仲間
草薙美羽視点――――――
アリスを助け、『量産型機兵』との熾烈な戦いが始める。『量産型機兵』が雄叫びのような咆哮をあげると、指からミサイルが発射される。私はそれを『ウィングユニット』を展開させ避ける。香里奈は『ヤタノカガミ』を鏡のように展開しては『ソーラー・エネルギー』を放出する。その熱戦は『量産型機兵』の周囲にいたロボット達を焼き尽くす。
「こいつだけでも厄介だが、それに追従するロボット共も邪魔だな」
「それだけじゃないわ。こいつ、この間戦ったのとよりも強いわ。見たことのない武装までも搭載されているわ」
『量産型機兵』のは不可解なところが多く散見される。まずは指から放たれたミサイルだ。瀬戸内グループで戦った時の奴にはなく、この機体から搭載されたのだろう。その上追尾型のミサイルだ。さっきは『ウィングユニット』をフルブーストで展開したので逃げられてのだが、次も回避できるとは言い難い。
それよりも処理能力が向上している。『アバター』が搭載されたのか、はたまた前にも搭載されていた人工知能がアップデートしたのか、こいつを倒さない限りに確かめようがない。
そう思っていると、美生が『量産型機兵』に向かって、『ゲイボルグ』を突き刺す。だが、その槍の先端が刺さることはなく、バリアによって弾かれる。
「こいつ、『トロイの木馬』が使ってたタイプと同じバリアを使うじゃない!」
「またこのパターンかよ。今度はあっちも攻撃してくるぞ!」
『量産型機兵』はバリアを展開しては再び指からミサイルが放出する。美生は『ゲイボルグ』を振り回してはそれらを迎撃する。
今度は『量産型機兵』が背部のレールガンを私たち向けて放つ。チャージされた電磁砲は、地面に小さなクレーターを形成させながら、音速の早さで発射された。
「レールガンですって? あれは日本が海水を利用した発電をして初めて使えると聞いてたけど?」
「いや、あれは核電池で動いてるんだ。あれ一機が動く原発だから、何発もレールガンを発射できるんだよ」
「なるほど。なら、こいつの電力は無尽蔵って訳ね」
「あぁ、だが仮に大破に追い込んでも、この辺りは核汚染が起きるだろうな。まぁ、福島第一原発やチェルノブイリほどではないがな。起きたとしても半年で半減期の入るだろうよ」
香里奈が『量産型機兵』について説明する。大破以上で核汚染が発生するが、それでも過去に起きた大きな原発事故よりも、核汚染は深刻じゃないそうだ。
それでも、あれを止めないといけない。放置していたら、南下していき、他の2国にも被害を及ばすのだから。
「『ギリシア・コード【β】。モード:ガンスリンガー』」
『ヴァルハラ』を構えながら、『量産型機兵』に接近する。『量産型機兵』はガトリングガンを構えながら、私を迎撃する。私はそれを避けながら『ヴァルハラ』を連射する。
しかし、『量産型機兵』はバリアを貼っていた為、機体にダメージが入らない。そして、鞭のような柔い鉄の塊を振るう。私はそれを避けるが、地面に亀裂が入るほどの斬撃のようだ。
「こいつは少し骨が折れそうね」
「でも、こいつの相手ばかりしていられないわ。ほら、奥から何かくるわ!」
美生が奥の方を指差す。なんと、そこにはロボットの大群がこちらに押し寄せてきた。
「ちぃ。こっちはあれで手いっぱいなのによ」
『リミットとして、あと10分でこちらに到着するです! それまでに『量産型機兵』を倒せたいいですが……』
「なんとかするしかなさそうね。今は3人でどうにかしましょう!」
香里奈と美生は、『量産型機兵』の脚部に対して攻撃する。しかし、バリアが貼っているせいか、二人のダメージが一向に入らない。私も『ヴァルハラ』で射撃しているが、同じく『量産型機兵』が入らない。ロボットの大群が迫っている。絶対的なピンチの中で作戦を考えていると、レールガンの狙撃準備が行われる。
「しまった!」っと私は絶体絶命のピンチに陥る。レールガンの弾丸が、音速の息の状態で射撃してくる。
その時だった。浮遊するシールドによって一命を取り留める。その姿は、誰もが待ち焦がれたヒーローのようだった。
「アリス?」
「ごめん、遅くなった。もう大丈夫だから」
なんと、アリスが『ブレイバー』となった姿で私を守ってくれた。振り向いたアリスの目は、覚悟を決めた人間の目をしていた。
「大丈夫なの?」
「うん。もう迷わないって決めたの。国や政府の意思には従わない。私は私の心に従う事にした。美羽ちゃんが誰かを守るために力を使うのと同じで、私は愛する人を守るための盾になる! だから、あとは任せて!」
アリスは私の先頭に立つ。
そして、アリスを交えた『量産型機兵』との第二ラウンドが幕を開けるのだった。
アリス視点――――――
美羽ちゃんたちが日本から遠く離れたアフガニスタンへと現れた。死を覚悟した私は、その光景をただ眺めるだけだった。同僚の前では『ライド』ができない。私はただそれを眺めることしかできなかった。
『いかなくて良いのですか? 皆が戦ってますよ?』
アテナの答えは的確だった。軍に従うことしできない半端な私は、3人の戦いに参加することができない。だから『ライド』もせず、拠点の中から『ブレイバー』達の戦いを、皮肉に自身も『ブレイバー』にもかかわらず見るしかできないのだ。
「みんな、私のために戦ってくれている……。でも、私は……」
3人が巨大なロボット相手に苦戦を強いられている。攻撃を加えようとしても、バリアによって弾かれるのだ。
『見てください。彼女達はあなたを助けるという単純な理由でここに来たのです。彼女達は本来、日本であなたの帰りを待つべきなのに、無理をしてまで駆け付けてくれた。それだけの理由でここにいるのです』
アテナの言葉に、決心する。私は国のために死ねるのなら本望だった。だけど、それは自分を偽るための口実にすぎない。本当は、友達や大切な人を守りたい。そして、何より強い相手と戦いたい。それが私が『ブレイバー』となる時に決めたことなのだ。
危険だというのは百も承知している。でも、行かないといけない。強い敵がそこにいる。ましてや、自分を助けるためにきた友達にもお礼を言わなきゃいけない。
それに答えるために、私は前へ進む。もう国に忠を尽くすのはやめだ。私は私のために忠を尽くす。だから私は、『ブレイバー』の力を解禁するんだ。
「吹っ切れたよ。もう国に従うのはやめる。今度は私のために忠を尽くす。そして、私より強い相手と戦う。その結果が、私の大切な人を守れるのなら、私は『ブレイバー』として戦場に行く!」
私の覚悟に、アテナは笑みを浮かべる。
『本当にいいですね?』
「うん。力を貸してくれる? アテナ」
『もちろんです。私はあなたの『アバター』。たとえ地獄だろうと、行くのは一緒です!』
アテナの言葉と共に、スマホに手を触れる。
「行こう、アテナ!」
アテナは静かに従う。そして私は『ブレイバー』に変身する。
「アテナ、『ライド・トゥ・ブレイバー』!」
掛け声と共に、無数の数式が私を包み込む。着ていた軍服が消え、『ベースウェア』を纏う。徐々に『アーマー』を纏い、ドレスのような服装を纏う。最後に左右から髪をポニーテールに束ねると、私はアテナと『リンク』した姿、『A・アテナ』になった。
ウィンドウをみる。私の覚悟の表れか、もう一つの形態変化ができることを表示されている。
「さぁ! ここからは私の戦場だよ!」
そんな言葉と共に、美羽ちゃん達と合流する。
そして、着いたと同時、巨大なロボットから放たれたレールガンの弾丸を、『イージス』で防いだのだった。




