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事後処理

「モニカ先輩!! 大丈夫ですか!?」


 夜に悪魔が出現して、魔法遊戯研究室が破壊され、モニカ先輩も巻き込まれた。

 そうした話をミュリアから聞かされた俺は、朝イチで先輩がいる病室に来たんだけど……。


「え……」


「あっ」


 まさかの、着替え中だった。

 下着姿の先輩が、みるみる顔を赤らめていくのを目の当たりにして……俺は、慌てて扉を閉じる。


「ロロン……何してるの……?」


「いやごめん、本当にごめん、後で先輩にもちゃんと謝るから」


 ミュリアからの、視線だけで人を殺せそうな眼差しに射貫かれて、俺はダラダラと冷や汗を流す。


 本当に、悪気はなかったんだ。ただ先輩のことが心配で、気持ちが先行し過ぎたというか何というか。


 ……はい、ただの言い訳です、ごめんなさい。


「見たかったら……私が、いくらでも見せてあげるのに……!」


「いやダメだからな? それもダメだからな!?」


 いきなりとんでもないことを言い出すミュリアに、慌てて声を上げる。

 そんな俺の抗議も不満だとばかりに頬を膨らませるミュリアに、どうしたものかと戸惑っていると……ガチャリと、扉が開いた。


「えと、その……変なもの見せて、す、すみません、でした……」


「いえ、そういうわけじゃ!! 俺の不注意でした!! すみません!!」


 ひょっこりと制服姿で顔を覗かせたモニカ先輩に、勢いよく頭を下げる。

 その後も、すったもんだあって何とかお互い落ち着いたところで、俺達は改めて昨晩のことと、研究室の現状に関して医務室の中で話をすることに。


「あの悪魔は、そんなに強いやつじゃなかった……あんまり、強い自我も持ってなかったし、他に仲間がいるってことも、ないと思う……」


「そうか……なら、ひとまず安心かな?」


 悪魔の中には、ベルゼブブみたいに他の悪魔を生み出したり、呼び出したりで"群れ"を作る連中もいる。

 そういうのが相手だと、本体を潰すまでずっと悪魔とやり合わなきゃいけなくなるから大変なんだけど……違うのなら、大丈夫だろう。


「その……私、ほとんど、気絶していたので……よ、よく分からないんですが……ミュリアさんが、助けてくれたそうで……その、あ、ありがとうございます!!」


「問題ない……私にとっても、悪魔は敵だから」


 頭を下げるモニカ先輩に、ミュリアが首を横に振る。


 ぶっちゃけ、この勧誘期間中に悪魔が出るだろうっていうのは予想していたからな。

 むしろ、そこまで予想していながら襲撃を防げなかった、俺の落ち度であるとも言える。


 まあ……ルイスのいる魔法料理研究室じゃなく、モニカ先輩の魔法遊戯研究室が襲われるっていうのは、聞いてないんだけど。


 やっぱり、俺の知るアニメとは随分と展開が違うし、余計な情報を渡してルイスやミュリアを混乱させなかったのは正解だったか。


「ただ……部屋は、めちゃくちゃになっちゃった」


「うぅ……」


 ただ、悪魔の件が片付いたところで、その被害まで消えてなくなるわけじゃない。

 悪魔に憑りつかれたという男子生徒は今も昏睡状態だし、魔法遊戯研究室も無残に破壊されたままだ。


 被害については学園側に報告してあるけど、それでどうなるものでもないし。

 直したければ、自分達でどうにかするしかない。


「俺達も研究室の一員ですし、復旧は手伝いますよ。一緒に頑張りましょう」


「それは……ありがとう、ございます。でも……」


「? どうしたんですか?」


 何か問題でもあるのかと首を傾げる俺に、モニカ先輩はボソボソと話し始める。

 なんでも、一か月後に魔道具製作における春の品評会があるそうで、そこに参加するつもりだったのだそう。


「あの射的ゲームを、出そうと思っていたんですけど……製作に、半年かかって、まして……今から直しても、とても……」


 じわりと、モニカ先輩の目に涙が浮かぶ。

 よっぽど、その品評会に懸けていたんだろうな。


「諦めないでください、まだ時間はあります。今は俺達もいますし……仮に射的が無理でも、他に作れるものもあるでしょう。精一杯頑張りますから、一緒にやりましょう」


「うぅ……あ゛り゛か゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛ぅ~~」


「ははは……落ち着いてください」


 号泣するモニカ先輩を、俺は苦笑交じりに宥め始める。

 そんな俺に、ミュリアが話しかけて来た。


「でも……どうするの?」


「何を作るかは、ひとまず先輩に任せるとして……俺は、人手を集めてみようかなと」


「人手……?」


 俺も、そこまで知り合いは多くない。

 でも……知り合いが多そうな奴が一人、知り合いにいる。


「王子殿下に、助けを求めてみようかなって」

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