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第一部   第一章    Re

 キィーバ風便 九月×八日 二面

 鉱山省のゴルベ=トルーニャ大臣は×七日の会見で、×二日にセントシールドの山道で大規模なキィーバ鋼の鉱床を発見したと、発表した。六ヶ月前に同場所で死者二十一名を出した大落盤事故以来、初めて確認された鉱床となる。

 本来なら陽の昇ってすぐの明るくなり始める時間であった。しかし、この日は、まだ普段よりも少し暗いキィーバなのであった。その中でただ一人の青年があちこちの家を廻っていた。目線は水平から上を向くことがほとんどなかった。肩から鞄を下げて、まくってある長袖の服と膝より少し上までの長さのズボンという格好で、その者は走っては停まり、素早く手を動かしてすぐに走り出し、停まっては手を、という動作を繰り返していた。


 「最後に将軍の家…っと。…よし、終わり。しかし、もっと大きな家に住めるはずなのに。将軍は、ただの将軍じゃなくて天下の第一将軍様なんだからなあ…って、あれ? 珍しいな、休日のこの時間に将軍が起きているなんて。」


 「やあ、おはよう。いつもごくろうさん。」


 「どうも、おはようございます、将軍。それにしても、今日は確かお休みの日では?」

 「いやいや、本来、国や城の為に剣を持つ者達に決まった休日などないんだよ。しかし、私はこういう立場の者だから、町で働く皆さん、と言っても君達は今日も働いているが、彼らと同じ日に休みを貰っているだけだ。もし、何かあれば、当然休みは返上だ。」


 「そろそろなんですか?」


 「ん? ほう、流石に記者に為りたいというだけのことはあるんだな。だが、安心していい。まだ二流誌が騒ぎ立てるようなことは何も起こらん。という訳だから、今日は別件だ。」

 「本当ですか?」


 「もっと色々と取材をすれば分かるぞ。」


 そう言うと、将軍は新聞を手に取って家の方へ向かっていった。青年に背を向けた状態で新聞を持っていない左手を上げて、ごくろうさん、とその手を振りながら家の中に入っていった。青年も小さく頭を下げた。


 「さあて、俺はこれで終わりだから早く帰ろう。体が濡れて寒い寒い。」青年は来た方とは逆の方に走り出した。走り始めてすぐに、彼は大きなくしゃみをした。


 将軍であるは靴を脱ぎながら新聞の一面を眺めていた。


 「おや、少し新聞が濡れてしまったか。ん? 今日は魔導師の天気欄があるのか。どれどれ…、『………、降り出した霧雨は朝方、それも早い内には止むでしょう。その後、……、一週間はこの晴れが続くでしょう。』と言ったのか。まあ、そうだろうな。こちらは、それが外れないことを期待するだけだ。」


 前書きに書かれている新聞と、将軍が読んでる新聞は別物です。但し、日付は同じ日のものです。

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