第2話 直人・慎吾編、塔の呼び声
悪魔の島の森を抜けた先
視界が、開ける。
木々の隙間から見えたそれは、
明らかに“自然のものではなかった”。
遠く。
空を突き刺すように――
塔
黒く、細く、歪んだ形。
まるで大地から“生えている”かのように、
不気味にそびえ立っている。
風が止む。
その瞬間だけ、音が消える。
彩花が目を細める。
「……人工物?」
慎吾
「分からない……でも自然じゃない」
直人は短く言う。
「目的地だな」
迷いはない。
だが――
美和だけが、違うものを見ていた。
「……あそこ」
小さな声。
だが、確信がある。
三人が振り向く。
美和は塔を見つめたまま、言う。
「……呼んでる」
沈黙。
彩花が即座に否定する。
「根拠は?」
美和は首を振る。
「分からない……でも」
胸に手を当てる。
「ずっと前から……感じてた」
慎吾が静かに聞く。
「……何を?」
美和
「この島の“中心”」
風が吹く。
草が揺れる。
だが塔は動かない。
ただ、そこにある。
直人が歩き出す。
「行くぞ」
即断。
美和の言葉を信じたわけではない。
だが。
他に選択肢がない。
慎吾が後に続く。
「……あそこに何かあるのは確かだ」
彩花は最後まで立ち止まる。
塔を見る。
その構造。
高さ。
周囲の違和感。
「……ありえない」
小さく呟く。
だが。
走って追いつく。
「待ってよ」
歩きながら、美和が言う。
「……きっと」
三人が聞く。
「この島の秘密がある」
沈黙。
その言葉は。
希望か。
それとも終わりの合図か。
直人が答える。
「なら、暴く」
「全部だ」
その目は、冷たい。
だが
どこかで焦っている。
慎吾は塔を見上げる。
(あそこに……答えがあるのか)
(それとも――)
思考を止める。
今は進むしかない。
彩花が呟く。
「……仮に“中心”だとして」
「何があるの?」
美和は、少しだけ笑う。
「分からない」
「でも……」
一瞬、表情が変わる。
「行かなきゃいけない」
風が強くなる。
塔の方向からまるで呼び込むように。
学生の四人は進む。
誰も振り返らない。
もう後ろには何もないから。




