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第一部   第一章    He

 今回出てくるアーマスとペンスなんですが、どこから取った名前かがどうも思い出せず。はて…? 因みに、アーマスの方のフルネームはかなり後に出す予定です。もうすでに決まっているんですが…。(伏せる意味は特に無いです。)


 デキの良い兄は学院内の大人達から信用されていた。よく、そのような者は、周りの子供達からは軽蔑の目で見られることが多いのだが、彼は違った。寧ろ、圧倒的な人望がある少年なのであった。彼を嫌う方が嫌われ者となりそうなくらいで、だが、彼はそのことへの擁護も当然のように、何ら不自然なことなくこなす、そこまでの者なのであった。


 そんな彼、アーマスが、校内の扉に近い場所で槍術の訓練をしていた時のことであった。大きく分けて -かなり大きな分類- 二つの槍術を彼は学んでいたのだが、その日は、彼が小さい頃から学んできた方の槍術の訓練をしていた。小さいが、喉から力強く押し出すような声を出して槍を振っていた。槍は刃を含めて木でできたものを手にしていた。太陽の光がありがたい冬の日のことであった。一旦、槍を持つ手を引くと、アーマスは決して短くないその槍を回転させ始めた。左手が徐々に上がっていき、目線もそれに連れて高くなっていった。少しして、その陽の光が彼に邪魔をし始めたところで、何やら白いものが落ちてくるのを、アーマスは見た。彼は咄嗟の反応で槍の柄に近い部分を使ってそれを払い落とした。その日乾燥していたキィーバの空気は非常に良い音を出した。見ると、それはただの「パペル -紙ノート- 」の束であった。束といっても五・六枚を布帯で巻いた物なのであったが。


 「相変わらず練習熱心だね。」振り返ると、そこには槍術部顧問の

ペンス=リード=グレウが居た。「そのパペルは君の物かい?」


 「いいえ。扉の向こうから落ちてきました。」それを聞いて、グレウは軽く一笑した。


 「授業が終わって暇なチビッ子達がまた挑戦してるんだなあ。フッフッフッ…。」笑っているグレウを見て、アーマスは首を傾げた。「ここは俺でも飛び越える自信がないっていうのにな。」そう言った先生に、アーマスは率直な返答をした。


 「先生がそんな事しちゃ駄目ですよ。」すると、グレウは声を出して笑い出した。


 「・・・ハッハッハッ、そういう意味じゃないよ。ちょっと、来てくれ。」彼は手招きをしてアーマスを呼んだ。アーマスは槍を地面に置いてから先生の方へと行った。グレウは膝を曲げて少年の背に合わせる姿勢になった。そして、近づいてきたアーマスに彼は内緒話の音量で以って話し出した。


 「君にだけの特別な話だぞ、いいか? この扉なんだけどな、いや、これだけじゃなく三つの学院それぞれを囲む槍壁もそうなんだけどな、」


 「槍壁」とは、生徒達の間で使っている言い方なのだが、小・高・上級の各学院を囲む壁の上にある、高さが平均十メートルほどの不均一な大きさの金属棒群を指した単語なのである。各金属棒は間に微妙な隙間を作っているのだが、数メートルでも離れたところからそれらを見ると、何故か、一つの大きな仕切りのように見えるのだった。更に、棒の天辺には小さな刃が取り付けられていた。子供達にはそれが、槍のような棒がたくさん集まって壁をつくっている、と見えるので「槍壁」という名前が付いた、なんて話があるが、アーマスは、ソイソーと同じくらいの時から、すでにその話は信じていなかった。その時に、「別に名前はあるんですか?」と聞いたことがあったのだが、その答えは「聞いたことないな。」だった。


 「上に風が出てるのは知ってるよな。あの風、実は、出続けてるんだよ。あれが止まっている時間っていうのはないんだ。」

 「えっ、本当ですか?」合わせてアーマスも小声で答えた。


 「しかもな、」更に少しだけグレウは音量を下げた。「この風、上空五十メートルまで吹いてるんだよ。」


 「ウソ!」ソイソーがこの事を兄から聞き出した時、それは兄に対して尊敬の念を抱き始めている時期であった。アーマスの弟は、下で料理を作っている母親の「大きい声を出さないの!」という声が聞こえてきそうなくらいの反応をした。ソイソーは得た情報をしっかりと活かしていた。一番最近拾った情報は雨だった昨日活かしたばかりなのだが、もちろん、このとき得た情報は次の日から活かされることになった。当時、この腕白少年も『扉を飛び越え隊』の内の一人であった為である。ソイソーは兄に、少々わざとらしい感じの格好になりながらも、深々と感謝の意を示した。そんな弟を見て兄は、やれやれ、と感じるのだが、顔には常に楽しげな表情が出ているのであった。


 自分は二人兄弟の上です。時々、姉が居たらよかったなあ、と思うことがあります。

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