第一部 第一章 Nu
小学校の時は、「部活」ではなく、「クラブ」という言い方で、週一回だけでしたね、家の学校は。「理科クラブ」っていうのが大人気だったのを覚えています。
「ソイソーか? あいつは宿題を忘れて居残りさせられてるらしいぞ。」
「・・・、分かりました。」
その少年は顧問の先生に小さく礼をしてその部屋を後にした。部屋は北棟の職員室であった。顧問の先生は普段は南棟に居るので、少年は長い距離を走ってきていた。ただ、そんなものは少年にとって何でもなかった。他の部員なら多少息を乱してここまで来ていたことだろうが、彼は部員の中でも一番の体力を持っていた -二番目はソイソーなのであった- 。行きと変わらない速度で走って…、と思ったが、少年は一歩目で動きを緩めた。自分が職員室の近くに居るのを思い出したのだった。階段まで歩いてから、一段目で一気に速度を上げていった。辺りに大きな音が響いていった。近くの壁には真新しいパペルが貼ってあった。
「廊下は走っちゃダメ! 階段はもっとダメ!」パペルには黄色い飛獣が描かれていた。
広い校庭に出てから十秒足らずで、少年は集団の中に戻っていった。
「ソイソーは、何だって?」 「居残りだそうです、部長。」
部長は溜息と共に首をダランッと下げた。
「あのアーマスの弟なんだけどなあ、あいつは…。仕方ない、ソイソーには特別練習をやらせとけばいいだろう。よし!」最後の「よし!」で、集団は一斉に整列した。少年達は兵士を象った石像のように少しも動かなかった。非常に小さな呼吸の音という音にさえ調和が取れていた。部長は右のほうから部員を見渡していった。そして、全員を見た後に正面を向くと、彼はそこで眼を瞑った。
「…、…、…。」その間、部員たちの半分近くも眼を瞑るが、そうでない者も小さく深く深呼吸をする等をしていた。部長の眼が開いた。彼は口を開けた。
「我ら、扱うは高々木刀なれど、その心情、常、真剣を交えるが如くあるべし!」その大きな声の後、一拍空いてから部員達も声を大にして続いた。
「我ら、扱うは…。」それらの声に対して、南棟の者は十人ちょっとが反応した。ただ、彼らのほとんどがその前から窓の近くにいて、何気なく外を見ていた者だとか、数人で話をしていた内の何人かが気付いて、始まったぞ、等ということを言っているくらいのものであった。それに対して、北棟の反応は顕著だった。二階より上で見ている人数もそこそこ多かったが、一階から見ている子供たちの数は尋常ではなかった。恐らく、部屋の中にいる全ての子供達が窓に貼りついている、といった状況なのであった。そして、ほとんどが男子であった。数ヶ月前は、こんなものではなかった。その光景はこの学院の名物といってもいいものでもあった。部長の声と同時に、外に居る者も含めてだが、全員に近い数の一年生が異国の遊び・達磨さんが転んだの鬼と化す訳であったから、それを違う角度で初めて見る二年生も驚きの表情を出してしまうのである。
キィーバ国立小学院剣術部、小学院と同じだけの歴史を刻んだといわれるこの部は、将来のキィーバ第一将軍を数多く輩出してきている名門なのであった。ただいま居残り中のソイソー少年は父親に憧れてこの部に入ったのであった。
今回、短・・・。




