13、
「いっ!!いったーーーい!!」
痛い!
痛すぎる!!
ミルティは突然噛まれ驚きと痛みとで大声をあげルシウスを再び突き飛ばす。しかし今回は流石にミルティのちからに押し負けることなく、ただルシウスは噛むのをやめざるをえなくなる程度に後ろに下がっただけにとどまっていた。
「っ!ルシウス!!なんで!なんてことするの!」
痛すぎて血が出てないかと思わず首を抑えてみるも、流石にそこまで強くは噛まれていなかったようだ。血が出ていない事に多少は安堵するも、ミルティはルシウスを強く睨み付けた。
そんなミルティとうってかわり突き飛ばされたルシウスはミルティにドロリとした目線を送りつつ妖艶に微笑んでいた。その微笑みをみて一瞬ドキリとしてしまったと自覚したミルティは、自分も大概なものだと感じてしまう。
「なんで?なんでって、俺のミルティだから俺の証をつけただけだけど。ミルティこそどうして俺を拒否するの?どんなに拒否してもだめだよ逃がさないから」
好きだ。愛してるんだと再び近寄ってきたルシウスに囁かれ、ミルティはなす術をなくす。
ルシウスからの囁きは只でさえミルティにとって甘美な檻だ。
それなのに、そこに愛の囁きまで加われば一瞬にしてミルティの心は囚われる。
「え?ルシウス今……」
「愛してる。ずっとずっとミルティだけしか見えない。ミルティが俺の全てだ。だから俺を拒まないで」
ルシウスはミルティの両手を壁に押し付け身体をよせ切な気に呟く。その甘い甘い言葉の檻はどこまでも深く簡単にミルティをとらえた。
「……っ拒否なんてしてない。してないよ。ただ……」
「ただ?」
「ずっと、義弟だって思わなきゃって思ってたから……」
だから、無理して離れようとしていたわけで。
「もう、ルシウスは私の義理でも弟じゃないのよね?」
そう言ってミルティが確認すれば、ルシウスはドロンとした瞳のままミルティを見つめる。しかし、その瞳のなかに僅かながらも獣のような欲望の光が見えかくれしていた。
「俺は最初からミルティの義弟なんかなった覚えはないよ。弟として見られたくないし、そうやって俺のことを見ることも許さない」
そう言ってルシウスはミルティに唇を重ねる。
「ミルティ、俺を……男として見て」
社交会場でのキスとは違い、触れるだけの優しいキス。
ミルティはもう、認めるしかない。
「ルシウス……。ルシウスが、すき、よ」
ミルティの呟きを捉えた優しいキスはそこから深く重なりあった。
――どれくらい互いの唇を味わっていただろうか。
ミルティがぼうっとする視線をルシウスに向ければ、楽しそうにいつも以上に妖艶に微笑む天使がミルティを優しく見つめていた。
「ねえ、どうする義姉さん?僕から逃げる?それとも俺のものになる?」
(今さら義姉さんなんて……)
思わず心の中で舌打ちを盛大にしてしまったのは仕方のないことだ。先程まで嫌と言うほど男として見ろと教えられたばかりなのに。最初から弟になった事はないとルシウスは言っていたが、確かに一時はルシウスもミルティを義姉さんと呼んでいた時期もあったのだ。しかし、それは一人称が僕から俺に変わる頃にはなくなったのだが。
それは彼自身、一番よくわかっているはずだ。
それに散々意識させてこんな風にしておきながら、全くもっていまさらながらの問いかけだ。
その問いに答えることなくミルティは顔を背けた。
「ねぇ、どうしたい?ミルティ義姉さん?」
クスクスと笑うように、再び耳元で甘く囁かれ心地よい声に捕らわれていた体が締め付けられる。
キッとミルティが自分よりも背が高いルシウスに向かって睨めば、天使の様に綺麗なその顔はさらに楽しそうに目を細め柔らかく微笑んだ。
そもそも彼はミルティの答えをもう知っている。毛頭もミルティに選ばせ逃がす気もない事くらいわかっている。というより教え込まれた。
勿論言葉上だけでなく、とらえた体も今は離す気もないのだろう。あれからずっと壁に背中を押し付けられたままだ。更にはミルティの両手をルシウスは優しく、それでいて力強く握り反抗する動きを封じている。そんな状態なのだから逃げることなど出来ない。そもそも先程から逃げてなどいない。
それすらも知っているのに、とまた心の中で舌打ちを繰り返してしまう。
「わ、わかってるくせに……。ルシウスのバカ……」
目の前の天使のような微笑みを崩さない、ルシウスと呼んだ男にそう言い返す。それが彼の義姉であろうとしたミルティに出きる今の精一杯の反抗だ。
「うん。知ってるよ?でもね、それでも俺をこんな風にさせるミルティが悪いんだよ?」
「なっ……んんっ!」
そんなのは理不尽だと抗議しようと開いた唇が塞がれるようにルシウスのキスが休む間もなく降り注ぐ。
「……っ、ミルティ」
キスの合間に名前を呼ばれればその声の甘さに心はさらに締め付けられ、また徐々に深くなるキスにミルティはどんどん甘く溶かされる。
(義弟……だったのに……。年下なのに)
彼から逃げるなんて選択肢はやはり最初から用意などされてはないのだと改めて認識させられる。
むしろ逃げるどころか、このままずっと甘く溶かされ続け捕らわれつづけたいと自らが願うほどだ。
自分はずいぶん前から彼のものになってしまっていたのだろうとミルティは痛感しながらそっと目を伏せる。
「ミルティ、愛してる」
(ルシウスの愛からなんて逃げられるわけなかったのよ……)
体中甘い痺れで溶かされミルティはルシウスに自分を委ね、ぼんやりとする意識に従ってゆっくりとそのまま瞳を閉じた。
ブクマ、評価ありがとうございます!
本当に嬉しいです。がんばります!
やっとこプロローグにつながったかな?と、思ってます。
そろそろエピローグか?
一旦完結して、その後需要があればポチポチ続きを書く予定ではいますが……
需要があれば……なかったらどうしよう(((((゜゜;)
なので、是非続きできるようブクマ、評価おねがいます(泣)!土下座




