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第一部   第一章    Ra

 お城見学ツアーのお知らせ

 今回はシュゴの塔の一部を特別に見て廻ることができます。十二階からのパノラマ展望は感動必至で、お城大好きなお子様と一緒に訪れたり、または、恋人とのデートにも是非どうぞ。皆様からのお申し込みをお待ちしております。      -キィーバトラベル・十月のパンフレット、より抜粋-

 それから、ものの数分で馬車の奥から四分の三は樽で埋め尽くされていった。


 「では、お願いします。」という声の後、キィーバ城下町の西門を預かる兵士がその門に備え付けてある紐を力強く下に引いた。すると、上空に一発、ヒュー…、という音が舞い上がった。そして、その音が聞こえなくなりそうになったところで、上空に一つの輝きが発生した。直後、響きの感じないドンという音が辺りに鳴った。上空の輝きはまだ続いていて、そこには青紫色の煙も見え出していた。その煙の立ち込める場所から五キロメートル東北東には、その合図を見下ろすことのできる高さの塔が立っていた。今、そこに居る西南西担当の兵が、「確認しました。」という声と同時に手元のパペルに時間を書き、更に、煙の種別と思わせる記号を書き入れていった。


 「了解。応答弾、発射します。」


 西門では閃光弾を打ち上げてから十数秒後、塔から放たれた二回の光を確認した。光を目視した門兵はその後、そこから出る者達、または、その向こうから来る者達をただ見送るだけであった。当然、資格の無い者には詰め所への誘いがある訳なのだが。


 「では、お気をつけて。」まるでその声が本当の合図であったかのように、キィーバの西にそびえ立つ巨大な守護神達が動き出した。


 ギギギ…。


 手綱が動いて、二頭の馬の歩みも始まった。少年はまた妙な寒気を覚えた。音自体は耳障りなものではなかったが、何故か、辺りを見廻したくなる気分にさせるものであった。


 近くにある建物よりも大きいこの巨大門から緑が見え始めた。


 グゴーー……ゴーー……。


 僅かずつ正面に緑の風が映り始めた。手綱を握っている業者(少年に利用された方ではない者)が、「ハッ」という声と共に両方の馬に軽く鞭を入れた。その強さは、触れただけというくらいに優しいもので音もごく小さいものだったのだが、この馬が良く訓練されているからなのだろうか、馬達は一切の鳴声もなく徐々に速度を上げていった。荷物に揺れを与えない程度の加速で、乗ってる少年も気持ちがよかった。


 オォーーン……。


 次回、一章最後です。

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