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サイバーブレイン〜人間とアバターが共存する世界で、アバターを持たない平凡な女子高生がAIとリンクしてブレイバーへと変身する〜  作者: nashlica
第1章 腐敗した資本主義編:前

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模擬戦

 美生と香里奈、そして私と2体1の模擬戦が始まる。アリスが考案した訓練には、『ウェポン』と『ギリシア・コード』の使用は禁じられているが、2人の希望によって、私は『γ』の力を使い、さらには『ウェポン』の『レギンレイヴ』を使っている。

 あちらは2人に対し、こっちは1人。ハンドしては充分ではある。


「さて、始めましょうか」

「えぇ。ハンデとは言え、いい鍛錬にはなりそうね」


 その言葉と共に、美生が私に接近する。すると、拳での一撃を振るう。しかし、私はそれを避けると今度は横から香里奈が攻撃する。

 見事なまでのコンビネーションを決めるが、私はそれを避ける。


「さすがだぜ。まさか死角からの攻撃を避けるなんてな」

「いえ、予測して避けただけよ」

「相変わらずの予測計算ね。でも、次は絶対に当てるんだから!」


 美生は全速力で接近する。彼女の速さは観測するのは難しいので、ある程度の位置を予測する。そうしないと、同程度の相手には敵わないのだ。


「見えた!」っと私はカウンターの構えをとる。すると、もう一つの反応、香里奈の攻撃予測を感知する。

 私は咄嗟に香里奈の攻撃を避けると、美生の拳を受け流し、彼女の腕を持って背負い投げをする。

 香里奈は追撃を加えるように蹴りを決める。そして、私は両手の甲で防ぐ。


「やるじゃねぇか。それでなきゃ、私らのリーダーは務まらないな!」

「2人もいい連携ね。片方を倒しても、阿吽の呼吸で攻めてきて油断ならないわ」


 香里奈の攻撃を防いでいると、背後から美生の攻撃が来る。私は香里奈の攻撃を防いでいた拳を解き、美生の攻撃を回避する。

 それを見ていた香里奈は、飛んできた美生の片足を掴むと、すぐさま美生を私の方向に投げる。

 息のあった連携に翻弄されるが、私は美生の接近を避ける。しかし、美生は着地と同時に私に向かって飛ぶ。

 さらには香里奈も、私に向かって拳を振るい、美生は背後から膝蹴りをする。

 瞬時に私は姿勢を片膝立ちに変え、2人の攻撃をなんとか防ぐ。


「さすがの美羽も、これは防ぐのは難しいみたいね」

「だが、かろうじて防げてるみたいだな」

「ここまでうまく連携できてるなんてね。いくら私でも、防げるかどうか怪しいものだわ」


 2人は体勢を戻す。そして、再び拳を構える。


「今度は私の番よ。さぁ、行くわよ!」


 私は走るスピードを早める。そして、体感にして1秒単位で美生の背後を捉える。


「え?」っと美生は驚いているが、咄嗟にガードする。しかし、私はラッシュを美生に決めると、美生は防御姿勢を崩す。

 再び私の背後に接近した香里奈を、回し蹴りで迎撃する。殴る蹴るのコンボで、香里奈の防御をあしらう。


「早ぇな! そこまで身につけてるとは思ってもなかったぜ」

「これもアリス仕込みかしらね。でも、まだこんなものじゃないわ!」


 ここで私は、ルールを破って『γ』の力を発動する。2体1なら、多少使ってもお咎めはないだろう。


「『γ・アクセル』!」


 さらにスピードを早める。すると、美生に向かって音速の如くラッシュを決める。


「速すぎ! こんなんじゃ防ぎれない!」


 防いでる腕に対して拳を決めると、美生はその反動で仮想空間のビルに飛ばされる。それを見た香里奈は渾身の拳を私に放つが、私はそれを安易に避ける。

 そして、瞬時に背後を取り、『レギンレイヴ』に溜めたエネルギーを放つ。香里奈は自身を守るように氷の盾を展開する。


「ここまでとはな。さすがだぜ」

「香里奈ったら言い出しっぺのくせに自分も使ってるじゃない」

「仕方ねぇだろ。一瞬死を感じたんだからよ」


 私と香里奈はお互いに『ギリシア・コード』の力を解除する。そして、上から気配を感じる。私はそれを避けると、『ゲイボルグ』を携えた美生が、空から急襲してきたようだ。


「やっぱり敵わないか。せっかく隙を捉えたのに」

「美生も中々だったわ。でも、殺気が強すぎるわ」

「まぁ、私は暗殺者(アサシン)ではないわ。誤魔化すことしかできないし」


 私たちは一段落する。『γ』の力を解き、いつもの姿に戻る。


「そういえば、美羽はなんでそんなに複数も持ってるのよ?」

「わからないわ。『ブレイバー』になってから、持っていたようなものだから、考えたこともないわ」

「アリスも言ってたぞ? お前、何かあるんじゃないのか?」

「それもそうかもね。でも、今はそれを知る時ではない気がするわ。まだわからないことだらけだし」


 私の反応を見て、2人はやれやれと私の方を見る。


「まぁ、あなたがそういうなら、今はいいわ」

「だな。本人が知らない以上、追求するのは億劫だな」


 私たちは地上に降りる。そして、仮想空間が解かれ、いつもの無機質は部屋へと戻る。


「お疲れ様です! 皆様の戦闘データを保存させてもらいますね!」

「えぇ、ありがとう。ならもう戻りましょうか」


 私たちは『ライド』を解き、元の姿に戻る。すると、同じく元の姿に戻った翼が、コーラを私たちに渡す。


「それにしても、激しい模擬戦でしたね。アリスさんがいたら、怒られてたかもしれません」

「このことはアリスに内密にね。翼、お風呂の方は?」

「今湧かしているところですよ。あと10分後には湧き上がります」


 香里奈は翼に風呂の事を言うと、私と美生の方を見る。


「2人も入って行かない? 汗でベタベタでしょう?」

「そうね。このままじゃ帰れないわ」


 私たちは風呂が湧くまでコーラを片手に話しながら待つ。

 10分後には風呂が沸き、私たちは翼に案内されるように浴場に向かうのだった。

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