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サイバーブレイン〜人間とアバターが共存する世界で、アバターを持たない平凡な女子高生がAIとリンクしてブレイバーへと変身する〜  作者: nashlica
第1章 腐敗した資本主義編:前

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商人X

香里奈と美生と合流し、テロリスト達をその場に拘束する。ブリュンヒルデが用意した縄で彼らを縛っては、設置型ロボットの残骸に巻き付ける。


「さて、何から話してもらうかしら?」


 美生は『ゲイボルグ』の先端に電気を纏わせながら、刃先をテロリスト達に向ける。その隣で、香里奈は指の関節を鳴らしながら、眼光を赤く光らせる。


「返答次第では、テメェらのその面を凹ませれやってもいいだぞ?」


「ヒィー!」っとテロリスト達は香里奈の顔を見て恐怖する。私はそれを呆れながらも見届ける。


「やれやれ、尋問するもの結構だけど、ほどほどにね」

「わかってるわよ。でも、徹底的にやらせてもらうわよ」


 美生は乗る気全開でテロリストに『ゲイボルグ』を突きつける。テロリスト達は、その刃先を見て死を覚悟する。


「ぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」


『アーク・エネルギー』がテロリスト達に感電する。その影響で、テロリスト達の断末魔がカンナギ港に響き渡り。

 それを見ながら、私は後ろから静観していた。


 それからしばらくして、香里奈と美生の尋問に懲りたテロリスト達はついに口を開いた。いや、観念して履いたと言っていいだろう。

 ボロボロになりながら、テロリスト達は情報を私たちにはく。


「こ、こいつはダークウェブで買ったんだよ。日本政府の流出した設計図を元に、設置型の防衛用で造られた最新鋭のロボット兵器ってな」

「ダークウェブ……。まさか、こんなものまで売っていたの?」

「あぁ。ビットコインで数十万程度したが、こいつがいいものでよ。こいつは素人の俺でも簡単に設置できるものだ」

「そんなことできる奴なんて、いったい誰なの?」


 美生の質問に、テロリスト達はニヤけながら答える。


「そいつは確か『商人X』と言っていたぜ。なんでも、武器をブラックマーケットに売り捌いてる武器商人らしい。俺たちのトラックも、そいつから仕入れたんだ」

「『商人X』って『電脳世界(サイバーワールド)』の時にあれが言っていた奴のこと?」

「なんだ、知ってたのか? そいつはいい。奴はダークウェブ上のブラックマーケットで、100年前の武器から最新鋭の武器まで、なんでも仕入れてくれる俺らにとってはいい得意様だ。どこで仕入れているかは知らんが、どれも軍が正式採用しているレベルの代物ばかりだ」


 テロリストは自白する。どうやら、今回の一件で使用したものは、その『商人X』という人物から仕入れたもののようだ。

 テロリストの言葉に、美生はあることを思いつく。


「それって、『シルクロード』のことを言っているの?」

「シルクロード?」

「大昔のダークウェブにあったとされてる伝説のブラックマーケットだ。流出し(ながれ)たクレジットカードの情報からヤベェ薬まで、なんでも揃っている闇市だ。知ってる話だと、サーバー主がFBIに拘束されて封鎖されたと聞いたが、まさかこの時代にも似たようなのが実在していたとはな」

「その闇市で、『商人X』は密売をしているということなの?」

「そうだろうな。あのナノマシンだってそうだ。ブラックマーケットで仕入れたものだろう」


 香里奈が『暗黒階層(ダークウェブ)』で起きていることを話す。彼らが安易の武器やロボットを仕入れたのは、『暗黒階層(ダークウェブ)』を介して『商人X』との売買があったのだろう。

 その為のビットコインを集めるため、こいつらは別の場所でもテロ活動をしていたのだ。

 そう考えていると、遠くからパトカーのサイレンが聞こえる。


「もう来たみたいね。どうする? こいつらはそのまま突き出す?」

「それがいいわね。なら、私たちはここを後にしましょう」


 私たちはカンナギ港を後にする。それを見ていたテロリスト達は、解放するようにと叫ぶが、私たちはそれを無視して戻る。

 瀬戸内グループ本社のビルに戻ると、翼が人間の姿で出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ。今回もお疲れ様でした!」


 翼が香里奈の車椅子を用意しながら出迎える。テラスに着くと、私たちはそれぞれ『ライド』を解除した。

 倒れそうになる香里奈を抱えながら、そっと車椅子に乗せる。


「やっぱり不便ね。足が動かないのは」

「それそれリハビリでもする?」

「いや、それじゃ両親に失礼だわ。それにもう、手遅れだし」


 香里奈は意味深な言葉を吐く。車椅子のタブレットを操作すると、アマテラスが拾った情報を検索する。


「やはり情報がないわね。『表面階層(サーフィスウェブ)』では、向こうの情報は検索してもヒットしないわ」

「調べるツールを使えばいいけど、それだと半分は自殺行為だしね。何か手段がないか調べるよ」

「事態は面倒なことになったようね。でも、PC関係のことは美生に任せるしかないわ」

「そうね。私と美羽と翼は今回の件のまとめに入りましょう。美生はそのPCを使って『暗黒階層(ダークウェブ)』について調べてもらえるかしら?」


 香里奈は美生にPCを渡す。美生はすぐさまPCを使って『暗黒階層(ダークウェブ)』にアクセスを試みる。

 私たち3人は、今回のテロリストの騒動と『商人X』について調べる。


「『商人X』。彼の目的はなんなのかしら?」

「『暗黒階層(ダークウェブ)』でビットコインを用いての売買。それに流出した最新鋭の装備の設計図。これら全てに『商人X』が関与しているのなら、事態は厄介なことになるわ」

「敵はテロリストでもなければ、国でもない。『商人X』が何を企んでいるのか、そもそも『商人X』の目的はなんなのか、それを模索しなければ『商人X』を捕まえられないということね」

「そうね。彼の目的を探り、それを未遂で終わらせないと、面倒なことになるわ」


 私たちはそれぞれの『アバター』が保存した情報を共有しながら『商人X』について調べる。

 情報が膨大すぎて、日が暮れそうになるまで、私たちは『商人X』についての情報をまとめるだけまとめたのだった。

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