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夢現ドロップ  作者: 橘 雫


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11/12

破壊力抜群!

サクサク進むはずだったのに、変な所で停滞中です。

ほ、本当に売店に売ってましたよ、お赤飯!

上には胡麻塩が振ってあり、紅生姜まで添えられた立派なお赤飯です。

お弁当を持ってきていなかった何人かがその折り詰めを買いました。



何気に蓮さんもしっかりとお赤飯を買っていましたよ。

私はしっかりお弁当を持ってきていたので買いません。

お弁当を残すなんて勿体無いこと出来ませんからね。

母に張り倒されてしまいます。



その後、ぞろぞろとクラスの皆で向かった学生食堂はこれまたやっぱり別世界でした!!



「舞踏会でも開くんですか?」と聞きたくなるようなゴージャスさだったんです。

高い天井にキラキラと輝く豪華なシャンデリア、何人収容出来るのか分からない位の広さです。



何人掛けかも分からない大きなテーブルでは、たくさんの生徒達が男女織り混ぜあははうふふと楽しそうに食事しています。



そんな生徒達の間をトレーを持って優雅に泳ぐギャルソン……。



なんでお洒落なカフェでも無い学食でギャルソンが食事や飲み物を運んでいるのでしょうか!?

ここ、間違い無く学生食堂ですよね!?



……べ、別世界です。

私の住んでいた世界とここは実は別世界なんじゃないですか?

ううっ、余りのキラキラしい光景に目が潰れそうです。



お父さんお母さん、貴方達の娘は場違いな所にひょっこりと迷い込んでしまったようですよ……。



予想外の光景にぱかっと間抜けに口を開けている私を見て、蓮さんが微笑みを浮かべました。

その目が優し過ぎるように感じて死にそうに恥ずかしいです。



「こちらのテーブルが空いていますね」



蓮さんは空いてる席を見つけると、わざわざ椅子を引いて私を座らせてくれました。

椅子を引く姿が堂にいっていて、さすが執事さんという感じです。



持っていたお弁当をテーブルに置いて改めて辺りを見回していると、さっきまで楽しそうに食事していた周りの生徒の皆さんの視線がこちらの方に集中しているのに気が付きました。



わ、私、何かしましたかね!?

お弁当の包みが貧乏臭かったでしょうか?



「千夏さん、何か飲み物でも頼みましょうか?ここから選べますよ?」



「あ、ありがとうございます」



焦る私をよそに、蓮さんは私の隣に座ると周りの視線に気が付いていないのか気にしていないのか、テーブルにあったタブレットを手に取り私に笑顔で飲み物の有無を聞いてくれました。



その途端、一気に食堂内がざわつきました!

吃驚して何事かと周りの様子を伺うと──



「蓮様が一般席を使うなんて、どうされたのかしら?」



「宮緒様のお隣にいるのどこの御令嬢!?」



「蓮様が椅子を引いてさしあげていたわよ!?羨ましいっっ!」



──等と言う声が聞こえてきたのです!



れ、蓮様??宮緒様??



思わず隣の蓮さんを見てしまいましたが、蓮さんは周りの声など聞こえないとばかりに我関せずでタブレットを弄っています。



「あ〜、宮緒君がこっちの学食使うことって無かったから、皆驚いてるね〜」



「だね。普段は特別室か生徒会室で食べてるもんね」



「相変わらず女子の反応が凄いな〜」



同じテーブルに着いたクラスメイトの皆さんが苦笑しています。



え!?

やっぱり、このざわめきの原因は蓮さんで間違い無いんですよね?

蓮さんが余りにしれっとしているので、一瞬私の勘違いなのかと思ってしまいましたよ。



「騒がしくてすみません。これが嫌で普段はこちらの学食は使わないようにしていたんですが、今日はどうしても千夏さんとお昼御飯を食べてみたかったんです」



蓮さんが溜め息混じり、申し訳なさそうに言いました。

大きな身体がしょんぼりと小さくなった気がして可哀想になります!



「そ、そうだよな!今日は宮緒にとって特別な日なんだから、周りの事は気にしないで皆で楽しく昼飯食おうぜ!何てったって一生に一度のお祝いなんだからさ!」



「……鈴木くん、ありがとうございます」



落ち込んだ蓮さんを鈴木くん?が慰めていました。

それに嬉しそうに返事をする蓮さん。



それにしても、やっぱり蓮さんは人気があるんですね!

様を付けて呼ばれるなんて、アイドルか韓流スターみたいです。

まさか、学校で様付きで呼ばれている人に遭遇するとは思いませんでしたけど、蓮さんの格好良さなら納得ですよね!



ふむふむと感心していると、蓮さんとは反対隣に座った近藤さんが風呂敷に包まれたお弁当箱をテーブルにどーんと置いて話掛けてきました。

あ、あれ?やけに包みが大きくありませんか?



「びっくりしたでしょう?同じ生徒同士なのに、様を付けたりとか不思議よね。私達はもうこの感じに慣れちゃってるけど、始めてだとこのノリは普通に驚くわよね」



「は、はい。で、でも、蓮さん格好良いから様を付けたくなる気持ちも分からなくは無かったり、です」



蓮さんの様付けにも驚きましたが、私は近藤さんのお弁当にこそ驚いたんですけど!?



風呂敷を開くと現れたのはとても立派な二段重ねの黒塗りのお重。

蓋を開けるとバランスの良い和洋折衷のおかずとご飯が色とりどりにびっちりと詰まっていて、二~三人前位ありそうです。

その一見おせち料理みたいなお弁当を見ても皆さんに驚いている様子は無いので、いつもお昼にはこれ位食べているんですね。

近藤さんはとても健啖家さんの様です。

もりもり食べる女性って素敵ですよね!



「千夏さん、私が格好良いって本当ですか?」



「へ?」



近藤さんのお弁当に目が釘付けだった私は蓮さんに声を掛けられ、思わず間抜けな声を出してしまいました。

……蓮さん、てっきり鈴木くんと話していると思っていたら、しっかりと私達の会話を聞いていたんですね。



「嬉しいです。千夏さんにそんな風に思われてたなんて!」



蓮さんの頬がうっすら赤くなっていて、私までつられて赤くなりそうです!



「良かったな〜宮緒。一方通行じゃなくて脈有りそうじゃん?」



鈴木くんが蓮さんの背中を叩いて自分の事のように喜んでいます。



「そうなら嬉しいんですけど……」



恥ずかしそうに微笑む蓮さんとか、破壊力有りすぎです!

どうやら私はギャップに弱いようです!!

今日初めて気が付きました!

ほっそりした女性がもりもり食べる姿や、外見がキリッとした武士のようなイケメンがはにかむとかのギャップにヤられそうですよ!



私は恥ずかしさを誤魔化すように、お弁当箱の包みをいそいそと開けるのでした。






そ、そろそろ先に進みたいです!

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