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サイバーブレイン〜人間とアバターが共存する世界で、アバターを持たない平凡な女子高生がAIとリンクしてブレイバーへと変身する〜  作者: nashlica
第1章 腐敗した資本主義編:前

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ハッカーとして

 草薙美羽らと別れたのち、井崎美生は自室にこもっていた。目的はもちろん、『商人X』についてだ。

 彼のIPアドレスを取ることで、彼の足を掴むことができる。その為にも、まずは『暗黒階層(ダークウェブ)』に潜り込む必要がある。美生は『商人X』の動向を観察しているPCを開く。HDMIをディスプレイに接続する。

 美生は一般人を凌駕するタイピング速度で、コードを解析、ハッキングの為の書き換えをする。


「ダメだ。これももう捨てられている。一体何がしたいんだろう?」


『商人X』のアカウントが事如く削除されている。どの闇サイトも売買の記録はあるが、一回きりの売買の履歴だけを残し削除されている。


『随分と面倒なことをするわね』

「うん。本当なら『ダイブ』して行きたいけど、『暗黒階層(ダークウェブ)』は何が起きるかわからないからね」

『あんなところは、何が起きるかはわからないわ。まぁ、あんたには不要かもね』

「そんなことないよ。クーフーリンがいなかったら、私もあの時のことで美羽と疎遠のままだったし」


 美生はタイピングをしながら、クーフーリンと何気無い会話は繰り返す。しばらく張り付いていると、闇サイトの方に動きがあった。


『見て。『商人X』よ。またアカウントを作って入っているみたいね』


 クーフーリンが『商人X』のアカウントらしきものが動いたことを確認する。美生は急いでIPのハッキングをする。IPのジャックを完了するも、『商人X』のアカウントが削除された。


「まさか、気がつかれた?」

『売買が終わったみたいね。奴の方が一枚上手だったようね』


 美生は冷蔵庫に入れてあった水を飲む。そして再び、『商人X』が出現するかを監視する。しかし、一行に『商人X』が闇サイト上に出現しない。

 しばらく眺めていると、今度は別の闇サイトの方で『商人X』と思われるアカウントが動いた。美生は彼のアカウントを観察する。すると、気になる文字を見つける。


「クーフーリン。これを解析して」

『えぇ。すぐに解析するわ』


 クーフーリンに先ほどのチャットの文字を解析する。


『こいつは面倒ね。今度はイスラム過激派組織と売買しているわ。どうやら、銃を数丁、ドローンも数機手配しているみたいね。それに厄介なのはこれは一体?』

「どうかしたの?」


 美生の質問に、クーフーリンは驚きを隠せていない。


『相当厄介なものが売買されたわ。厄ネタ級のウィルスまで買っている。それを実行するためのプログラムツールまでも買ったようね』

「それって、戦争する気なの?」

『100パーセントそのつもりね。でも、こんな金どっから出たの?』


 クーフーリンが解析を進める。売買に使われたビットコインに入手先を調べても、何も出ないようだ。どうやらダミーが出ており、本来の情報を秘匿するための物のようだ。

 そして、美生はさらに意味深なチャットを眺める。そこには目を伺うようなチャットが流れていた。


「『私はロス・ウルブリヒトを敬愛する』? あのシルクロードを作った人のこと?」

『情報的に、とんでもないロクでなしね。自分の正義のためにあの規模の闇サイトを作るなんて、イカれているとしか思えないわ』

「あれは一体何を言ってるんだろう? それに、彼の目的はなんだろう?」

『一筋縄にはいかないわね。テロリストに武器を売買している時点で、相当イカれてるけど』


 美生はまだチャットの解析を進める。すると、目を疑うチャットが流れていた。


「『ネズミが張り付いてるみたいだ』? まさか、私がハッキングしてることがバレているの!?」

『どうやら本当に一枚上手だったみたいね。このままじゃ、このPCが逆にハッキングされるわ』


『商人X』は美生がハッキングして自らの行動を監視していたことを把握する。しばらくして、美生が使用していたPCにランサムウェアが入り込む。

 美生は急いでランサムウェアの排除をする。しかし、瞬く間にランサムウェアが入り込み、完全に乗っ取られたようだ。


「やられたね。このままじゃこのPCのデータがすべて『商人X』に持ってかれる」

『こうなれば、武力行使で行くしないわね。ヘットギアを着けて寝るなさい。すぐに『ダイブ』するわ!』


 美生はクーフーリンに言われるように、ヘッドギアを耳につけてそのまま睡眠する。『ブレイバー』は従来の人間と比べ、睡眠に入る時間は短いのだ。

 しばらくして美生は睡眠し、彼女の意識は電子空間に入る。精神体となってた美生はクーフーリンと共に電子空間を進む。


「またカマキリ!? もう、しつこいんだから!」

『こうなったら、一気にやるしかないわね』

「そうだね。行こう! クーフーリン!」


 美生はクーフーリンの片手を握る。


「クーフーリン。『ライド・トゥ・ブレイバー』!」


 美生に精神体がデータ化し、クーフーリンと『リンク』する。そして、彼女の姿は『M・クーフーリン』となった。

『ブレイバー』となった美生は早速、自分のPCに住み着いたカマキリを『ゲイボルグ』で突き刺す。美生に気つぎ、カマキリは美生に向かって攻撃する。

 美生は『ルーン・コード』を使ってカマキリを燃やすと、背後に回ったカマキリを拳で殴ると、『ゲイボルグ』で突き刺す。


「『商人X』め。私のPCをハックしてくれるなんて、いい度胸じゃない! 今から行ってぶん殴ってやるんだから!」

『そうしたいのは山々だけど、奴の痕跡を掴むのが先よ。それだけは忘れないでね』

「そうだったわね。あいつを殴るのは美羽達をしましょう。さぁ行くわよ!」


 美生は自身のPCを媒介に、『電脳世界(サイバーワールド)』に入る。

 彼女は『電脳世界(サイバーワールド)』に入り、『商人X』の痕跡を探すのだった。

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