死守すべき場所
草薙美羽と瀬戸内香里奈が『トロイの木馬』の殲滅に向かっている間、井崎美生とアリスはカンナギ港に留まっていた。依然として木馬からウィルスとランサムウェアの大群が放出されていく。
アリスのシールドがそれを防ぎ、防ぎきれなかった分は美生が殲滅する。それの繰り返しをしていくが、依然としてウィルス達が静まることはない。
美生の『ゲイボルグ』が次々とウィルスとランサムウェアを排除していく。それの援護に、アリスは『45口径のウェポン』を放つ。美生はそれを避けると、美生は『ゲイボルグ』をアリスに向けて投げる。アリスはそれを防ぐと弾かれた反動で、中心部に来たカマキリ型のランサムウェアに突き刺さる。
「中々やるじゃない。危うくおでこに風穴ができるところだったわ」
「こっちこそ、その槍で串刺しにされるところだったよ」
2人は互いの武器を取りながら、次から次へと現れるウィルス達と戦う。多少辛くなってきたが、好戦的な2人にとっては、大したことではない。
「ねぇ? 向こうはどうなっているかな?」
「大丈夫でしょう? あいつはともかく、美羽がいるんだから大丈夫よ」
「そうだね。こっちも負けてられないよ!」
アリスは『ウィングユニット』から6基のピットを展開する。ピットから放たれるレーザーは、無慈悲にもウィルス達を貫通しては焼き尽くす。撃ち漏らしたウィルス達がアリスに襲いかかる。だが、アリスのピットによって、アリスに攻撃を仕掛ける前に消滅する。
美生も『ルーン・コード』を展開し、風に刃でウィルス達を斬り裂く。カマキリ型のランサムウェアが襲いかかるが、美生はコアに向けて『ゲイボルグ』を突き刺す。
「流石に、ちょっと多いんじゃない?」
「でも、退屈しない相手だよ」
『45口径のウェポン』を横に構えながら、ウィルスに向けて放つ。弾丸が貫通すると、他にウィルスも貫通して駆除する。
「美生ちゃんも使っている? こういう時に役に立つと思うけど?」
「生憎、そういうのは使わない主義なのよ」
「あら残念。そういう美学なら仕方ないか」
「えぇ、軽口言えるくらい余裕なら問題ないわね」
美生は『ゲイボルグ』を振いながらも、ウィルス達を駆除する。正直2人はもう数なんて数えていない。数える暇がないほどの数を駆除しているのだ。だが、2人にとっては戦えられればそれでいい。今『トロイの木馬』の破壊に行っている仲間のためなら、それでいいのだ。
「ねぇ? それそれ嗜好を変えない? 正直飽きてきたわ」
「そうだね。ワンパターンすぎて、飽きてきたよ」
美生は『ゲイボルグ』を地面に突き刺す。そして、地面に『ルーン・コード』を展開する。すると、ツギハギに作られた木の人形を展開する。
そして、吸い込まれるようにウィルスの大群が木の人形に入る。
「あはははは! 燃やし尽くしてあげる!」
美生は火の『ルーン・コード』を木の人形に付与する。
「『ルーン・コード』の秘儀を見せてあげる! 燃えよ! 『ウィッカー・マン』!」
木でできた巨大な人形、『ウィッカー・マン』によって、ウィルス達は消去されていく。しばらくすると、『ウィッカー・マン』を黒く焦げ、塵一つすらその場になくなった。
「意外とえげつないことをするね。人間相手なら、大変なことになりそうね」
「やるわけないでしょう? それに、あんまり使ってきてないから、少し疲れたわ」
美生は『ゲイボルグ』を肩に担ぎ、『トロイの木馬』の方に目を向ける。相変わらず、大量のウィルス達が現れる。すると、ウィルスの放出がさっきよりも遅く感じる。
「これって?」
「あの太極図、まさか」
2人が眺めていると、通信が入る。
『あ、あー。聞こえますか?』
「その声、翼なの?」
瀬戸内グループの社内で、『ブレイバー』となっていた早坂翼が、『トロイの木馬』に自身の陰陽印を付与する。それによって、木馬からウィルスが制御されていた。
『『ギリシア・コード【O】。『演算制御システム【タイキョクズ】』。』これで木馬から出るウィルスはしばらく出る数が抑えられますよ!』
「よし! これならまだ楽だね!」
「そうね! 翼、ありがとう。これで少しはマシになったわ!」
『まぁ、これも全知全能たる私だからできることです! ささ、早くやっちゃってください!』
翼は押し付けるように戦闘を続行させる。やれやれと思いながらも、先ほどより数が抑えられたウィルスの大群を相手に戦う。
「今度は私が見せる番かな?」
アリスは『イージス』と『アイギス』を左右に展開する。すると、『プラズマ。エネルギー』によって放出された磁力でウィルス達を拘束する。
「磁力に押し潰されなさい! 『Ξ・ブレス』!」
+軸と−軸が互いの向かい合って放たれる。そして、一瞬のうちに二つの盾がぶつかり、ウィルスの大群が一気に駆逐された。それを見ていた美生は、唖然としながら見ていた。
「相変わらずエグいわね」
「まぁ、こんなもんだよ。そろそろあっちも終わる頃かな?」
2人は上を見上げる。そこには草薙美羽が『正宗』で『トロイの木馬』を両断していた風景が広がった。
「いいところだけは持っていくんだから」っと呟きながら、木馬が消滅していく光景を見る。
「これで一件落着だね。それじゃ、私は軍艦に戻るよ」
「せっかく帰ってきたのに? ここに居ればいいでしょう?」
「入国処理がまだしていないんだよね。このまま戻ったら、不法入国でしょ?」
「それもそうね。2人にはよろしく伝えとくわ」
アリスは美生に手を振りながら、カンナギ港を後にする。
『美生さん、今いいですか?』
「翼? どうかしたの?」
翼はアリスが去った後に美生に相談する。
『『トロイの木馬』についてなんですが、やっぱり『商人X』が一枚噛んでいたみたいです。発信源から調べてわかったのです』
「やっぱりそうだったのね。そんな気がしていたけど、それは後にしましょう」
美生は翼のとの通信を切る。そして、美羽と香里奈を迎える。
こうして、カンナギ港を巡る熾烈な防衛戦は、美生とアリスによって死守されたことで幕を閉じたのだった。




