

「すごく」

 ノアは少し照れくさそうに笑った。

「ありがとう」

 しばらくして。エリンはもう一度写真立てを見た。

「ダニーさんって、どんな人?」

「ダニー?」

「うん」

 エリンは微笑んだ。

「さっき大切な友達だって言ってたから」

 ノアは少し考えた。そして思い出すかのように笑いながら口を開いた。

「賑やかな奴だよ」

 エリンも笑った。

「それは聞いた」

 ノアは少しだけ楽しそうに続けた。

「大学ではよく一緒に勉強したんだ」

「そうなんだ」

 ノアは懐かしそうに笑った。

「あいつは僕と違って、誰とでもすぐに仲良くなれるんだ」

 エリンは彼を見た。

「ノアだってみんなに好かれてるよ」

「そうかな?」

「そうだよ」

 エリンは頷いた。

「病院でも患者さんたちに人気があるし」

 ノアは少しだけ視線を落とした。

「それは仕事だから……」

 エリンは首を振った。

「仕事だからって、誰でもできることじゃないよ」

 エリンは静かに続けた。

「ノアは人を大切にする人だと思う」

 エリンは微笑んだ。

「私はそう思ってる」

ノアはしばらく何も言わなかった。そして小さく息を吐いた。

「ありがとう」

 その声は少しだけ震えていた。


 夕方6時。エリンは帰る準備をしていた。玄関で靴を履きながら彼女は言った。

「今日は本当にありがとう」

 ノアは微笑んだ。

「こちらこそ」

 エリンは、少し笑った。

「お料理、すごく美味しかった」

「よかった」

 ノアは安心して笑った。

「また作るよ」

 エリンが目を輝かせる。

「本当?」

「うん」

 ノアは頷いた。

「今度は別の料理を」

「楽しみにしてる」

 2人はしばらく互いを見つめていた。そしてエリンが静かに言った。

「ノア……」

「うん?」

「また会いたい」

 ノアは少し驚いた顔をした。エリンは少しだけ頬を赤くした。

「仕事じゃなくて……」

 エリンは彼を見た。

「こうして2人で」

ノアはゆっくりと息を吸った。そして静かに頷いた。

「僕も」

 エリンは胸の奥が温かくなるのを感じた。

「よかった」

 ノアは微笑んだ。

「うん」

 2人はしばらく何も言わなかった。穏やかな空気が部屋を満たしていく。そしてエリンが小さく笑った。

「じゃあ、またね」

 ノアは頷いた。

「またね、エリン」


 その夜。エリンは自宅の居間でソファに座っていた。窓の外には月が浮かんでいた。

 彼女は今日の出来事を思い返していた。ノアの家。本棚。大学の卒業写真。そして彼が作ってくれた料理。

 エリンは静かに微笑んだ。

「楽しかった」

 心からそう思った。

 そしてもう一つ。

「もっと一緒にいたい」

 その気持ちは以前よりもはっきりしていた。

 怖くないわけではなかった。それでも今は。その気持ちを否定したくなかった。


 同じ頃。ノアは自宅の居間で、写真立てを手に取っていた。

 大学の卒業式。隣にはダニーが写っている。ノアは少しだけ笑った。

「ダニー」

 小さく呟いた。そして考える。

「あいつなら、何て言うだろう?」

 きっと笑うだろう。そして余計なことを言うに違いない。

 ノアは笑みを浮かべながら、写真立てを元の場所に戻した。

 そして今日のエリンの言葉を思い返した。

「また会いたい」

 ゆっくりと目を閉じる。胸の奥が温かくなった。同時に苦しくなった。

 彼女は何も知らない。自分の過去を。自分がどんな人間だったのかを。

 いつもの考えが頭を支配しそうになる。

「これ以上、近づいてはいけない」

 だが思い出す。

「こうして2人で」

 エリンの声が、耳に残っていた。

 そして誰もいない部屋で小さく呟いた。

「僕も……会いたい」

 誰にも届かないその声。それはノアの中にはっきりとした意志を刻んでいた。

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