26. アルバス編 ⑨ 誰かにとっての希望は、誰かにとっての絶望でしかない
ユミルとレイクリウス。二人の様子を見て僕の計画は順調だと自負を持った。上手くそうなればいいとかなり願望の強い方の計画も……順調だった。
後は、総仕上げ。
(大丈夫。きっとうまくいく)
鏡の前で一村人でしかなかった自分には不釣り合いな煌びやかな服を着て苦笑いする。
(馬子にも衣裳ってこういうのを言うんだろうな)
「アルバス、良いか?」
「サクラ様……」
鏡を見ていた僕は振り開ける。そこには僕と違いまさに豪奢な衣装を着こなす王女の風格を漂わせるサクラ様の姿。
「大丈夫か? 疲れた表情をしているが……」
「……それは言わないお約束ですよ」
ははと空笑いする。
「……すまない。そろそろ時間じゃ」
「はい。承知しております」
「そうか。では……行くか」
こっくりと頷き……僕はサクラ様の後を付いて行く。
◇ ◇ ◇
粛々と進む『邪竜』討伐の祝賀会。サクラ様のスコートをしつつも、僕の心は騒めく。
苦々し気に僕の方を見る幾人かの貴族達の視線。
(分かっている……僕は居て欲しいけど邪魔でもあるってことは)
〝聖騎士〟を必要だと考える貴族も居れば、居ては困るという貴族が居るのもまた当然。
(恐らくはサクラ様との婚約を狙っている貴族達……かな。神官の関係者もいそう)
はぁと溜息を心中で吐く。
田舎の村出身の平民が、第一王女に取り立てられる。この身に〝勇者〟のように聖剣は無く、〝聖女〟のように神の声を聴いてもいない。だからと言って〝勇者〟が自由を求めた今居なくなられても困る。どっちにしろ厄介扱いされる身。
それでも。
(必要だと言ってくれるのなら……そうでなければユミルの身に危険が及ぶというのなら……)
飼い殺し状態だとしても、その道を進んで行こう。
そう。例え……例え……
「お前、最低だぞ」
〝勇者〟レイクリウス様からシャンパン顔面にかけられても。
「っ」
冷たく、シャンパンの臭いが鼻を衝く。
「レイクっ」
強張ったユミルの声。だけど、
「要らないって言うのなら、」
ついでレイクリウス様がユミルを抱き寄せるのが見え、
「彼女は俺が頂く」
「へ?」
そう――宣言された。
(ああ……やっぱり)
それをまるでお芝居を見ているかのように感じて知らず視線を床に移す。
分かっていた。ユミルは良い女だ。優しく、思いやりがあり、共感性も高い。同時にレイクリウス様が求める女性であることも、分かっていた。
だから――だからこそ、
(僕は――二人を出合わせたんだ)
レイクリウス様に手を引かれ出て行くユミル。その光景が嫌に胸を締め付けた。
ユミル編の時はかっこよかったシーン。だけど・・・(´・ω・`)
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