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サイバーブレイン〜人間とアバターが共存する世界で、アバターを持たない平凡な女子高生がAIとリンクしてブレイバーへと変身する〜  作者: nashlica
第1章 腐敗した資本主義編:前

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街に潜む悪意

 瀬戸内香里奈は草薙美羽達が帰ると、少しの間だけ仮眠をとった。仮眠を終えると、車椅子に乗りテラスでペットボトルの水を飲む。


「おはようございます。香里奈様」

「おはようって時間じゃないわね。今は何時?」


 香里奈が起きたことを見て、早坂翼はカップに淹れた紅茶を香里奈に渡す。それと同時に、井崎美生が提供したテロリストの情報が入ったタブレットを渡す。

 香里奈は寝起きの頭を紅茶に含まれているカフェインで起こしながら、タブレットを眺める。


「まだこんなに残っていたのね。こいつらが例の『トロイの木馬』を?」

「はい、美生さんの提供した情報によると、このハッカーが例の『トロイの木馬』をカンナギ港に散布したハッカーだそうです。美生さんは『商人X』の追跡で手が離せそうに無いそうので、香里奈様か美羽さんにお願いしたいそうです」


 紅茶を飲みながら、タブレットの情報を見る。それに少し厄介なことがあるそうだ。


「アマテラス。これの反応は?」

『あぁ。こいつは『悪性アバター』だな。それに2体となると、今の内に両方始末しないと面倒だな』

「厄介なことをしてくれるわね。なら今から行きましょう」


 香里奈は車椅子をタブレットで操作する。美生が作った車椅子は機能性が優れている。タブレットを使えば、タッチするだけで前進なども出来る。

 しかし、トイレや風呂などは依然として人の手が欲しいところだ。香里奈は窓を開けて、ベランダに出る。すると、周囲の風景は灰色に染まり、夜のカンナギ市の光景は無機質な空間に包まれた。『仮想世界(バーチャルワールド)』に遷移したのだ。


『いつでもいけますよ! 香里奈様』

「仕事が早くて助かるわ。社員達もそうしてくれると助かるんだけど」

『私と香里奈様の中ですから。ささ、早く変身してください!』


 すでに別室で『ブレイバー』となっていた翼が、香里奈に通信する。『仮想世界(バーチャルワールド)』への遷移も、『ブレイバー』となった彼女の手引きだろう。

 香里奈はベランダでデバイスを構える。そして、自身の『アバター』であるアマテラスに『ライド』する。


「アマテラス。『ライド・トゥ・ブレイバー』!」


 無数の電子の数列が香里奈を包み込む。次第に彼女の体はアマテラスと同化し、『ブレイバー』となる。こうして、瀬戸内香里奈は自身の『アバター』と一つになった存在、『K・アマテラス』となった。

 この状態の香里奈は、不随になった下半身を自由に動かすことができる。そして、自身の体格以上に重い物も持ち上げられるのだ。


「翼、いつでもいいぜ」


 それともう一つ変わったことがある。そう、彼女の口調が男性寄りの口調になり、荒々しい性格となるのだ。

 香里奈は大型の『ウェポン』を持ちながら、『ウィングユニット』を展開する。香里奈は灰色に包まれたカンナギ市の空へと飛んで行った。


「翼、奴らの動向は?」

『ここから空で数分と言ったところです。でも気をつけてください! ハッキングされたロボットの反応もそれなりにあります!』

「はっ。そんなもん朝飯前だぜ! 私が残らず蹴散らしてやるぜ!」


 香里奈は空を飛ぶスピードを早める。そして、翼が記した場所へと到着した。

 香里奈は到着すると、周囲を見渡す。すると、翼が言っていたロボットたちが、次々と香里奈の前に現れた。


『香里奈様。到着しましたか?』

「あぁ。でも、思った以上にロボットの数が多いみてぇだ」

『おそらく、私たちが対処を始めてる間に増えたようです。ここまで早いとなると、大元はロボットにいるかもです』

「そいつはいい。探す手間が省けたってもんだぜ!」


 香里奈は『ウェポン』である『ヤタノカガミ』を展開しながら、ハッキングされたロボットたちの相手に戦う。ロボット達は目を赤くさせながら、香里奈に襲う。すると、香里奈は『ヤタノカガミ』をフリスピーのように投げると、ロッドで操作しながらロボット達を倒していく。

 しかし、ロボットは倒れながらも立ち上がる。香里奈は『ヤタノカガミ』を縦にして、ロボットの体を破壊した。


「こんなもんじゃ無いだろ? もっと私を楽しませろよ!」


 香里奈は『ソーラー・エネルギー』を充填させ、『ヤタノカガミ』で放出する。すると、数体のロボットが焼き切れた。

 ロボット達は気が狂ったかのように香里奈に襲う。香里奈は炎を纏った『ヤタノカガミ』をロッドで振り回す。


「『ギリシア・コード【Λ】』。消し炭にしてやるぜ!」


『ソーラー・エネルギー』がさらに強くなる。それはまるで、名前にあるように太陽神のような熱と輝きだった。


「燃やし尽くせ! 『Λ・サイクロン』!」


 回転する『ヤタノカガミ』が、周囲のロボットを薙ぎ払う。それの飲まれるように、ロボット達が次々と熱によって溶け始めてきた。そして、あまりにもの熱によって、ロボットから『悪性アバター』が抜け出してきた。

 香里奈はそれを見逃さず、『ヤタノカガミ』を『悪性アバター』の進路に突き刺した。


「さぁ、話してもらうぜ? テメェの目的をよ!」

「や、やめてくれ!」

「言い訳は無しだぜ? お前ともう1人はカンナギ港に『トロイの木馬』を使った疑いがあるんだ。死ぬのは結構だが、簡単には死なせねぇぜ?」


『悪性アバター』は、必死に命乞いをする。すると、翼から無線が入る。


『香里奈様! 第二陣がそちらにきてます! それもさっきの倍です!』

「ちっ。それならそっちが先だな。翼、こいつを拘束しといてくれ」

『はいです! ん? 『ブレイバー』の反応もあるです』

「誰がか知らんが、邪魔をしなきゃ構わないぜ」


 香里奈は『ウィングユニット』を展開し、もう一体の『悪性アバター』が接近している場所へと向かう。

 かくして、拘束した『悪性アバター』の管理を翼に任せ、香里奈は天高く飛んで行ったのだった。

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