テロリストを追跡せよ:井崎美生視点
前の回の美生視点での回です。
美羽視点はこちら↓
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一方の井崎美生は、瀬戸内香里奈の住居フロアの一室でPCを数台開きながら操作を始める。先行して追跡に向かった2人に対して、美生は冷静であった。
PCの黒い画面を操作しながら、テロリストの動向を探る。3台の車が並行で走っている様だ。
美生はテロリストのトラックのGPSの位置情報をジャックし、彼らの進路を把握する。
「一台がこっちに来ているね。まずはこのトラックのイーサネットをハッキングして、他のを連鎖的に奪えばいいか」
タッピングのスピードを速めながらハッキングを行う。『ブレイバー』特有の脳の回転を生かしながら、ハッキングのための構築をPCに打ち込む。
「クーフーリン。あとどれぐらいでできそう?」
『推定で110秒よ。ハッキング後の奴は木馬でいいかしら?』
「それでお願い。2分弱なら、ほぼあっという間だね」
一心不乱にPCのキーボードをタッピングする。『ブレイバー』として前線に立たなくても、彼女は類まれなハッキング能力を有している。
ホワイトハッカーしても活動する彼女は、人の身でありながらも犯罪ハッカー相手なら容易く倒せる。それが起因で政府に雇われているのが現状だ。
日本政府のサイバーテロ対策にも一躍買い、近年日本のセキュリティが強化されているのは、美生の功績だろう。
「クーフーリン。あのレッテルをお願い」
『しょうがないわね。それが貼れれば完了するんでしょ?』
「うん。テロリスト達のPCサーバーは全て掌握したから、あとはあれを貼ればここからでもダイブできる。2人には悪いけど、一番乗りをさせてもらうよ」
忍ばせていたエナジードリンクを飲み、Enterキーを押す。クーフーリンもそれにつられる様に『μ』のレッテルをテロリストのPCに貼り付けた。
これにより、テロリスト達のPCの主導権は全て井崎美生の手に渡った。今頃彼らは突然のことに驚いている。
しかし、それは全部にやるのはリスクがある。美生は時間差で掌握するようプログラムしていたのだ。もちろん最初は瀬戸内グループに向かっているトラックからだ。
『ハッキングが完了したわ。私はいつでも行けるわ』
「OK。それじゃ、私たちも行こう!」
クーフーリンは美生のスマホに戻る。『ライド』する前に、美生は翼に声をかける。
「留守はお願いね」
「はい! 美生さんも暴れちゃってください!」
翼は美生に声をかけると、球体の中に戻る。そして、美生は自身のスマホに親指を触れる。
「行くよ! クーフーリン。『ライド・トゥ・ブレイバー』!」
数字の羅列が美生の体を包み込む。しばらくして、井崎美生はクーフーリンに『ライド』し、『M・クーフーリン』となった。
『M・クーフーリン』こと井崎美生は、腕を握りながら肩を回す。
「ふふ。やっぱりこっちの方が性に合うわね。あっちの作業は疲れるからしたくないんだけど」
『それはあなたの能力が悪いわね。さぁ、下準備は終わってるわ。そろそろ暴れましょうか』
「えぇ! 癪だけどあいつの社員を死なせるわけにはいかないわ!」
美生は自身のPCに向かってダイブする。すると、彼女の体がPCの画面に吸い込まれた。
無数の数式が現れるが、美生はその中を進む。井崎美生は光の先まで進んで行った。
一方、テロリスト達は、PCがハッキングされたことに気づき、慌てふためく。
「どうなってやがる! 全然操作が出来ねぇぞ!」
「このロゴ、まさかあいつか!?」
「間違えない、『μ』だ! くそ! 日本のサツに気づかれたのか!?」
テロリスト達は、PCがハッキングされ使えなくなったことに慌て始める。他の仲間との連携が取れなくなり、プランについての共有ができなくなったのだ。
彼らが慌てていると、PCの画面から黒いコートを身に纏った女性が現れる。テロリスト達は所持していたAK-47を構え始める。
「な、なんだテメェ!」
「ふぅ〜。あら、驚かせたかしら?」
「く、来るな! 化け物!」
テロリストの1人がAK-47を乱射する。美生はそれを避けるとテロリストに向かって拳で殴る。
もう1人がナイフで接近するが、美生はそれを簡単に避けると腕を掴んで投げ飛ばす。
「次は誰?」
美生は左手をクイクイっと挑発する。すると、テロリストがAK-47を構えるが、美生はAK-47を弾き飛ばしテロリストトラックの壁に突き飛ばす。
もう1人も美生に攻撃するが、美生は腕に関節技を決める。その痛みでテロリストはAK-47をその場に落とす。
「くそ! このアマが!」
テロリストが美生に拳を振るう。しかし、美生はそれを避けると脚でカウンターを決める。そして、トラックの壁に飛びかかりパルクールでテロリストをダウンさせる。
「くそ! こっちに来るな!」
運転手はハンドガンを向けるが、美生は弾き飛ばすと逆に突きつける。
「このまま運転しなさい。命までは取らないわ」
運転手は脅されながらも、ハンドルを握り続ける。美生はバックミラーの方を見ると、異常を察ししたトラックが後ろに張り付いていた。
美生はトラックのドアを開けると『ゲイボルグ』を構える。
「もう面倒くさいわね。一撃で終わらせてあげる!」
『ゲイボルグ』を投擲の構えで持つ。すると、青光る電気が『ゲイボルグ』を纏う。
「『ギリシア・コード【Ζ】。』手向けとして受け取りなさい!」
『アーク・エネルギー』を纏った『ゲイボルグ』をトラックに向かって放つ。
「『Ζ・ストライク』!」
『ゲイボルグ』を後方のトラックに向けて放つ。放たれた『ゲイボルグ』がトラックを貫通すると、トラックはその場でスリップした。
『ゲイボルグ』が美生の元に戻る。スリップしたトラックはその場で炎上する。美生は後ろを見ると、運転手はさっきの電気に触れたのか気絶してしまった。
「あちゃ〜」っと美生はトラックから飛び降りる。そして、トラックはフェンスの衝突した。
「まぁ、終われば結果オーライね」
美生はその場から離れ、空中に飛ぶ。もちろん草薙美羽と瀬戸内香里奈と合流するためだ。
美生は空を飛びながら、香里奈に通信を行うのだった。




