戦いのある日常
この回から第1章開幕です!
5月にしては暑い日々が続く。ゴールデンウィークが終わり、私は大型連休が終わった鬱屈とは無縁の体調で学校へと向かう。
彩葉とは校門の近くで別れ、学校へと向かう。その道中で美生と合流し、自分のクラスへと入る。
クラスメイト達は、大型連休が終わった事を嘆くような会話をする。私はカバンを下ろすと、授業用のタブレットを机に置く。
「ねぇ? 今日は寝たりしない?」
「しないわよ。多分」
『ブレイバー』になって数週間が経ち、私の生活は大きく変わった。脳の回転が早いせいか、教師が行う授業が退屈で仕方ないのだ。
説いている授業はどれも同じことに繰り返し。暇すぎてタッチペンを指で回し始めるくらいだ。
大型連休に入る前、テストで高得点をとり、クラスでちやほやされていた。でも、偏差値とかはどうでもいい私は軽く流したせいか、学力を重要視する者達からは腫れ物扱いされた。
別にどうでもいいから無視しているが、突っかかるもの多い。そんな連中が多いからか、授業が終わり昼休みに入ると、美生と屋上で昼食を摂ることが多い。
彩葉が作ったサンドイッチを食べながらスマホをいじると、戦争絡みの記事を見つける。
「最近妙に多いわね。何がしたいのやら」
「情報口の話だと、新型の兵器を投入しているらしいね。それも大国がこぞっと買い取ってるとか」
「香里奈も言ってたわね。誰がやってんのやら」
それぞれ食事をしながら、スマホにニュースを眺める。美生は食後に飴を咥えると、私にも飴を渡す。
「糖分の摂政はいいわね。常に回っている頭を落ち着かせるわ」
「私たちは人より脳の処理が早いからね。アリスみたいにガムシロップを飲んだ方がいいけど」
「そんなに糖分を多量に摂取できないわよ。コーラで充分よ」
「そうだね。甘いものでも好みがあるから仕方ないよ」
美生と私は他愛もない会話を続ける。スマホの時刻を見ると、5限目が始まる寸前までだった。
5限目も窓を眺めながら授業を過ごす。授業の退屈さには、我ながら怠慢だと感じてしまう。
授業が終わるとホームルームが始まる。そして、ホームルームが終わると一斉に帰る準備をする。
私と美生は、帰る準備をすると、スマホを眺める。表示されているチャットには、香里奈からのメッセージが来ていたようだ。
「今日も香里奈のところに行く?」
「そうね。体を動かさないと、いざという時にどうにもできないしね」
私と美生は瀬戸内グループの本社に向かう。ここからはバスを使わないといけない距離なので、バス停に向かう。
この時間帯は学生が多く、皆どこかで勉強なりバイトなりで家には向かわない者もいる。
私たちもその類だろう。美生と並んで立ち、カンナギ市の中心に向かう。バス停を降りると、そのままそびえ立つビルに向かう。
「お待ちしておりました。草薙様。社長がお待ちでおります」
「いつもありがとうございます。では、失礼します」
ゲートを抜け、エレベーターで上の階層へと向かう。エレベーターが止まると、翼が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました。香里奈様がお待ちです」
「いつもありがとう、翼。さてっと、香里奈はどこに?」
「あそこの部屋でお待ちしております。今は本を読んでるかもしれません」
自動ドアを抜け、大部屋に入る。大部屋へ入ると、ベッドで横になっている香里奈が、本を読みながらくつろいでいた。
「遅い。連絡してから35分かかったわね」
「仕方ないでしょ? ここは学校から距離があるわけだし」
呆れながら、ソファーに座る。美生は香里奈の車椅子を持ってくると、香里奈は車椅子に座る。備え付けられているタブレットを操作しながら、私の座るソファーに向かう。
「随分と凝ったものね。タブレットで操作しているなんて」
「特注品よ。カメラのセンサーで自動で進むものよ」
「私がお偉いさんに交渉したんだよ。つい最近できたばっかりだから、まだそれなりの不具合とかもあるしね」
「まだ段差とかには弱いわね。この間の会議で、躓いたわけだし」
2人は笑いながら、香里奈の乗っている車椅子について話し合う。『ブレイバー』の時とは違って、仲良しなのだが、どうしてこうも犬猿の仲になるのか、不思議なものだ。
翼が私のティーカップに紅茶を入れる。そして、卓上にアフタヌーンティーが置かれる。
「美羽。学校はどう?」
「どうもこうも、退屈で仕方ないわ。やってる授業も同じことの繰り返しだし」
「脳の回転が早いから仕方ないよ。まぁ、私もそれでホワイトハッカーの仕事やっているし」
PCを開きながら、操作する美生。どうやら、政府からの依頼が来ているが事情を言ってそれっきりらしい。
「今はただ、強くならないと。みんなに遅れるわけにはいかないし」
「そうね。アリスからもらった特訓のリストをやらないといけないわけだし。私たちにはやるべきことが多いわけだし」
「えぇ。香里奈、下の部屋の準備は?」
私が言うと、香里奈はわかったかのように準備をする。
「もう準備は出来てるわ。美羽がやりたい時にいつでもいいわ」
「そうね。でもまずは、お茶を嗜んでからにしましょうか」
私たちはそれぞれ紅茶を飲む。アフタヌーンティーはまだ始まったばかりだ。
紅茶を嗜みつつ、特訓をそっちのけで時間を過ごすのだった。
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