剣ちゃんはやれば出来る子
タンスが怖かったよ!
夜になってお腹が減ったから買い物に出た。スーパーに行って何か弁当でも
買おうと思った。昨日、スーパーに行ったとき、忍ちゃんが
炭水化物の話しをしたら慶ちゃんがすごく綺麗な水仙の花園を作ってくれた。
あの美しさが忘れられない。
慶ちゃんはスーパーの中に入ると、興奮して先に走っていってしまった。
俺の足元には剣ちゃんがちょこんと座っている。
そうだ、剣ちゃんでもいいや。
「ねえねえ、剣ちゃん、炭水化物ってしってる?」
剣ちゃんが俺を見る。
「たんすいかぶつ?タンスイカブツ?」
「タンスのイカの物?ぎゃー!」
剣ちゃんが悲鳴をあげた。
すると、スーパーの天井をつきぬけて大量のタンスが天から降ってきた。
ずどーん!と大きな音がする。当然これは俺と精霊ちゃんたちにしか見えてない。
「タンスいかブツ!タンスいかぶつ!」
剣ちゃんが叫ぶ。するとそのタンスが開いて中から赤黒い巨大なイカが
にょろにょろと出てくる。
「どどど、どうしたの!?」
慶ちゃんが慌ててかけよってくる。
「あんた何やってるのよ!」
忍ちゃんが叫ぶ。
「とにかく逃げよう!」
オレは慶ちゃんと忍ちゃんの手を引き、剣ちゃんをおんぶして
その場から逃げ出した。
「おんぶ!おんぶー!」剣ちゃんはすごく喜んでいた。
「ミルフィーユたべたい!」
剣ちゃんが行った。
「慶タンもー!」
慶ちゃんがぴょんぴょん跳ねた。
「しかたがないなあ」
俺は夜中、自転車のカゴに慶ちゃんをのせ、後ろの荷台に忍ちゃんをのせ、
背中に剣ちゃんをのせて、夜の街をさまよった。しかし、どこにも
ケーキ屋さんがない。無いのではない。夜遅いのですでにしまっているのだ。
夜の薄暗い商店街をふらふら自転車でこいでいると、
遠くに明かりが見えた。何かと思ったら明石焼きのお店だった。
体はさむいしお腹も減ったので俺はその店に入ることにした。
「慶タンもたべるー」「剣ちゃんもたべりゅー!」「私もいただくわ」
三柱はすっかりその気になっている。しかし、忍ちゃんはタコとかイカとか
なまぐさものは食べられない。よくメニューを見てみると、明石焼きの中に
あなご焼きというのがあった。それを頼んだ。次の人もそれを頼むが、
すでに売り切れだった。俺がラストオーダーだった。
「ラッキー!」剣ちゃんが叫んだ「ラッキョー!」慶ちゃんは叫んだ。そして
踊りだした。「ラッキョー!ラッキョー!花ラッキョー!」
それを聞いて剣ちゃんが目を丸くする。
「花らっきょう……」
「おい、ちょっとまて、またやるんじゃないだろうな!」
「花落経!」
剣ちゃんが叫ぶ。すると、そのお店の天井からハスの花びらがひらひらと舞い降りてきた。それとともに経文が滝のようにパラパラとおちてきて光の粒がとびちっている。
「ああ、綺麗だ……」
俺は唖然とした。
剣ちゃんもやればできるじゃん!
最後は綺麗だったね!




