18. アルバス編 ① 聖騎士の罪の告白
願わくば、どうかこの日記が知られることのないように。それが叶わないならば、せめて僕に然るべき罰を。
果たせない約束を交わしてしまった。それこそが、僕の最大の罪なのです。
『困っている人を助けてあげる。それが本当に優しく強い人よ』
それが母の口癖であり、それが僕――アルバス=ソレイグの信条となった。
父親を亡くした母は、一人で僕を育てました。それがどんなに大変か幼心に見ていても良く分かり、だからこそ母の言いつけを守る良い子であろうとしました。
母の言いつけを守りいじめっ子達に立ち向かうも返り討ちに遭い、見かねて女の幼馴染のユミルに助けてもらったりと情けない幼少期を過ごしたりしていたある日、転機が訪れた。村に槍を使う武術の師範代がやって来て槍術を教えてくれるという。狩りと農業が主流な村で槍術を学ぼうとする人は僕以外いなかったけど、それでも良かった。師範代の方も軽い子供の相手をしようという程度だったようだけど、僕の熱意が伝わったのか本格的に基礎から教えてくれるようになり、時折やって来ては僕に槍を仕込んでくれた。そのおかげで村のいじめっこ達を見返せるようになり、村一番の武術の腕と言われるようになった。
そんなある日、
「武術大会?」
王都で剣や槍、格闘技等武術の腕を競い合う大会が開催され、上位に入れば賞品がでるという話が出た。
「これに出て入賞すれば色々と生活も楽になれるかも」
母との生活も楽じゃなく、またユミルと付き合って将来を見据えていたこと。そして純粋に自分の腕前を試してもみたくてその大会に出る為王都に出てみた。
それが――僕の未来を大きく変えることになるなんて、この時の僕は知るはずもなかった。
「やれるだけやってみるよ!」
「頑張ってね」
「錦の御旗を掲げていらっしゃいな」
そんな応援してくれる彼女のユミルと母に見送られ、僕は王都に出発した。
王都の武術大会は大勢の人がやって来ていた。自分達の居た村とは比較にならない数の武芸者の数に圧倒されながらも、何処か自分の腕がどこまで通用するのか知りたくてゾクゾクしていた。
そういて武術大会は始まり、何回かの試合を勝ち進んでいたある日――事件は起きた。
「ま、魔物の群れがこの王都に⁉」
突如試合会場の闘技場に集められた僕達参加者は、国からの発表に戸惑い動揺した。
「この王都を守るべく、お前達にはこの国を防衛する為、兵役に就いてもらう!」
「なんだと⁉」「冗談じゃないぞ……」「俺達は武術大会に参加するために来たんだぞ!」「そうだ、兵役に就くために来たんじゃない!」「そうだそうだ!」「これじゃだまし討ちだ‼」「徴兵なんて聞いてないぞ!」
いきなりの兵士の言葉に殺気立つ参加者達。僕もいきなりの寝耳に水な話に動揺が隠せない。だけど、
「黙れ! お前達は武術大会に参加しようとするだけの腕自慢だろう! その腕をこの国の為に役立とうと思わないのは反逆に等しい! 逃げようとするのならば、国家反逆罪で家族諸共処刑せよの命だ!」
兵士の言葉にざわめきがぴたりと止む。自分一人ならまだしも、家族諸共国家反逆罪という脅し文句に全員の瞳に恐怖が宿る。
逆らえば、家族諸共処刑――。
力ずくで押し黙らせた兵士はにやりと笑うと、そっと手元の巻物を広げて読み上げる。
「これより配置の為に部隊番号を伝える! 名を呼ばれた者は紙を受け取り、その紙に書かれた番号が振られた場所に行くように!」
そうして――武術大会に参加していたはずの僕、アルバスは……いきなり徴兵されることとなった。
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