ガンシップでの会議
ガンシップが着陸している拠点の近くまで移動する。拠点に到着すると、アメリカ兵達はガンシップに乗っていた。アメリカ兵達を乗せたガンシップはそのまま離陸する。
「おい! 私らを残して離陸かよ!」
香里奈は離陸していくガンシップを見て怒る。だが、もう一機が近くに離陸していたのを見る。
「私たちはあっちみたい。急ごう!」
アリスに導かれるように、もう一機のガンシップに向かう。ガンシップに向かうと、男性の将官らしき軍人が蛍光棒を振るいながら案内する。私たちはすぐにガンシップに乗る。私たちが乗るのを確認すると、ガンシップはその場から離陸する。
安堵した私たちは、その場で『ライド』を解除する。そして、その場に座り一息を着く。
「はぁ〜。死ぬかと思ったわ」
「でも、なんとか生き残れたね。それに、なんでカーテンで仕切られているんだろう?」
美生はある疑問を投げかける。そう、このガンシップの中は、半分がカーテンで仕切られてるのだ。すると、さっき誘導してくれていた将官らしき男性の軍人が、カーテンの奥から秘書と護衛の兵士を連れて現れた。
アリスはすぐさま敬礼し、私と美生は立ち上がる。アリスと将官らしき軍人は何かを話している。だが、英語だからか何を話しているのかわからない。すると、ブリュンヒルデが何かをしたみたいで、次第に二人の話がわかるようになってきた。
「ブリュンヒルデ。何をしたの?」
『あなたの脳内に聞こえる言語を英語にも対応したわ。英語が無意識に日本語に聞こえるようになっているわ。それと、向こうに話す際は自動で英語を話すようになっているわ』
「御都合主義もいいところね。まぁ不便するよりはマシか」
ボソッとブリュンヒルデと話す。その声が聞こえていたのか、香里奈は座りながらこちらを見て微笑んでいた。
そうしていると、将官らしき男性が私たちの方を振り向き近づいてくる。
「君がアリスの言っていた親友の子か? 名前は?」
将官らしき男性が私に尋ねる。ブリュンヒルデの言っていた通り、彼の言葉が自動的に日本語に聞こえている。
「草薙美羽です。あなたは?」
私は将官の男性に聞き返す。
「私はデイビット・ロビンソン少佐だ。ロビンと呼んでくれ。アリスとはかつて同じ隊にいた頃の部下で、彼女が『ブレイバー』であることを知っている者だ。君も同じ『ブレイバー』なのだろう?」
「え、えぇ。そうですが?」
「なら、話が早いな。メリル、タブレットを」
将官とこロビン少佐は、秘書のメリルさんからタブレットをもらう。
「少佐。それで、私たちに聞きたいこととは?」
「今回のアフガンの作戦についてだ。本当にこれが上からの勅命だったのか。私は不審でならなかったのだ。これを見てほしい。私の独断で派兵した部隊が録画したものだ」
ロビン少佐のタブレットから動画が再生される。それがブロジェクター経由で再生されると、それは私たちがこの目で見た光景だった。
「まさか、ほかの村でも起きていたというの?」
「ん? 君らも見たのか?」
ロビン少佐の質問に、美生が答える。それと同時に、美生はスマホに保存していた動画を再生させる。
「あの戦地に向かう際に、通りかかったんです。そしたら、この映像と同じく、村の人たちが全員死んでいたんです。まさか、ほかの村でも同じことが起きているなんて」
「やはりそうか。先ほど特殊部隊がタリバンの本部に突入したのだ。その結果、タリバンの指導者とその幹部が全員死亡しているのを発見したそうだ。その後の司法解剖を拠点で行われた結果、指導者と幹部の遺体からこんなものが採取されたそうだ」
メリルさんは、ロビン少佐の言葉とともに、白黒の画像を見せる。その画像は、私たちがよく知るもの同様だった。
「ナノマシン……!」
「あぁ。これは人間の細胞に『アバター』の情報を直接流し込むものだ。それによって、人間の脳機能を疑似的に飛躍させ、精密に実行させることができる代物だ。だが、『アバター』が消滅した人間が突然死を引き起こすとされ、WHOとNATOが協議し、それを国連議会に裁決させて禁止にしたと聞いている。今回の件はロシア、中国の関与が疑われているが、件に2国は否定しているらしい」
「あの2国は反米としてはアフガニスタン、もといタリバンとは関係を持っている。でも、その2国が否定しているということは、何か裏があるんじゃないかと思ってね。FBIの知り合いに調べさせたところ、タリバンのサーバーから、あるのもの取引履歴が残っていたんだ」
ロビン少佐がある履歴を私たちの見せる。その中身は、ダークウェブでのナノマシン絡みの売買だった。
「これは?」
「タリバンとある人物との売買の履歴だ。ナノマシンがかなりの数は買っていたそうだ。おそらく、これは支持者や過激派の連中に投与した。だが、事態は彼らの相当を遥かに超えるほど酷くなった。あの路頭を徘徊するゾンビのような傭兵。上層部や支持者達の突然死。これらは全て、ナノマシンが起因で発生したものだ。だが、誰がこんな改良を加えたのか? まだ誰がと決まったわけじゃないが、何か裏で通じている人間がいるのは確かだ」
私はこの売買のやり方に心の辺りがある。このやり方をやる人物は、私が知っている範囲で一人しかいない。それは美生も香里奈も同じだ。そして、アリスも例外じゃない。
「これの売買、やはり一人しかいないよ」
「そうね。まさか、国家規模にまで関与するなんて」
「まさか、事態はもっと酷くなっていくね」
私たちは奴の存在が裏にいることを確信する。今回のアフガニスタンでの事件も、全部奴が絡んでいると見ていいだろう。
「『商人X』……。あなたどこまでやれば気が済むの?」
怒りが滲み出ている私を見て、周囲の人間は重圧を感じている、だが、こうしてもまだ誰が『商人X』いまだわからない。
こうして話しをしている内に、私たちは空からアフガニスタンを脱出したのだった。




