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サイバーブレイン〜人間とアバターが共存する世界で、アバターを持たない平凡な女子高生がAIとリンクしてブレイバーへと変身する〜  作者: nashlica
第1章 腐敗した資本主義編:前

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訓練

 エレベーターで下の階におり、真っ白な空間に入る。明かりもない部屋にライトを照らすと、不気質な空間が広がった。

 私たちは部屋の中に入り、それぞれ準備運動を開始する。


「さぁ、準備は整ったかしら?」

「えぇ、いつでも行けるわよ」


 私が体をほぐしていると、香里奈は翼に合図する。香里奈の合図を見た翼は、デバイスに親指を触れる。


「それじゃ、行きますね。『タイコウボウ。【ライド・トゥ・ブレイバー】』!」


 デバイスから出る光に包まれ、翼は『ブレイバー』となる。


「それじゃ、準備ができた人から『ライド』してくださいね」


 翼の声に、私たちは自身の『アバター』と『ライド』する。『ライド』が終えると、それぞれ『ブレイバー』の姿となる。


「アリスの言うとおり、『装甲(アーマー)ユニット』を展開しなくても行けるわね」

「開放感があっていいわね。でも、実戦では使えそうにないのが欠点だわ」


 美生が体をほぐすように肩を回す。私はウィンドウを眺めると、機能がセーブされていることを確認する。

 香里奈はボクシングのように拳を構える。それを見た美生は、同じく拳を構える。


「まぁ、今はそれよりも訓練が先だ。拳を交えて互いの力量を確かめるのも悪くねぇな」

「いいわね。ボコられて泣いたりしても知らないわよ?」


 美生と香里奈は互いの拳を交える。『装甲(アーマー)ユニット』が無い分、2人は軽快に動きながら互いの拳をぶつける。

 私はそれを翼と共にデータ化した情報を眺めている。


「2人のデータは?」

「データとしては、かなりいい物です。お二人とも、実践は積んでますし、何より互いの弱いところを把握しているから、明確に攻撃が来るところを察知して防いでいます」

「さすがね。犬猿の仲になっているとはいえ、連携はかなり取れていると言うところかしら?」

「ですです。でも、アリスさんみたいな軍人さんと比べたら、物足りないと感じます。2人とも、普段は戦闘向きの人じゃないですしね」


 翼は2人の戦闘データを眺める。どうやら、『ブレイバー』と言えど、元の人間が逆となると厳しいものがあるらしい。

 それが故に、情報(ステータス)が良くても、元の人間性に影響されるのだ。


「なかなかやるじゃない? なら、これはどう!?」


 美生が渾身の拳を香里奈にぶつける。香里奈はそれを回避すると同時に、右足でキックをぶつける。

 瞬時に反応した美生は、右手で香里奈の足をガードした。


「なかなかやるじゃねぇか。まさか、今のカウンターを止めるなんてな」

「あなたこそ、よくこの距離で反応できたわね」


 2人は一度距離をとりながら、再び拳を交える。翼の能力で仮想空間が広がっているが、2人はお構なしに殴り続ける。

 汗が滴る中、お互いに疲れながらも、それでも尚拳を交える。

 美生は構えを止めると、香里奈にある提案をする。


「ねぇ、少し休憩しない? 少し疲れたわ」

「そうだな。体を休めるのも大事だからな」


 2人は訓練を終えると、私と翼の元に向かう。


「翼。私らのデータは取れたか?」

「充分です! 香里奈様と美生さんのデータは後で送信しますね!」

「それにしても、アリスの訓練はいいわね。こんな短時間に、ステータスが上昇しているわ」


 美生の言葉に、私は2人のステータスを確認する。どうやら、2人のステータスが上昇しているみたいだ。

 アリスの訓練はステータスの上昇にも役立ててるみたいだ。筋肉は嘘をつかないとはよく言うが、まさにこのことだろう。


「驚いたわ。ここまで上昇するとはね。さすが現役の軍人だわ」

「その分、体にかかる負荷は段違いだわ。私らはそもそも肉体派じゃないし」

「まぁ、実戦にも役に立つんだ。悪いことじゃねぇよ」


 2人は休みながら、ウィンドウを眺める。休憩が終わると、今度は私もフィールドに立つ。


「美羽。『γ』に力で来てくれよ」

「どうして? 『ギリシア・コード』の力は使わないんじゃないの?」

「いや、あなたとやるなら、あれがいいわね」


 溜め息をしながら、『γ』の力を発動する。


「『ギリシア・コード【γ】。モード:パニッシュメント』」


『γ』の力を発動し、モーターのついたグローブで手を動かす。すると、美生はある疑問を話し出す。


「そう言えば、それの名前まだなかったわね」

「いきなりどうしたの?」

「せっかくだから、それに名前をつけたらどう? それなら愛着も湧くだろうし」


 グローブを伸ばすと、拳を胸に当ててみる。


「そうね。それじゃ、『レギンレイヴ』なんてどうかしら?」

「いい名前じゃねぇか。それならもうこいつとは長い付き合いになりそうだな」

「えぇ。武器に名前をつけるのも悪くないわね」


 2人は満更でもない笑顔で私を見える。そして、2人は話を終えると拳を構える。


「さぁ、雑談はここまでにして、そろそろ始めようぜ?」

「ルールは美羽が私たちをノックアウトさせたら美羽の勝ち。逆に私たちが美羽をノックアウトしたら私たちの勝ち。それでいいわね?」

「シンプルでちょうどいいわ。それじゃ、始めましょうか」


 私たちは互いの拳を構える。2体1の模擬戦だが、2人は問題ないみたいだ。

 翼の仮想空間の中、2体1の模擬戦が幕を開けたのだった。

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