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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
マルコ編

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第5話 マルコ編、孤独な指揮官

※彼らはスペイン語で会話している(日本語表記)


悪魔の島の森の奥。


静かすぎる。

風もない。

鳥も鳴かない。


ただ三人の荒い呼吸だけが響いている。


マルコは立っていた。


動かない。


目だけが揺れている。


「……」


その視線の先。


おびたたしい血。


引きずられた跡。


消えた仲間。


ハンナが吐き捨てる。


「……終わりね」


マルコがゆっくり言う。


「……まだ終わってない」


カタリナが、静かに笑う。


「いいえ」


「終わったのよ」


沈黙。


その言葉は。


刃だった。


マルコの目が動く。


「……どういう意味だ」


カタリナは一歩近づく。


冷静に。


「失敗よ」


「あなたの“統率”は」


空気が凍る。


ハンナが目を細める。


何も言わない。


だが否定もしない。


カタリナは続ける。


「人を“兵士”として扱った」


「でもここは戦場じゃない」


「ここは――狩場よ」


マルコの拳が震える。


「……違う」


「同じだ」


即答。


「弱い個体は死ぬ」


「強い個体が生きる」


「それだけ」


ハンナが口を開く。


低く。


「……それ、あんたも同じことしてる」


カタリナは肩をすくめる。


「ええ」


「だから私は生きてる」


沈黙。


マルコが一歩前に出る。


「……黙れ」


ハンナが遮る。


「いや、黙るのはあんただよ」


空気が、変わる。


「……何?」


ハンナの目は冷たい。


もう部下の目じゃない。


「ついてきて、って言ってたのは私」


「現場は私が見てた」


「でもあんたは――」


一歩近づく。


「命令だけ出して、現実を見てなかった」


マルコの顔が歪む。


「……俺は最善を――」


「違う」


即答。


「“恐怖で縛ってただけ”」


沈黙。


その言葉は、真実だった。


カタリナが静かに言う。


「で?」


「これからどうするの?」


「リーダー」


皮肉。


マルコは何も言えない。


その時。


グゥ……


低い音。


ハンナの腹。


カタリナも、わずかに顔をしかめる。


空腹。


現実。


ハンナが言う。


「食料、出して」


マルコが答える。


「配分は俺が決める」


ハンナの目が変わる。


「……まだそれやる?」


カタリナが笑う。


「面白いわね」


「この状況で“支配”続けるの?」


マルコが睨む。


「秩序がなければ死ぬ」


ハンナが一歩踏み込む。


「もう死んでるのよ」


「仲間、全部」


沈黙。


そして。


ハンナが手を伸ばす。


マルコの持つバッグへ。


「それ、渡して」


一瞬。


空気が張り詰める。


マルコが腕を払う。


「触るな」


ハンナが睨む。


「じゃあ奪う」


カタリナが一歩下がる。


距離を取る。


観察者の目。


二人の間に。


“暴力”が生まれる。


マルコが構える。


「……やる気か」


ハンナも構える。


「生きるためよ」


一触即発。


その瞬間。


カサ……


三人の動きが止まる。


音。


違う。


さっきまでのイノシシとは。

もっと軽い。

だが。


数が多い。


カタリナが呟く。


「……来たわね。ハイエナの群れよ」


森が揺れる。


影。


一つじゃない。


二つ。


三つ。


増える。


ハンナが低く言う。


「……囲まれてる」


マルコが歯を食いしばる。

その瞬間。

森が、割れる。


新たな“捕食者”が現れる。

三人の視線が、交差する。


敵は。

悪魔の島じゃなかった。

自分たちだった。


だが


もう遅い。

マルコ組は完全崩壊した。

■生存者:3名


次に死ぬのは誰だ。


【マルコ編 完結】

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