47. ループ編 ⑧ 決戦
「邪竜よ、やれ!」
ヴェルスの命に従い、ヴェルスの背後に居た漆黒の邪竜が動く。
「あいつは僕が! 魔剣だか聖剣だか相手では分が悪い! レイクリウス様はヴェルスを!」
「分かった!」
アルバスは邪竜に、レイクリウスはヴェルスにそれぞれ向かう。
「サクラ、アルバスに支援を集中しろ!」
「はい!」
レイクリウスの指示に従いアルバスを支援するサクラ。同時に、ガキン! と鈍い金属同士がぶつかる音。
「っ!」
「やるねえ」
レイクリウスの聖剣とヴェルスの禍々しい魔剣とがつば競り合う。
「はあ!」
気合一閃。一介の兵士のアルバスでも出来る簡単な肉体強化の術で身体能力を強化し、ジャンプして邪竜の翼をハルバードで斬り付ける。
「ガアアアア⁉」
痛みから怒り狂い、腕の爪でアルバスを切り裂く邪竜。しかし、
「アルバス!」
寸でのところでサクラの防御魔術が発動してアルバスを護る。
「っせい!」
そのまま飛び跳ねて邪竜の胴を斬り付けていく。
そして、
「はあ!」
「ふん!」
無数の刃が交差し合う。聖剣と魔剣とがぶつかり合い、激しい攻防が繰り広げられる。
「所詮一度は逃げた勇者。初代の俺に勝てると思うな!」
「っ老いぼれが! 死にたいなら一人で死ね!」
ガキン、と鈍い音が響く。聖剣と魔剣の鍔迫り合い。肉薄する現勇者と元勇者。
「〝勇者〟という肩書から逃げ、全てを〝聖女〟と〝聖騎士〟に放り投げ、役目から目を逸らして放棄した奴に、今更何が出来る! 何を成し遂げられる⁉」
容赦のない元勇者ヴェルスの嘲りに、
「っだからこそ……今度こそ、最後まで――やり抜くんだよ‼」
現勇者レイクリウスが答える。
激しい剣戟。一進一退の攻防。しかし、
「ぐっ!」
「アルバス!」
邪竜とタッグを組むヴェルスの方が戦力は大きく、アルバスの腕を邪竜の爪が切り裂く。
「終わりだ! 所詮お前達は何も成せぬまま死ぬのよ!」
嘲笑うヴェルス。
「………………っ!」
しかし――宙を飛び跳ねるアルバスだからこそ、気付いたことがある。
これは、ピンチでもあるが……同時に千載一遇の機会でもあった。
「っすう……」
息を吸い込み、そして――アルバスは、叫ぶ。
「全軍、かかれぇ‼」
その叫びに、
『おぉおおおおおおおおおおおおおおおおお‼』
応える者達。
「な、あ⁉」
無数の矢と魔術が邪竜へと向かう。同時に、
「進めぇええええええええ!」
一度は散り散りになったサクラ率いていた兵士達。彼等が再び結集し邪竜へと突撃していく。
「〝聖騎士〟様と〝勇者〟様に続けー! 三人を援護しろ!」
司令官と思しき人の声。同時に向かっていくプロスペリタース国の兵士達。
「っこの、頼ってばかりの雑魚共が!」
吠え猛り、魔剣の力で持って風が吹きすさび兵士達を薙ぎ払う。
しかし――その隙を逃す勇者ではない。
「全てを貫け――」
聖剣を構えるレイクリウス。気付き、魔剣で受け止めようと構えるヴェルス。
だが、
「デュランダル! っアルバス!」
「はい‼」
「っ⁉」
突如レイクリウスは聖剣による光の奔流の一撃の向きをヴェルスから邪竜へと変える。
「はあ‼」
アルバスもまた、飛び跳ねて斬り結んでいた邪竜の首を蹴り――まっすぐにヴェルスへと突っ込む。
「っしま――」
攻撃対象の入れ替え――気付いた時にはもう遅い。
「「はぁああああああああああ‼」」
聖剣の旭光は邪竜へと迫り、同時にアルバスはハルバードの先の槍部分をヴェルスへと伸ばし――
轟音。
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