29. サクラ編 ② 輝かしき面影は何処にもなく、そして聖女は真実へ至る
「レイ、クリウス……様?」
「ああ……サクラ様」
次に会った際、私は王女だけでなく〝聖女〟の肩書も有していた。全ては次にレイクリウス様と再会した時、相応しい姿であろうとする為に。
だけども。
「その、大丈夫……ですか? お疲れのような……」
「ああ……色々な戦場を渡り歩いているからな」
クク、と何処か皮肉気な笑みを浮かべるレイクリウス様。
再会を嬉しく思いたいが、それがまさかお茶会などではなく王宮の通路で疲れた表情の彼鉢合わせという、何とも感動の『か』の字もない場面。
「お休みを取られて、は……」
「何処もかしこも〝勇者〟を求めている。休ませては貰えないさ」
虚ろな瞳で何処か達観した様子の彼に私は何か声をかけようとして、
「すまない。もう……行く……」
「……はい。お時間を取らせてしまい、申し訳ありません」
……結局何も言えなかった。
ずるずると重い体を引きずって歩く勇者の姿を見て、私はの心は騒めき続けていた。何か、何かしなければ――
(取り返しがつかなくなる)
そんな予感。
◇ ◇ ◇
「……そうか」
結局どうしたかと言えば、陛下こと自分の父に相談するしかなかった。
「お父様……レイクリウス様は、その、そんなに御多忙なのですか?」
「………………」
「お父様?」
父の自室で問いかける私にこの国国王である父は何も言わずジッと物思いにふけていた。と、
「サクラ」
「はい?」
「これからする話を、よく聞いておきなさい」
そう――この国の国王は前置きした。
「お前の名前――サクラという名前の由来は知っているな?」
「はい。昔、この国が邪竜に襲われた際に私が信仰する夢見神ソーニョの神官達が力を結集し、異界より聖女様を召喚し成功した、と……その聖女様がサクラという名前で、それ故に付けられた……そのように聞いておりますが?」
「うん、そうだね。ではその聖女『サクラ』様はどうなった?」
「どうって……初代の勇者様と共に邪竜と戦い打倒したものの深手を負い、戦いの後養生したけども傷が原因で元居た世界に帰ることなく亡くなったと……言い伝えられておりますが?」
御伽噺のようなお話。しかしこの国においてはちゃんとした記録もあり事実であるとされる話。
しかし、
「うん……でも、違うんだ」
「え?」
「サクラ。本当の……〝聖女〟『サクラ』様について話そう」
そして父は語り始めた。勇者と聖女の、真実の物語を。
他と比べてかなり短くなっちゃいましたね。
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