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第十七章 四つの王座の継承者

第五の王座が目覚めたことで、王立学院に新たな継承者たちが集まり始める。


カエルの前に現れたのは、紅蓮の王座に選ばれたレオンハルトだった。


二人は激しい戦いを繰り広げるが、レオンハルトはカエルが第五の継承者として相応しい存在だと認める。


しかし、その直後、蒼の王座、紫電の王座、そして白銀の王座の継承者たちも姿を現す。


四つの王座が動き始めたその時、王都の地下に眠っていた古代の封印にも異変が起こる。


第五の王座を巡る本当の戦いが、ついに始まろうとしていた。

王立学院の北門。

夜空を覆っていた赤い光が、ゆっくりと大地へ降りてきていた。

カエルは剣を握りしめ、その光を静かに見つめている。

隣ではミラが警戒しながら魔力を集中させていた。

そして、少し離れた場所にはアリアが立っている。

彼女の周囲には冷たい青い魔力が漂っていた。

やがて――

ドォォォン!!

赤い光が地面へ落下した。

爆風が周囲へ広がり、学院の旗が激しく揺れる。

煙が晴れる。

その中心に、一人の青年が立っていた。

赤い鎧。

燃えるような赤い髪。

そして、その頭上には小さな炎の王冠が浮かんでいる。

青年はゆっくりと顔を上げた。

赤い瞳がカエルを捉える。

「お前が……第五の継承者か。」

カエルは一歩前へ出る。

「そうだ。」

青年は笑った。

「俺はレオンハルト。」

「紅蓮の王座に選ばれた者だ。」

その言葉を聞いた瞬間、周囲の騎士たちがざわめいた。

「紅蓮の王座……。」

「本当に存在していたのか?」

レオンハルトは周囲を気にすることなく、カエルだけを見つめている。

「第五の王座が目覚めた。」

「ならば、俺たち四人も動かなければならない。」

カエルは眉をひそめる。

「四人全員が僕を狙っているのか?」

レオンハルトは首を横に振った。

「違う。」

「俺は、お前を殺しに来たわけじゃない。」

カエルは少し驚く。

「じゃあ、何のために?」

レオンハルトは炎の王冠へ手を伸ばす。

炎がさらに強くなる。

「確かめに来た。」

「お前が、本当に第五の王座を継ぐ資格を持っているのかをな。」

その瞬間――

レオンハルトの身体から凄まじい魔力が放たれた。

ゴォォォォッ!!

熱風が学院全体を包み込む。

何人もの騎士が思わず後退した。

ミラも目を細める。

「この魔力……。」

アリアが静かに答える。

「紅蓮の王座の力。」

カエルは剣を構える。

「つまり……戦うってことか。」

レオンハルトは笑った。

「その通りだ。」

炎が彼の剣へ集まり始める。

「お前が第五の継承者に相応しいのなら――」

「この一撃を受け止めてみろ。」

カエルの周囲にも魔力が集まる。

風。

大地。

炎。

そして――

雷。

白い稲妻が夜空を照らした。

「いいよ。」

カエルは静かに答える。

「僕も、簡単に負けるつもりはない。」

二人の魔力が激しくぶつかり合う。

学院の生徒たちは息を止めて見つめていた。

そして次の瞬間――

ドォォォォン!!

紅蓮の炎と白い雷が、正面から激突した。

王立学院を揺るがす、最初の王座同士の戦いが始まった。

紅蓮の炎と白い雷が激しく衝突した。

ドォォォォン!!

衝撃波が北門全体へ広がる。

カエルは地面を滑りながら、なんとか体勢を立て直した。

向かい側では、レオンハルトが炎の剣を構えている。

その表情には、先ほどまでの余裕が消えていた。

「……なるほど。」

レオンハルトは小さく笑う。

「噂以上だな。」

カエルは剣を握り直す。

「まだ終わってない。」

次の瞬間――

レオンハルトが消えた。

シュンッ!

「速い!」

カエルが反応した瞬間、目の前に炎の剣が迫る。

ガキィン!!

カエルは間一髪で受け止めた。

しかし――

炎の勢いに押され、身体が後ろへ吹き飛ばされる。

「ぐっ……!」

カエルは地面を蹴り、空中で体勢を整える。

そのまま風魔法を使って速度を上げた。

ビュンッ!

一瞬でレオンハルトの背後へ回る。

「そこだ!」

雷をまとった剣を振り下ろす。

しかし、レオンハルトは振り返ることなく炎の壁を作った。

ゴォォォッ!

カエルの剣が炎の壁に触れる。

熱気が一気に押し寄せる。

「熱い……!」

カエルはすぐに後退した。

レオンハルトは振り返る。

「雷だけじゃないのか。」

「複数の属性を同時に使えるとはな。」

カエルは答えない。

その代わり、大地へ魔力を流した。

ゴゴゴゴ……。

地面から巨大な岩の柱がいくつも現れる。

レオンハルトは驚きながらも笑った。

「面白い!」

炎の剣を振る。

一撃で岩の柱が砕け散った。

しかし――

その隙を狙って、カエルが接近する。

「今だ!」

雷が剣へ集中する。

バチィィッ!!

レオンハルトが防御する。

二人の剣が再びぶつかった。

ガキィン!!

今度は互いに一歩も退かなかった。

レオンハルトが低い声で尋ねる。

「なぜ戦う?」

カエルは即答した。

「守りたい人がいるから。」

「それだけ?」

「それだけで十分だ。」

レオンハルトは一瞬黙った。

そして――

笑った。

「そうか。」

「なら、最後まで立っていろ!」

炎の王冠が激しく輝く。

レオンハルトの周囲に巨大な炎が渦巻き始める。

ミラの表情が変わった。

「カエル!」

「それは避けて!」

アリアも冷静な声で叫ぶ。

「紅蓮の王座の固有技よ!」

レオンハルトが剣を空へ掲げる。

「紅蓮王座奥義――」

炎が巨大な獅子の姿へ変わっていく。

「炎獅子・天墜!!」

巨大な炎の獅子がカエルへ向かって突進する。

カエルは逃げなかった。

剣を両手で握る。

風。

大地。

炎。

そして雷。

四つの属性が一つに重なっていく。

「僕も……!」

雷がさらに強くなる。

「この力を――」

カエルは地面を強く踏み込んだ。

「使いこなしてみせる!」

ドォォォォン!!

白い雷と紅蓮の炎が正面から激突する。

北門が眩しい光に包まれた。

そして――

その光の中で、カエルの右手に刻まれた第五の紋章が、再び輝き始めた。

レオンハルトの表情が凍る。

「……第五の王座が、戦いに反応している?」

アリアも驚いていた。

「そんな……。」

光が徐々に消えていく。

その中心に立っていたのは――

まだ剣を握っているカエルだった。

しかし、その目は以前とは違っていた。

黒い紋章の周囲に、薄い金色の光が浮かんでいる。

レオンハルトは静かに剣を下ろした。

そして笑った。

「分かった。」

「お前には資格がある。」

カエルは驚く。

「戦いは……終わり?」

「ああ。」

レオンハルトは炎の剣を消した。

「俺はもう、お前と戦う理由がない。」

しかし、その直後――

学院の鐘が鳴り響いた。

ゴォォォン!!

アリアが空を見上げる。

「……これは?」

遠くの空に、赤とは違う巨大な光が現れていた。

紫色。

レオンハルトの表情が変わる。

「まさか……。」

アリアが静かに呟く。

「紫の王座が動き始めた。」

カエルは剣を握り直した。

新たな継承者が、こちらへ向かっていた。


紫色の光が、夜空をゆっくりと染めていく。


王立学院にいた全員が、空を見上げていた。


その光から感じられる魔力は、レオンハルトの炎とはまったく違っていた。


冷たい。


静かで――不気味だった。


アリアが小さく呟く。


「紫の王座……。」


レオンハルトは剣を握り直した。


「俺が知っている限り、紫の王座の継承者は一人だけだ。」


カエルが尋ねる。


「誰なんだ?」


その瞬間――


ズドォォォン!!


学院から少し離れた場所に、紫色の光が落下した。


地面が大きく揺れる。


カエルたちはすぐに北門を離れ、光が落ちた場所へ向かった。


そこには巨大なクレーターができていた。


その中心に、一人の少女が立っている。


長い紫色の髪。


黒い服。


そして、彼女の背後には紫色の魔力で作られた巨大な翼が浮かんでいた。


少女はゆっくりと顔を上げる。


紫色の瞳がカエルを捉えた。


「……第五の継承者。」


カエルは剣を構える。


「君は誰?」


少女はしばらくカエルを見つめた。


そして静かに答える。


「私はセレナ。」


「紫電の王座に選ばれた者。」


レオンハルトが前へ出る。


「セレナ。」


「久しぶりだな。」


セレナはレオンハルトを見る。


「あなたも来ていたのね。」


「なら話は早い。」


彼女の視線が再びカエルへ戻る。


「私はあなたに質問がある。」


カエルは警戒しながら答えた。


「何?」


「第五の王座を手に入れた後……あなたは何をするつもり?」


カエルは少し考える。


そして答えた。


「まだ分からない。」


セレナの表情がわずかに変わる。


「……分からない?」


「うん。」


「でも、誰かを支配するために使うつもりはない。」


セレナは黙っている。


やがて、彼女は小さく笑った。


「その答えなら……今は敵になる必要はなさそうね。」


カエルは驚いた。


「戦わないの?」


「必要がない。」


セレナは空を見上げる。


「それよりも、もっと重要な問題がある。」


「何?」


彼女は真剣な表情で言った。


「第四の王座が、すでに目覚めている。」


アリアが息を呑む。


「白の王座……?」


セレナは頷いた。


「ええ。」


「そして、その継承者は――」


その瞬間。


空から巨大な白い光が降りてきた。


ドォォォォン!!


強烈な光が学院全体を包み込む。


カエルは目を細める。


光の中心から、一人の少年が歩いてくる。


白い服。


銀色の髪。


穏やかな表情。


しかし、その身体から放たれる魔力は凄まじかった。


レオンハルトが険しい顔になる。


「まさか……。」


少年はカエルの前で立ち止まった。


そして静かに頭を下げる。


「初めまして。」


「僕はエリオス。」


「白銀の王座に選ばれた者です。」


四人の視線が交差する。


第五の継承者。


紅蓮の継承者。


蒼の継承者。


紫電の継承者。


そして――


白銀の継承者。


四つの王座が、ついに動き始めた。


エリオスはカエルを見つめる。


「僕たちは、あなたと戦うために来たわけではありません。」


「では、何のために?」


カエルが尋ねる。


エリオスは空を見上げた。


「第五の王座が目覚めたことで、古代の封印が一つ壊れました。」


「そして――」


彼の表情が初めて険しくなる。


「封印されていた存在が、こちらの世界へ戻ろうとしています。」


その瞬間――


大地の奥から、巨大な音が響いた。


ドクン。


全員が動きを止める。


ドクン……。


もう一度。


今度は王立学院全体が揺れた。


カエルの右手の紋章が激しく輝く。


守護者の声が、彼の頭の中へ響いた。


『第五の継承者よ……。』


『ついに、最初の敵が目覚めた。』


カエルは拳を握りしめる。


「最初の敵……?」


その直後――


王都の遠く離れた場所で、巨大な黒い塔が地面から姿を現した。


空が暗く染まる。


そして塔の頂上から、巨大な黒い魔力が噴き上がった。


セレナが小さく呟く。


「……始まった。」


レオンハルトは炎の剣を構える。


アリアも魔力を解放する。


エリオスは静かにカエルを見る。


「これからが、本当の戦いです。」


カエルは空を見上げる。


そして、ゆっくりと剣を握り直した。


「なら……行こう。」


五つの王座を巡る物語は、新たな段階へ進もうとしていた。


第十七章・完

あとがき


読者の皆様へ。


ここ数日間、章の更新ができず、本当に申し訳ありませんでした。


楽しみに待ってくださっていた読者の皆様には、ご心配やご迷惑をおかけしてしまったと思います。


それでも作品を読んでくださり、応援してくださっていることに心から感謝しています。


これからもできるだけ定期的に更新できるよう頑張りますので、これからも『Shadow of the Four Thrones』をよろしくお願いいたします。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

ここまで第十七章を読んでいただき、本当にありがとうございます!


今回は、ついに四つの王座の継承者たちが登場しました。


それぞれがどのような力を持っているのか、そしてカエルと今後どのような関係になっていくのか、ぜひ楽しみにしていてください。


また、ここ数日間、章の更新ができず、読者の皆様をお待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。


それでも作品を読んでくださり、応援してくださっている皆様には心から感謝しています。


これからもできるだけ定期的に更新できるよう頑張りますので、これからも『Shadow of the Four Thrones』をよろしくお願いいたします。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

次の章でお会いしましょう!

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