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〇〇日後に番になる泉先生(α)と神楽くん(Ω)  作者: 最上ふう。


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7/18

あと279日/体育祭

「先生、来て!」

「……は?」

「借り人競争!」

「──はぁ!?」


 テント下の教員席。

 何だかんだと方々に駆り出されていた泉がやっと解放されてぼんやり座っていると、一人の男子生徒がグラウンドから駆け寄って来た。

 神楽だ。


「……んだよ、今休憩中」


 手でしっしっと追い払う仕草をしたが、その手を掴まれた。


「だって、先生しかいないから!」


 大変罪な目つきで懇願される。


「面倒クセェ……」

「頼む! お願い! 何でもする!」


 ピク、と泉の眉が片方上がった。


「──よし、言ったな」


 気怠そうに立ち上がり、「覚えとけよ」と指先で神楽の額を小突いた。


「わかった! じゃあ来て!」

「……ほんとにわかってんのかね」


 ぼやきながら引っ張る神楽の後を歩く。


「先生! 走って!」

「だっる……」

「あんた、仮にも先生だろ!」


『おーっと! 続いてトラックに戻って来たのは、泉先生を引き摺った青組の……神楽くんだ!』

「うっざ……」


 放送部によるレース実況が、グラウンドのスピーカーからぐわんぐわんと殴り掛かってくる。


「このままトラック一周しないとなんないんだよ! 先生、走れよ!」

「えー……」


『泉先生のやる気がない! これは借り人人選ミスだ!』


「ほら! 言われてんぞ!」

「るっせぇなぁ……」


 泉のこめかみにピキ、と青筋が浮かんだ。

 髪を掻き上げて、三百メートルトラックを睨みつける。

 掴まれた手を逆に掴み返せば、神楽が戸惑った声を上げた。


「えっ……」


「──お前、しっかり付いてこいよ?」

「……は?」

「いくぞ。さん、にぃ、いち……GO!」


 部活で走り込みの時に掛ける声。

 合図を出した瞬間、反射的に走り出した神楽に合わせるように、泉もグラウンドを強く蹴った。


『うわ、……うわー! すごい速いぞ! 青組! 泉先生現役に負けてない! ってか、それより速い!』

「っ、うっせぇわ」

「くっそが……!」


 悪態をつきながら走る爆速二人組。

 足の長さが違うので、神楽の脚の回転数がすごいことになっている。


 途中で二位の赤組男女ペアを抜き。

 すぐに一位の白組運動部ペアも抜き去って。


 瞬く間に一位に躍り出ると、そのままゴール手前の係員へ。

 係員は神楽が手にしたカードの内容を確認して。


「ぶ」


 と吹き出してから、「合格!」と二人をゴールに誘導した。


『一位は青組! 大逆転勝利!!』


 ゴールテープを切って、息を切らせながら神楽が持っていたカードを奪い取る。

 そこに書かれていたのは。


『ちょっとどうなのと思う人』


 泉は爆笑した後、ぺしっと神楽の頭を(はた)いた。


(さて、何してもらおうか)




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