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〇〇日後に番になる泉先生(α)と神楽くん(Ω)  作者: 最上ふう。


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15/18

あと19日/記念写真

 花束に抱えられた神楽が、花の間から顔を出す。


「あ、先生いた」

「おう、卒業おめでとう。すげぇことになってんな」

「ありがと! なんか皆、花ばっかりくれんだよね。……はい、これ、先生に」


 神楽から渡されたのは、一枚の色紙だ。


「バレー部3年からの寄せ書きな」

「なに、お前らそういう可愛いことすんの」


 何の装飾もない色紙には、部員一人一人から個性豊かなメッセージが書かれていた。


「つーかお前、『ありがとうございました』だけじゃねぇか」

「……今更、何書いていいかわかんなかったんだよ」

「愛の告白でも書いとけよ」

「なんで自ら公開処刑されなきゃなんねぇんだよ」


 最後の日まで相変わらずな神楽の頭をぺしっと(はた)けば、はらはらと花弁が舞い落ちた。


「そういう可愛くねぇお前に、プレゼントだ。スマホ寄越せ」

「……え、なにそれ、怖ぇんだけど」


 神楽は訝しげにしながらも、素直にスマートフォンをズボンのポケットから取り出して、泉に手渡す。

 「ロックは外したな?」と、ホーム画面になっているそれを操作して、電話番号を入力した。

 スーツのポケットが振動したのを確認してから、通話になる前に電話を切る。


「履歴ついただろ。ちゃんと登録しとけよ」

「え、それ……!」

「あと、近いうちにお前のご両親に挨拶に行くからな。予定わかったらここに連絡しろよ」

「──は? あ? え、ええ??」


 神楽は、泉の連絡先が残ったスマートフォンを大事そうに抱えた。

 だが、告げられた内容を消化しきれずに混乱している様子。


「あー、泉先生だー!」

「ちっ、見つかったか……」


 そうこうしているうちに、少し遠くで、卒業生の女子生徒がこちらを指差しているのが見えた。


「せんせー! 一緒に写真撮ってー!」

「私も!」


 わらわらと集まり始めて、さすがに今日ばかりは逃げられないと悟る。


「……あ、待って。俺が先に撮っていい?」


 珍しく、神楽が声を上げた。

 女子生徒の一人が「いいよ! 撮ってあげるね!」と神楽のスマホを受け取っている。


「俺の許可は聞かねぇのか……」

「いいから、先生、撮るぞ!」


「……はーい! さーん、にー、いー……あ」


 次の瞬間、どこで見ていたのか、「俺たちも入れろー!」という声と共に、男子バレーボール部の集団がどっと押し寄せてきた。


「っ!!!」


 花の香りに混じる、甘い匂い。

 部員の愛を受けて押し出された神楽を、花ごと両手で受け止めたところで、シャッターの音が響き渡った。


 この時に撮られた写真は、プリントアウトされて泉の部屋に飾られることになるのだが。

 それはまだ、先の話だ。


(逃げる隙を与えるつもりはねぇからな)




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