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第一部   第二章    Ho

 今回は、テリーが引き返した始めた地点まで到達します。第一関門ですね。

 ガサガサ…ガサガサ…。


 後ろに居るショー=サナエの動きが活発になっていた。やっぱり可哀想だったかな、と少年は俄かに思い始めながら、それでも、しばらく歩き続けた。ガサガサ…。少年は一度立ち止まって振り返ってみた。すると、そこにあるはずの真っ白な後頭部はその姿を消していた。


 「あれ、サナエ?」声も小さかったので反応は無かった。どうやら、全体がリュックの中に入り込んでしまったようだった。ガサガサ、という音に緊迫感は無く、しかし、それはこの狭くて小さな路の中で大きな存在感を出していた。


 「大丈夫か? 外に出してあげようか?」少し響くぐらいにソイソーは声を出した。

 「…サーナエー…。」声の感じは落ち着いているように聞こえた。「ふーん…。」ソイソーはそのまま前へと歩き出した。そして、すぐに、曲がり路は終わりを迎えた。


 魔法蝋の炎が大きく揺れ始めた。真っ直ぐなだけの路は長く続かなかった。それは、少年の歩く調子が速くても、普段どおりでも変わらないことであった。ソイソーの目の前には突然、開けた空間が現れたのだった。少年は走らずに、このままの速度で進んでいった。流れる冷気に乗って一つの声が聞こえてきたからだった。「魔導師様でも…ないと…」だが、ソイソーの気持ちは高ぶっていた。


 「(ここから先には、きっと大きな謎があるに違いない。それはきっと、ごちゃごちゃで、あっちからこっちで、ぐるぐるもやもやとしたものなんだろうな。…何言ってるかよく分からなくなった。とにかく、その謎の奥にはきっと…。)」道幅が僅かずつ広がってきた。それに伴って、天井も高くなっていった。ソイソーは耳に付いたゴミを手で払うような仕草をして、最初の広間に足を入れた。


 「え? ……どれだろう?」


 目の前には、三つの通路があった。広間の通路は四本あった。ソイソーは、先に進むには三つの内から一つ選ばないといけない、と思った。まず、来た路と反対側、少年の正面に一つあった。そして、その両側に、左の方は左に、右の方は同じく右に、それぞれ緩やかに曲がった通路が存在していた。真ん中の通路は先に通ってきた通路と同じような幅、高さであった。右の通路は真ん中の路と比べると子供一人分広い幅があった。天井もぐんと高くなっていて、少年が手を伸ばして跳んでも全く届かないくらいのものであった。ソイソーは左の通路も見たが、すぐに、そちらの方は見ないようにした。一番進み易そうな通路は右の所であった。


 「うーん…。」少年の顔は右を向いていた。冷気の流れはどこも一様にあるように感じられた。ただ、ソイソーは左頬に僅かだが強いものを感じて、目の先の方には何かが見えていた。曖昧にそちらの方へ炎を向けていなかったので、黒い何かとしか、ソイソーの目には映らなかった。「うーん…、」ソイソーは頭に手を当てて、小さく唸った。次の瞬間、


 「あ!」そのソイソーの声と共に、目の前の通路は姿を消してしまった。魔法蝋の炎は、まるで大風を受けたように一度大きく揺れ動き、その力は霧のように消えてしまった。夜より暗くなったよ、少年は直感的にそう感じた。視界は黒いものだけを映していた。周りの全てが黒いものと化していた。右左や前後が分からなくなっていた。少年は魔法蝋の持った右手をリュックの口に伸ばしていった。だが、すぐに気付いて、体勢を僅かに崩しながらその手を元に戻した。「炎が…、」ソイソーは、ショー=サナエも同じ状況になっているだろうとは思わずに、とにかく明かり欲しさで口を開けた。


 「サナエ、火打ち道具。」しかし、出てきた声の調子は少年自身が思っていたものとは全く違った、冷静なものであった。ソイソーはまず、そのことに少し驚いた。だが、それよりも、ショー=サナエからの応答は無しであった。少し前まで、あれだけ、ガサガサ、と動いていたショー=サナエが、身動き一つせずにシーンとなっていた。少年は、ショー=サナエが暗闇に驚いて気絶してしまったのだと思った。ソイソーは、左手でリュックの底を軽く叩いてみた。硬いものに当たったようで、痛くはなかったが、コンコン、というはっきりとした音がしただけだった。


 「仕方ない。」ソイソーはリュックを置いて、自分で火打ち道具を取ろうとした。リュックが地面に触れて重さでその形が少し崩れ、紐が解かれて垂れ下がり、ソイソーはその口を徐に開けた。その時だった。


 「え? ……何だ、この明かりは?」

 今年も、どうぞよろしくお願い致します。

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